63.苦久保遺跡第3地点出土の朱書土器(にがくぼいせきだいさんちてんしゅつどのしゅしょどき)
- 種別
市指定有形文化財(考古資料) - 指定年月日
平成30年9月30日 - 所在
中央区高根3-1-15 相模原市立博物館 - 記号番号
指-63
内容
緑区久保沢にある苦久保遺跡は、小松川右岸の丘陵地形が相模原台地へと移り変わる場所に立地します。城山文化ホール(もみじホール城山)に通じる現市道部分から平安時代中頃の竪穴住居跡が発見され、その内部からこの土器(須恵器)は出土しました。
土器は高さ4.5センチメートルほどで全体の3分の一を欠いていますが、体部内外面に正位で「大」の朱字が1つずつ記されていることがわかりました。土器に朱書きする行為は、『宇治拾遺物語(うじしゅういものがたり)』に載る藤原道長に関係する説話から呪詛(じゅそ)のための非日常的な性格が指摘されています。しかし、「大」の字のもつ意味も含めてこの特異な土器の用途を解釈することは容易ではありません。
県内における平安時代の朱書土器は、国府の存在が確実視される平塚市に集中し、古代の駅路沿線に位置する海老名市や藤沢市、葉山町でも発見されています。1,100年ほど前のこの朱書土器は、県北部では稀有な出土例であり、その特殊性と相まって古代相模国の北辺の歴史を語る上で非常に重要となる文化財です。
※須恵器(すえき)…5世紀に朝鮮半島から製法が伝えられた灰色を呈する硬質の土器。のぼり窯(あな窯)を用いて焼成。
※宇治拾遺物語…鎌倉時代前期に成立した編者未詳の説話集。仏教説話、貴族説話、世俗説話、笑話など197話を所収。
参考文献
相模原市教育委員会 2015 『苦久保遺跡 第3地点』
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