45.井原寺の木造聖観音菩薩立像(せいげんじのもくぞうしょうかんのんぼさつりゅうぞう)
- 種別
市指定有形文化財(彫刻) - 指定年月日
平成22年4月1日 - 所在
緑区青野原1279 - 記号番号
指-45
内容
井原寺の聖観音菩薩立像は、同寺の鞘堂内にある宮殿形厨子内に安置されています。
像は3尺像(103.3センチメートル)で、頭部の宝髻(ほうけい)は毛筋彫(けすじぼ)りが略されていますが、比較的装飾が豊かにつくられています。面相はやや丸顔で、頬には充分な張りがあり、引締まった表情が見られます。また、条帛(じょうはく)*や裳(も)の着装はややにぎやかで、腰布を巻き、四方に大きめの裳の折返しをあらわす所や、裾に近い両脇でたわみをつくる所などに特徴があります。
これらの特徴から本像は、鎌倉時代前期の運慶に代表される慶派の作風を引く像で、衣文(えもん)表現などから造立時期は少し下って鎌倉時代後期、14世紀初頭頃と考えられます。この時期、鎌倉地方を中心に中国の影響を受けた宋風彫刻が流行していましたが、本像はその影響が薄い点に特徴をもつ、すぐれた作例です。
※宝髻・・・仏像が頭上に結んでいる髻(もとどり)のこと。
※条帛・・・仏像が肩から脇に斜めにかける布のこと。
※衣文・・・着衣の襞の表現のこと。
参考文献
薄井和男 1988 「津久井地方の仏像彫刻」 『神奈川県立博物館研究報告(人文科学)』第14号
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