60.小原・桂林寺の木造阿弥陀如来立像(おばら・けいりんじのもくぞうあみだにょらいりゅうぞう)
- 種別
市指定有形文化財(彫刻) - 指定年月日
平成29年4月1日 - 所在
緑区小原143 - 記号番号
指-60
内容
臨済宗桂林寺の本尊です。像高63.4センチメートル、表面漆箔仕上げで、上品下生(じょうぼんげしょう)の来迎印(らいごういん)を結びます。像全体は一木割矧(いちぼくわりはぎ)造りで制作され、さらに頭体には割首(わりくび)技法が用いられています。
分解できた体幹の前後両面には大半が後世に削り取られているものの墨書きが認められ、造像の詳しい由来はわかりませんが文末記載「応安7年九月十六日」の日付はほぼ制作年代(1374年)と推定できます。また、別に江戸時代の修理時に体内に納められた木札も残され、応安七年造立、享徳2(1453)年再色、そして貞享5(1688)年再興という経過が記されていました。
本像は大きめの頭部、肩幅が狭くずんぐりとした体部の造形に独特の量感があり、複雑な衣文(えもん)表現なども制作年代のとおり南北朝時代ころの特徴をよく伝えています。
この像は非公開のため、原則として見学できません。
※上品下生…仏が表す象徴的な手サインの一つ。上品は親指と人さし指で輪を作ること。下生は右手を胸に上げ、左手を垂らすこと。いずれも手のひらは前に向ける。
※来迎印…阿弥陀仏が西方極楽浄土から往生者の魂を救いに来る際の手の形(印)とされる。
※一木割矧造り…一木造りの欠点改良で考案された制作技法。材を木目に沿って大きく分割し、内部を十分削り取ってから再接合する。干割れ防止や重量軽減に利点。
※割首…割矧造りの進展技法。首の周囲から頭部を割り離すことで、細かい顔面造形の分業化や干割れ延長の防止を可能にした。
参考文献
薄井和男ほか 1994 「相模湖町の仏像」『相模湖町文化財調査報告第10集 郷土さがみこ』 相模湖町教育委員会
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