令和3・4年度 第8回 タウンミーティング「まちかど市長室」開催結果(報告)
- 実施日:令和4年5月28日(土曜日)午後1時から2時30分まで
- 会場:相模湖総合事務所 3階 大会議室
- 参加者:公募による市民4名
- 傍聴者:0名
- テーマ:相模原市行財政構造改革プランについて
市長からの説明(行財政構造改革プラン策定の背景や目的等)
- タウンミーティング「まちかど市長室」に参加いただき感謝申し上げるとともに、皆さんからの忌憚のないご意見をお伺いし、対話をしながら、今後の市政運営に活かしてまいりたい。
- この3年間、市長として相模原市の行政に携わり、実務経験を重ねてきた中で感じたのは、市長になる前に外から見ていた相模原市と、市長になってから実際に目の当たりにした相模原市では、残念ながら、大きな違いがあったことである。
- 例えば、本市には多くの大型事業があるものの、これまで財政面での中長期的な見通しが甘く、財源の裏付けのない事業計画をいくつも抱え込んでいた状況であった。
- そのような背景の中で、改めて令和3年度から9年度までの7年間の長期財政収支を試算したところ、累計で約816億円の歳出超過が見込まれるという推計結果となった。
- また、本市の経常収支比率(市税などの経常的に入ってくるお金を、扶助費などの固定的・義務的な経費に充てる割合)は、令和元年度99.8%、令和2年度98.2%となっており、これを家庭に例えると、毎月の給料のほぼ全額を食費、光熱費、ローン返済等の固定的な経費に使っていて、自由にやりたいことや新しいことに使えるお金がほとんどないことを示している。
- この比率をもっと下げて、自由な財源をしっかり確保し、市民の皆さんとの対話の中で生まれてくる、希望や要望に充てられるようにしなければならない。
- 市の貯金とも言える「財政調整基金」は、平成25年度は約133億円であったが、令和元年度には約68億円に半減しており、令和3年度決算では約147億円まで一時的に回復する見込みであるが、将来的な多くの財政出動にも対応できるよう、しっかりと確保しておく必要がある。
- そうした状況を看過せず、未来の子どもたちや孫の世代に誇れる相模原を創っていきたいという思いから、昨年4月には全国初の「シビックプライド条例」の制定やSDGsの推進に取り組んできたが、これらの取組の理念と同じく、持続可能で、誰一人取り残さないまちづくりをしていかなければならないという考えのもと、昨年4月に行財政構造改革プランを策定した。
- 改革と言うと暗いイメージになりがちだが、今回の取組は、職員の体質も含め行財政の構造を抜本的に改革していくことであり、その真の目的は、持続可能な行財政基盤を築くことにある。
- 厳しい取組ではあるが、市民の皆さんとともに乗り越え、その先にある、私たちが描いている相模原市を創り、「子育てするなら相模原」、「学ぶなら相模原」、「起業するなら相模原」、「第二、第三の人生を楽しむなら相模原」というように、多くの皆さんが相模原市を選んでいただき、そして次世代を担う子どもたちが笑顔で暮らせるまちを目指して、この行財政構造改革を成し遂げてまいりたい。
- 市長として、72万市民の皆さんの安全・安心を第一に考え、20年後、30年後に、行財政構造改革をやってよかったと思っていただけるよう、尽力していく決意である。
- 今後も、市民の皆さんと膝を突き合わせて対話をしながら、様々な方策を考えて発信していきたいので、ご理解とご協力をお願い申し上げる。
意見交換の主な内容
●:参加者の発言 ◎:市長の発言 〇:局区部長の発言
- ●参加者(1)
- 福祉の有償移送について、2021年1月下旬に利用料金が上がる旨の通知が利用者に届き、あまりの高額に病院にも行けないという話があり、市の方にもいろいろ話を伺った経過がある。
- 相模湖地区は高齢化率が41パーセントと聞いており、高齢者の一人暮らしや夫婦二人世帯も増えている。
- 歳を取り運転免許証も返納しなければならず、バスの本数も少ない状況であるので、高齢者に優しい移送サービスの体制にしていただけないか。
- 〇市長公室長
- 相模湖地区は、非常に高齢化が進んでおり、4月時点の高齢化率は41.4パーセントで、市内の中で最も高い地区になっている。
- 病院に通われる方や、買い物に行かれる方などにとっては、有償移送などの福祉系のサービスは、欠かせないものであると思っている。
- 市としても、有償移送サービスも含めた福祉サービスは、なるべく手厚くしたいと考えているが、限られた財源の中で、どのように工夫するかが課題となっている。
- 高齢化が進んでいる中で、中山間地域対策にも力を入れていくために、重点項目の1つに位置付け、中山間地域に対する検討会議も設けているので、そうした中でこの相模湖地区における福祉サービスの在り方も含めて、検討してまいりたい。
- ◎市長
- 福祉有償移送に関しては、昨年開催した行財政構造改革プランの説明会でも、同様の意見が出ているので、皆さんに寄り添った対応を行っていきたいと思っている。
- また、福祉有償移送を担うNPO法人や社会福祉法人などの皆さんにも寄り添った対応をしていかなければならないと思っている。
- 特に、中山間地域対策については、相模原市としての特色だと思っており、強く力を入れていきたいと思っている。
- 交通不便地区の対策は都市建設局だけでなく、例えば教育委員会が管理するスクールバスや、健康福祉局が福祉で使っているバスが使えないかなど、全庁的な取組ができないかという話をしている。
- 福祉有償移送をはじめ地域交通対策に関しては、皆さんからの要望が一番多く、寄り添った対応をしていきたいので、お気付きの点があれば、ご意見をいただきたい。
- ●参加者(2)
- 高齢化が進み、空き家問題が顕在化しており、市の職員にも相談をしているが、もう少し踏み込んで対応してもらえないか。
- また、次世代への農地承継が難しく、農地が荒れて草刈りができないなどの状況もあり、それを私がボランティアで行っていたり、山林においても同様の状況がある。
- 〇緑区長
- 空き家問題にはいくつかの側面があり、管理ができずに周辺に迷惑を及ぼす可能性がある場合や、空き家を活用して人を呼び込めないかという視点などがある。
- 周辺に迷惑を及ぼす空き家は、区役所でも地域の方からの情報をいただき、様々な対策を講じているものの、土地の所有者が分からずに思うような対策ができないという現状もある。
- 空き家の活用については、津久井地域には豊かな自然がある一方で、都心から近いというメリットもあるので、いかにして人を呼び込み、住んでもらうかという取組も重要だと思っている。
- 中山間地域対策の一環として取り組む移住・定住対策の中で、空き家とのマッチングができないかという試みも進めていきたいと思っている。
- 〇都市建設局長
- 全市的な取組となるが、空き家があった場合には、まずは各区役所に相談いただいている。
- 倒壊の危険があるものなどについては、「特定空き家」に登録する制度があり、手続きを進めて認定していく中で、地権者の方に壊していただくなどの対応をしていただく取組を行っている。
- また、そうなる前に、市として相談体制を整えたり、空き家バンクとして登録いただき、売却できる取組なども行っており、協議会を設けた中で、弁護士や不動産関係団体と連携して取り組んでいる。
- 本年6月からは、子育て世帯に対する中古住宅の購入・改修費助成事業を導入し、39歳以下の子育て世代に転入していただくために、改修では最大60万円、購入では最大100万円の助成をする。
- ◎市長
- 市内に3万6,200戸の空き家があり、対応を行っているが、本年度からの新たな取組として、空き家の改修や購入に対する補助制度を創設した。
- 相模湖や藤野の地域は、芸能関係者も非常に関心をもっていて、住んでみたい地域であるようである。
- 空き家を売ってもらえないという声もあり、そのような課題に対し、宅建協との皆さんとも連携し、地域の情報を聞きながら、対策に力を入れていきたい。
- 農地などでの鳥獣被害対策は、ICTの檻の補助金を設け、これまで4基が設置された。
- ヤマビル対策にも力を入れなければならないので、神奈川県と連携して、取組を進めていきたい。
- 確かな数字ではないが、耕作放棄地は150ヘクタール以上あると伺っており、ここに新規就農者に来てもらい、食べられる農家を構築していきたい。
- 観光施策について、高尾山から本市の方へ周遊していただくことや、本市から富士山が見えるスポットを探していくために、近いうちにいろいろな山に実際に登ろうと考えているので、良い所などがあれば教えていただきたい。
- ●参加者(3)
- まちが活性化してほしいが、相模湖地区は力が弱いと感じており、藤野には入ってくる移住者がいるが、この地域は人口が減っており、入ってくる人がいない。
- 上野原市には移住政策を担当する所があり、職員を配置して、まちをアピールする取組があるので、そのようなことを、ぜひ相模原市にもお願いしたい。
- 市職員の配置については、適切な人材の配置を望みたい。
- 〇緑区長
- まちの活性化については、これまでも津久井地域を中心とした取組を行っていたが、組織として、今年から緑区役所内に班相当ではあるが、中山間地域対策班を作った。
- また、地域振興は、医療、交通、福祉など、生活に関わる様々なところで横断的に取り組まなければ実現しないので、本庁の中にも、基地対策・中山間地域対策担当部長という職が置かれ、全庁横断的な視点で取り組む体制にしている。
- 中山間地域の取組について、昨年も各局の若手職員が知恵を出し合い、実現の可能性を検討し、提案してもらった実績があるなど、市の中でも横串を刺して盛り上げていこうと考えているところである。
- まちづくり会議や区民会議などでご意見を伺うこと以外にも、我々職員も外に出て、いろいろな声を聴いて、横断的な調整をしながら進めていきたいと思っている。
- ◎市長
- この3年間を振り返ると、相模湖地区には、藤野に負けず劣らず、いろいろな発想をもっている素晴らしい方がいらっしゃると思っている。
- 相模湖はポテンシャルの高い地域であるし、藤野と一緒になって、一体となったまちづくりを進めていくべきだと考えている。
- シビックプライド条例も作ったが、皆さんが、自分たちのまちの誇りや共感を育みながら、もっとまちづくりに参加していただくことが進めばよいと思っている。
- これからもっと相模湖のことを知り、もっと発信して、移住・定住者を増やしていきたいし、上野原市や道志村、八王子市とも、この地域の観光施策も含めて、教育や文化、スポーツなどあらゆる点で連携していきたいと思っている。
- 職員の配置に関しては、教職員も含め8千人の職員がいるが、なるべく適材適所に配置したいという思いがある中で、地方公務員としてスキルアップしていくためには、いろいろな部署を回ることも必要であると考えている。
- 市民の皆さんに寄り添えるような教育に取り組むとともに、これまでの組織の風土や体質を改善し、職員間での自由闊達な意見交換などもできるような風通しのいい職場環境を作っていきたいと思っている。
- また、30年、40年勤めた時に、相模原市の職員でよかったと思えるような環境にしたいと思っている。
- ●参加者(4)
- 行財政構造改革プランを策定する際に行われたパブリックコメントでは、どのような意見が多く、また賛成数や反対数、特徴などの状況はどうだったかを伺いたい。
- 令和3年から9年までの計画だが、第1期が令和3年から5年までで、ちょうど今年が中間になるが、これまで検討されたものや、実行されたものの評価を伺いたい。
- 〇財政局長
- パブリックコメントの集計結果では、全体で3,644件のご意見等をいただいたが、公共施設に関するものが多く、特に中央区にある銀河アリーナに関するものが1,488件であった。
- そのほかにも、市体育館、淵野辺公園拡張区域等(Yゾーン)整備事業などに関することや、歳入確保策に関する意見も多かった。
- 改革プランを基に各種の取組を開始しているが、そうした中で、市民の皆さんの意向を把握したり、ご意見をお伺いしながら進めている。
- これまでの評価については、取組を開始して1年であることから、現時点での評価はまとまっていない。
- ●参加者(3)
- 新しいものを作るのではなく、相模原市のものではない、現在あるような県の施設等との連携をしてはどうか。
- この地区には、県の相模湖交流センターがあり、著名人が録音のために訪れるとともに、コンサートなども催されている。
- 〇財政局長
- 公共施設の見直しをする際には、地域内の同じような施設の活用や、相互連携を進めていくことが必要と考えているので、いただいたご意見は、今後の取組を進める上での参考にさせていただきたい。
- 〇緑区長
- 相模湖交流センターは音響が非常に優れており、いろいろな楽団が録音で利用していることを、合併した当時から伺っている。
- 地元の音楽団体が昨年度コンサートを開催したが、素晴らしい試みであり、そうした地域の財産は、魅力としてどんどん発信していかなければならないと思っている。
- そのような地域の発信すべき魅力は、SNSを通じて発信しているが、もっとよい周知方法も考えて、一生懸命に取り組んでいきたい。
- ◎市長
- 既存の施設も有効に活用しなければならないと思っており、市内には国や県の施設、市の施設があるので、国や県と連携しながら取り組む必要があると考えている。
- 緑区には素晴らしい相模湖交流センターや、いやしの湯ややまなみ温泉、陣馬山には陣谷温泉もあるが、中央区や南区にはご存じない方もいるので、そうした魅力があることを市民の皆さんに知ってもらいたいと思っている。
- 津久井地域は水源地域であるため、神奈川県の施設も多いと思うが、市民の皆さんにとっては、国や県の施設であっても、使い勝手が良ければいいので、国や県と連携しながら、しっかり情報発信できるような調整をしていきたい。
- ●参加者(2)
- 甲州街道に小原宿本陣があるが、人を呼び込む政策として、相模湖から橋本につながる国道412号沿いに、道の駅のようなものを作ってはどうか。
- 平日はトラック運転手の休憩施設、週末や行楽シーズンなどには観光客の休憩施設のような形で、郷土料理を出したり、相模原の情報発信をしたりしてはどうか。
- 〇緑区長
- 小原宿本陣については、甲州街道で本陣が残っている神奈川県で唯一のもので、地域の魅力として、大いに発信しなければならないと思っている。
- 併せて、小原宿本陣の近くにある小原の郷を、情報発信の拠点にできないかを、皆さんのお知恵をいただきながら、考えていきたいと思っている。
- 高齢化が進み、運転免許の返納者も増えている中で、過疎地域対策はなかなか難しいが、区役所では、その解決の手段の1つとして、買い物支援を考えている。
- 移動販売を増やせないかということで、旧津久井地域で、順次、セブンイレブン、イオンなどの流通事業者にお願いしをして、広めているところである。
- 地域の皆さんのニーズを把握して、店舗の配置状況も見ながら、買い物不便地域に最適な対策が講じられるようにしていきたいと考えている。
- ◎市長
- 観光施策としてもっと小原宿本陣を生かし、隣接する小原の郷も、県と調整も進め、買い物や物品販売、飲食ができるような場所にしていきたいと思っている。
- 道の駅については、市民の皆さんなどからの要望があり、県の津久井湖観光センターの建替えや金原地区の土地改良事業の中での整備の提案もあったが、多くの課題があり、今の時点ではなかなか難しい状況である。
- 地場産の野菜として、例えば津久井在来大豆も大きな宝物であると思っているが、道の駅にはそうした地場産のものがあればいいと思う。
- すぐに適地がある状況ではないが、道の駅は観光の1つの拠点になるので、ご要望も踏まえながら、今後も議論していきたい。
- 過疎化対策では、買い物支援として、セブンイレブンジャパンやイオンに協力してもらい、鋭意、移動販売を広めているところであり、地域の皆さんの買い物動向も調べながら、寄り添った対応をしていきたい。
- 藤野や相模湖の皆さんからは、都立高校に行きたいという声があり、神奈川県の教育委員会でも東京都と議論しているようである。
- 都立高校入学のために、八王子に引っ越す事例もあると聞いており、越境入学ができればそうした市外転出を抑え、過疎化対策の1つになるので、市としても広域連携ができるような対応を考えたい。
- ●参加者(4)
- この行財政構造改革プランについては、凍結ないしは再検討してもらいたいという思いである。
- 高齢化の問題もあり、もう少しそうした方にお金が回るような仕事が必要なのではないかと思う。
- 行財政改革を行う理由として、扶助費がこのままででは膨大になることが挙げられているが、これは相模原市だけの問題ではなく、全国的な問題である。
- また、理由に挙げられている財政調整基金も、2019年度以降は増えているので、プランを策定した時期よりも、財政の状況が変わっているのではないかと思う。
- やはり、コロナ禍の中で生活が疲弊している方もおり、年金は下がるし、物価は上がるので、そうした方々にお金を回していただきたい。
- 〇財政局長
- 行財政構造改革プランの目的は、ご意見をいただいたように、必要なところに必要なお金が回せなくなることを抑え、本市の20年先の将来像として掲げている「潤いと活力に満ち、笑顔と希望があふれるまち」を実現することにある。
- そのために、今までの行財政を続けていくと、816億円の歳出超過になってしまうので、これを解消しようとするものである。
- 扶助費についても、手当たり次第に削減するのではなく、必要なものに回していくことを目的に、社会保障施策等検討部会を置き、庁内の関係部署が集まり、縦割りになっていたり、本市が単独や上乗せで行っているものを見直すこととしている。
- 改革を推進する中で、必要なところにお金を回していくということであり、その必要なところには、津久井や相模湖などの旧津久井地域も当然入ってくる。
- ◎市長
- 今のままでは、やりたい施策ができない財政状況であるので、やりたいことをやれる環境を作るためにも、行財政構造改革を進めなければならないと思っている。
- この改革を前に進めていき、しっかりと20年先、30年先の将来を見据えられるような相模原市、「笑顔と希望があふれるまち」にしていきたい。
- また、これからも相模原市が住んでみたいまちとして、移住・定住者に選んでもらえるようなまちづくりに取り組んでいきたい。
- 凍結、再検討というご意見ではあるが、そうした立場でもご意見を寄せていただきたい。
- コロナ禍の中で、財政調整基金が膨らむことや、減収を見込んでいた税収も増えるなど、予測とは異なり、先々を読むことが難しい状況ではあるが、その時代時代に見合った対応をしっかりと取っていきたい。
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