腸管出血性大腸菌感染症
大腸菌の多くは、人や動物(牛など)の腸管内に存在し、一般的には病気の原因になることはありませんが、いくつかの大腸菌は人に対して病原性があり、腸管出血性大腸菌感染症はベロ毒素を産生する病原性大腸菌(O157など)が食品や手指などを介して口の中に入ることによって、腹痛、下痢、血便などの症状を呈(てい)する感染症です。
1年中発生しますが、例年6月から9月にかけて発生が多くなりますので、この時期は特に注意が必要です。手洗いをしっかりと行い、食品の管理に注意し、下痢などの症状がある方は早めに医療機関を受診しましょう。
主な症状
激しい腹痛を伴う水様性の下痢と、それに引き続く出血を伴う下痢が特徴です。有症者の6~7%において、下痢などの初期症状発現の数日から2週間以内に、溶血性尿毒素症症候群(HUS)または脳症などを併発して重症となり、時に死に至ることもあります。特に抵抗力の弱い乳幼児やお年寄りは注意が必要です。ただし、感染しても軽症あるいは無症状ですむ場合もあり、感染した場合の症状の多様性も指摘されています。
感染経路
少ない菌量(100個程度)でも感染し、その多くは食べ物や水を介しての経口感染と考えられますが、人から人への感染(患者や無症状保菌者の便を触った手を介しての経口感染)もあります。
潜伏期間
2日から10日(平均3日から5日)です。
予防方法
- 手洗いの励行(れいこう)が基本となります。帰宅時、トイレの後、調理や食事の前などには、手洗いを十分に行いましょう。
- 調理の際には、肉類の取り扱い後の手洗いを励行し、調理器具は清潔に保ちましょう。
調理器具は、洗浄後に熱湯をかけるか次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)などで消毒しましょう。
また、肉用・魚用・野菜用などとまな板や包丁を使い分けるとよいでしょう。 - 加熱して調理する食品は十分に加熱しましょう。
食肉(特にハンバーグなどのひき肉を使用した調理品)は中心部までしっかりと加熱されているか注意しましょう。
加熱を十分に行うことで、腸管出血性大腸菌などは死滅します。75度(中心温度)で1分以上を目安に火をとおすと安全です。 - 焼き肉など調理しながら食べる場合は、生肉を扱う箸と食べる箸を別々にしましょう。
- レバーなど肉の生食はさけましょう。特に乳幼児や高齢者には食べさせないようにしましょう。
- おむつ交換や排泄物などの世話をした後などには、必ず石鹸で手を洗い、流水で十分にすすいでください。
- 入浴やプールでも、周囲に感染させることがあるため、下痢など体調が悪い人はプールや家庭用ビニールプールでの水遊びは避けて、入浴も最後にするかシャワーにしましょう。
- 動物に触れた場合は、よく手を洗いましょう。
家族がもし感染してしまったら
- 他の家族の健康管理に注意し、下痢などの症状があった場合には、早急に医師の診察を受けてください(乳幼児が下痢をした場合は、必ず便の状態を確認してください)。
- 患者の便は、使い捨ての手袋などを使用して処理をし、その後、石鹸で十分に手を洗いましょう。
患者の便で汚れてしまった衣類や寝具は、熱湯につけるか次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)で消毒した上で、家族のものとは別に洗濯してください。 - 患者と乳幼児などの混浴は避けてください。シャワーを使用しましょう。
- 菌や毒素を体外に排出する妨げになることがあるため、薬は医師に相談してから飲みましょう。
感染症法における取り扱い
感染症法では三類感染症に区分されており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることになっています。
報告を受けると保健所による感染経路の調査や二次感染の予防指導などを行ないます。
また、菌の陰性化が確認されるまでは、飲食業などに従事することが制限されます。
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