感染性胃腸炎(ロタウイルス)
ロタウイルス感染性胃腸炎とは
ロタウイルスの感染によっておこる急性の胃腸炎で、乳幼児期の重症胃腸炎の主な原因として知られています。潜伏期間は1~3日です。主な症状は、激しい下痢、嘔吐、発熱、腹痛です。同じ胃腸炎を起こすノロウイルスでは嘔吐が目立ちますが、ロタウイルスでは短時間での激しい下痢が主な症状のため、脱水を起こしやすく、重症化すると点滴治療や入院が必要となることもあります。大人はロタウイルス感染を何度も経験していることが多く、ほとんどの場合は症状が出ません。例年、3月から5月にかけて乳幼児を中心に胃腸炎の流行が起こりますが、この中にロタウイルスによる胃腸炎が多く含まれています。
感染経路
ロタウイルスが口から入ることで感染します(経口感染)。ロタウイルスは感染力が強く、ごく少量のウイルス(10~100個くらい)で感染が成立します。ウイルスはロタウイルス感染性胃腸炎の患者の便に大量に含まれています。患者の便を処理した後、十分な手洗い後も、手や爪に数億個ものウイルスが残ることがあり、感染した手や爪を介して経口感染します。
症状
主な症状は、水のような下痢、吐き気、嘔吐、発熱、腹痛です。水のような下痢や嘔吐(おうと)が繰り返し起こり、その後、重い脱水症状が数日間続くことがあります。合併症として、けいれん、肝機能異常、急性腎不全、脳症、心筋炎など重症化することがあります。通常は3~5日程度で軽快しますが、療養中、意識の低下やけいれん等の症状が見られる場合は、速やかに、近くの医療機関を受診しましょう。
予防するには
- 感染を広げないための消毒や手洗い
感染を広げないようにするには、患者の便やオムツの適切な処理、手洗いの徹底などが必要です。 - オムツを交換するときには、事前に指輪や時計は外し、使い捨ての手袋などを使い、オムツや手袋を捨てる場合は別途ポリ袋などに入れます。
- 手洗いは指輪や時計をはずし、せっけんと流水でよく手を洗いましょう。手洗いの後使用するタオルは清潔なものか使い捨てのものを使用し、共用しないようにしましょう。ロタウイルスはアルコールなどの消毒薬はあまり効き目がありませんので、アルコール含有手指消毒薬による手指消毒のみでは不十分です。
- 衣類が便や吐物で汚れたときは、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤など)でつけおきするか熱湯によるつけ置きによりウイルスを不活化した後に、他の衣類とは分けて洗濯し、乾燥機で加熱乾燥しましょう。
- ワクチンの接種
ロタウイルスは感染力が非常に強く、消毒や手洗いのみで感染を完全に予防することは困難です。ロタウイルスワクチンはロタウイルス感染性胃腸炎の約80%を予防し、さらに重症化を90%防止するとされます。また、この予防効果は2-3年続きます。日本では、現在2種類のロタウイルスのワクチン(1価と5価)が承認されており、現在、任意で接種を受けることができます。いずれのワクチンも対象者は乳児であり、両ワクチンとも、生後6週から初回接種を開始し、1価ワクチンは2回、5価ワクチンは3回の接種を行います。詳細については、医療機関でご相談ください。
治療
現在、ロタウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。このため、脱水を防ぐための水分補給や体力を消耗したりしないように栄養を補給することなど対症治療が中心になります。脱水症状がひどい場合には医療機関で点滴治療が必要になることがあります。また、下痢止めの薬は、病気の回復を遅らせることがあるので、自己判断では使用せず、必ず医師と相談してください。
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