令和4年度 3月市長定例記者会見(令和5年3月20日)
令和5年3月20日
- 日時 令和5年3月20日(月曜日)午後2時00分~2時50分
- 場所 市役所第2別館3階第3委員会室
(市長)
皆さん、こんにちは。早いもので、今年度も残すところ、あとわずかとなりました。本市におきましても、先日、桜の開花が確認されました。市内には、市役所前の桜並木を始め、お花見ができるスポットがたくさんありますし、本日より市役所前でライトアップも行う予定でございますので、この時期ならではの美しい景観を楽しんでいただきたいと思います。
本日の案件は1件でございまして、17日に閉会いたしました3月定例会議についてとなります。本定例会議では、令和5年度の当初予算として、総合計画に定めている将来像の実現に向け、「未来につなぐ、暮らしを作る。明日への扉予算」をキャッチフレーズに、新たな取組などに係る経費を盛り込みました。また、本市独自の特徴的な議案といたしまして、公共施設における子どもの個人利用の無料化及び受益者負担の適正化に伴う使用料等の見直しをはじめ、職員のための子育て部分休暇を創設する条例、犯罪被害者等を支援するための条例、市民の健康づくりを推進するための条例、そして、2050年の脱炭素社会の実現を目指すための条例など、合計67件の議案を提案し、ご審議いただきました。議員の皆様からいただきました意見をしっかりと受け止め、今後の市政運営に生かしてまいりたいと考えております。
市長選挙前の記者会見は本日が最後となります。報道機関の皆様には、この4年間、多方面にわたりご協力をいただき、誠にありがとうございます。
私からは以上でございます。
質疑応答要旨
橋本駅周辺整備について
(神奈川新聞記者)
橋本駅周辺整備に関してお伺いします。今月に駅前の区画整理事業と街路事業に関する都市計画決定を行いましたけど、一方、市民から373件の意見がこれまで寄せられていて、反対が316件に上るということで、かなり反対の声が多いのですけど、こういった現状について、市長としてどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。
(市長)
今回316件の反対意見があったということは承知しておりますし、賛成の方、また反対の方を含めて、真摯に意見を受け止めてまいりたいと思っています。3月7日に、区画整理事業と街路事業についての都市計画決定を行ってまいりました。先日の公開討論会でもお話しさせていただきましたけど、最近、都市計画決定をした宮下横山台線や県道52号に関しては、宮下横山台線は確か4回説明会をやって、参加者が60人、70人だったと思いますが、今回は合計で41回、対話の回数も含めてやりまして、確か2,300人を超える方々にご参加いただき、意見をいただいてきましたから、本市としては、これまで進めてきた都市計画決定と比べても、かなり丁寧に行ってまいりました。ただ、各社からもご指摘いただいておりますように、大西大通り線は、100軒を超える皆さんが対象になっていまして、大変重く受け止めております。市の発展には必要な事業ですので、これからも丁寧に、市民の皆様と対話を進めていきたいと思っています。そして、市民の皆様にご協力をいただき事業を進められるように、鋭意努力してまいりたいと思っております。
(神奈川新聞記者)
大西大通り線をこれから整備するとなると、地権者の方から用地取得が必要になるかと思うんですけど、一方で市はJR東海と平成27年の3月に、用地取得事務を市が受託するという協定を結んで、これまで区分地上権設定の用地取得の事務を市が行ってきたわけですけど、道路を通す上での用地取得と、リニアのトンネルの区分地上権のための用地取得、両方に重なっている地権者はどれくらいいますか。
(都市建設局長)
現在道路の測量を行っておりませんので、これから用地等の測量を行った中でそういった数字も明確になってきますので、今の時点で細かい数字は出ておりません。
(神奈川新聞記者)
細かい数字はこれからということですけど、これまでの経緯を考えると、市の進め方に問題があったのではないかと思う所がありまして、平成27年3月にJR東海と協定を結んで、その後は市が広域交流拠点整備計画を平成28年8月に出してますけど、本来であれば、協定をJR東海と平成27年に結んでいるわけですから、区分地上権のための用地取得をしない必要性も多分あったと思うんですね。つまり、市がどういう都市計画を立てて、どこに道路を引くかっていうことと、JR東海との協議をきちっとしていれば、地権者に二重に用地取得を求める必要性はなかったと思うんです。協定を結んでから、市とJR東海の協議がうまくいかないために、こういうことになったのかなと想像したんですけど、どうして地権者に二重に用地取得を求めなければいけない状況になったのか、その理由を教えていただけますか。
(都市建設局長)
平成28年8月に定めた広域交流拠点整備計画におきましては、区画整理自体の基盤の配置等を明確にしたものはありませんでした。この整備計画後に関係者と調整を進め、リニア中央新幹線の駅の上に道路基盤を配置することが土地利用上望ましいとなったことから、その区画整理の場所から16号を渡る所が、今の大西の交差点として定めてきたものでありまして、その後に、その先にインターに向かって作る大西大通り線が区分地上権を設定する部分と一部重なっているところもあるという結果になりました。
(市長)
確か広域交流拠点整備計画を平成28年8月に出したものの、配置の場所が既存の道路を中心にした線形だったんですよね。その後、南口の6本の道路の計画決定をしていくのに、橋本駅側から16号をまたがっていく位置がずれたということです。
(都市建設局長)
区画整理の中の基盤の配置が協議において計画でちょっとずれました。
(市長)
既存の道路を使う予定だったのが、ちょっとずれてしまったというのが一つの要素かなと思います。
(神奈川新聞記者)
ただ、JR東海にとっても、その用地取得の委託を市にしているときに、委託事務のお金を市に払っているわけで、そういう意味でも、JR東海と市がきちっと協議をして調整できていれば、JR東海にとっても、その委託事務の費用を払う必要もなかったでしょうし、地権者にとっても、区分地上権のために契約を結んでくださいって最初言われて、結んだと思ったら今度ここに道路を引くから、立ち退きが必要ですのでっていうふうに、二重で苦しむ必要性はなかったと思うんですけれども、そこをJR東海となぜ詰められなかったのかっていうところをお伺いしているんですけど、どういう経緯があって、二重に取得する手続きになってしまったのでしょうか。
(都市建設局長)
リニア中央新幹線につきましては平成25年に駅位置が決定しまして、その後、事業を進めている状況です。トンネルとして、リニア中央新幹線を作っていくために橋本の駅の前後に区分地上権を設定する必要があるということで進めていたものでございます。あくまでも、トンネル工事をするのであれば上に住み続けることができたわけですけど、その後に、私どものまちづくりの都市基盤の配置が決定したことから、重なるところが一部あり、住み続けることができなくなってしまう方もいらっしゃるという状況です。ただ、トンネル工事は、1、2カ所残して工事をするということはできませんので、27年に協定を締結して、区分地上権は区分地上権としてトンネル工事ができるように進めてきたという経過でございます。
(神奈川新聞記者)
区分地上権の用地取得をする前に、市として都市計画の拠点整備計画を作るのと同じタイミングでやることはできなかったんでしょうか。
(都市建設局長)
先ほど申し上げましたとおり、市の整備計画としては、平成28年8月に現在の計画が立ち上がったものです。しかしながら、まちづくりの基盤の部分の土地の利用とか、土地の所有権については明確に定まっていなかったものです。関係者とその後、基盤の配置等につきまして協議を重ねた結果、今の基盤になりましたので、平成28年8月の時点では、リニア中央新幹線のトンネルの上に道路があるという絵にはなっていないため、当然協定も区分地上権は区分地上権、その後の道路が必要になる所は道路という形で進めることにしたものです。
(神奈川新聞記者)
地権者に対して、現在の街路事業の計画を公にしたのは確か昨年の6月だったと思うんですけど、それから9カ月あまりで都市計画決定となりましたけど、地権者にとっては初めて自分が今住んでいるところに道路が引かれて、立ち退きの可能性があるということを知った地権者がいるわけですけど、先ほど市長が41回説明会を重ねてきたと言いましたが、反対の声が多い中で、一方的に説明をしたとしても、なぜここに道路を引く必要性があるのかっていうことを、きちっと理解してもらわなければ、なかなかその賛成も得られないでしょうし、地権者から見ると、自分の財産である土地や自宅を手放さなければいけないわけで、ある意味その生活も大きく変わりますし、人生設計が大きく変わるわけですけど、この9カ月の間にどれほどまでにその道路を引かなければいけない必要性であったりとか、事業の採算とかではなくて、地権者の立場に立ってどうしてここがっていう説明をどれぐらいされてきたのかっていうのは疑問に思ったところなんですけど、その点はいかがでしょうか。
(森副市長)
大西大通りについてですけど、経過については今、都市建設局長からお話があったとおりです。要点の繰り返しにはなりますけど、JR東海の駅の上部、函体の所に道路を配置するということについての協議が整ったのが、実はだいぶ遅くなってしまいました。南口全体の土地利用を、基盤整備をどうするかっていうこととの兼ね合いの中で、JR東海の函体の上に、道路を乗せることもやむなしということで、JR東海との協議が整い、今回都市計画決定をすることとなった南口の基盤整備の形ができあがりました。当然ながら、そこには大西大通りに繋がる道路の形があって、地権者の皆さんのご自宅の移転なども含めて、大きな影響を与えるということは心を痛めつつのところではありますけど、16号を横断するという道路の形状から、やはりそこに持っていくことになってしまったという点については、南口をより有効に活用できる土地の確保を含めての話となり、その結果として、犠牲になる方が出てきてしまうことは、やはり丁寧な説明をこれからも心掛けていきたいと思っています。41回重ねてきた説明の中で、まだまだご理解いただけていない所もあるということを十分承知の上でして、この事業を進めていくために、この事業の意義、あるいは各地権者の皆さんに与える影響についても、より丁寧な説明をしながら事業の進捗を図りたいと考えています。
(神奈川新聞記者)
今後のスケジュールとしては、引き続き説明会をしながら理解を求めていくことになると思うんですけど、具体的に、こういうスケジュールでっていうのがあれば教えていただけますか。
(都市建設局長)
都市計画決定した道路の事業につきましては、今年中に事業認可を受けまして、丈量測量等を行った上で詳細設計をし、用地交渉等に着手していく予定です。区画整理については、事業認可の期間、取得が令和6年になろうかと思います。国との調整を進めながら、認可を取って事業を進めていく予定になります。丈量測量等の用地の測量を行う際には、改めて、地域を分けて説明会を行うとか、当然地権者の方にはどういった測量をするという説明はさせていただくつもりでおります。
(読売新聞記者)
今の関連ですけど、市長は常々、市民との対話を大切にすると、それから、藤井先生のとこでは、例え2、3人であっても、膝を交えて集会を開いて、いろいろ話をするのが大切だとおっしゃっていましたよね。例えば銀河アリーナに関しては、これだけ市民の反対の声もあって、もろもろのことを検討した結果、時期を設定した上で延期、継続するっていう判断をされて、それは僕から見ると英断だと思うんですけど、今のこの件に関して言わせていただくと、確かに説明会をたくさん開いたとおっしゃっていますけど、実は私もそのオープンハウスを1回見に行きましたけど、正直言って青色写真ばかりを説明するんですけど、じゃあその大西大通り線ができた時に、ここに住んでる人はどうするんですかと、代替地はあるんですかと聞いても、何も分からないわけですよ。そんな説明会をいくらやっても、はたして意味があるのかと、実際私も思いました。昨年の公聴会でも、全員が反対意見を述べました。それから、ああいうオープンな説明会はないまま半年が経って、年末から年始にかけてアンケートをしたら、案の定、8割と言いますけど実際には9割近くが反対です。賛成した人は1割弱しかいません。丁寧な説明をしたって言うなら、それだけ反対してるっていうことをどういうふうに受け止めるのかが一番問題だと思って、それにも関わらず、そういう公聴会の意見だとか、反対の意見は審議会ではほとんど取り上げられませんでしたけど、それによって慌てて都市決定までしてしまうというやり方は、市長が常々言っている市民の声を大切にするっていうのと矛盾するんじゃないかという気がするんですけど、その辺はいかがですか。あと、もう1点聞きたかったことは、それだけ説明会を開いたなら、市長自ら実際にその現場に行って、住民の方とお話されたことはあったんですか。
(市長)
大西大通り線に関してのご質問だと思います。この4年間、顔の見える市長として対話を重視してやってまいりました。今振られた銀河アリーナの関係は、市民意向調査などをしましたし、各業界団体の話を聞く中で、総合的な判断で令和9年3月まで延ばしました。その中で、大西大通りは説明が足りないんじゃないかという話もありますが、私自身は、この間、慎重・反対の人ともお会いして意見をいただいてまいりました。先ほどご指摘いただいたように、お家に住まわれている100軒ぐらいの方々が、この道路に関係するわけですけど、皆さんは人生をかけて、お家を建てられたり、やっぱり人生設計が変わっていくということで、非常にここを重く受けとめています。特に担当職員にも、非常に丁寧に進めていただきたいという話をしてまいりましたし、私も地権者の皆さんとお会いしてまいりました。その中でよく言われたのが、橋本のまちづくりガイドラインを令和5年中に策定しますけど、例えば今4つのゾーンが示されていますが、まちづくりの色がまだはっきりは見えてこないので、賛成はしたいんだけど、どのようにまちが変わっていくのか示されていない点、それから、代替えをお願いする際には、私は市長になる前に橋本2丁目の餃子の王将あたりの19軒ぐらいの皆さんからご相談を受けて、市やJR東海、国交省にも何度か話をしたことがあるのですが、市としては、こういう時に代替えの土地をお示しをしてこなかったという経緯もあります。土地も非常に高騰していて、なかなか同じような条件で見つからないという声をいただいていまして、これは東橋本1丁目の皆さんからもいただいているし、橋本2丁目の皆さんからも同じような声をいただいています。同じように、大西大通りにあたる約100軒の部分である西橋本2丁目、3丁目だと思うんですが、皆さんからも市全体の絵が見えてこないから、なかなか賛成しづらいという声もいただいています。今回、都市計画決定をさせていただき、私自身も今後も、なるべく多くの市民の皆さんと対話をし、お一人でもご理解いただけるように、取組を進めていきたいと思います。
(読売新聞記者)
そこはよく分かるんですけど、私が言いたかったことは、公聴会並びに意見でそれだけ反対が出ていたものが、都市計画決定に至る経緯によって、計画に何らかの考慮がされたのかってことです。全くされてないじゃないですか。自分たちが描いた青写真の通り突き進んでいるだけであって、形ばかりの後付みたいな感じで、こういう意見聴取をやりましたというだけの形にしか見えないんですけど、そういうところはどういうふうに考えていますか。
(市長)
都市計画決定に至るまでの諮問をしました都市計画審議会は、独立的にご判断いただいています。その審議会から答申を受けまして、今回、3月7日に都市計画決定をする運びとなりました。やはり地権者の皆様が例えば100人いれば100人からご理解とご納得をいただけた中で、まちづくりを進めていくというのが本来の姿と思っておりますし、できる限り、これからも対話を続けていって、お一人でも多くの皆様がご理解とご支援をいただけるように努めていくというのが私たちのこれからの使命だと思っております。
(朝日新聞記者)
ちょっと基本的なことですみません。今の大西大通り線の件なんですけど、都市基盤決定の方が遅かったということですが、近くに市道も走っていて、それでも良いのかなと素人目では思ってしまうんですけど、リニアの上に道路を通すとおっしゃったのですが、その理由を知りたいです。それが良いんじゃないかという、防災上とか、いろいろ関係するのか、ちょっとそこも含めて。
(森副市長)
南口の土地利用を考えていく上で、全体では13.7ヘクタールあるんですけど、そこの中で、より有効活用ができる土地を生み出していくためにどうするかということを視点とすると、例えば、駅、それからJRの通っている部分を、鉄道軌道敷として空地に近い状態で置いておくことによって、かなりの面積が取られてしまいます。そこに道路をのせていくことによって、一定の幅員の車道はもちろん、広幅員の歩道なり、あるいはそれ以外の空間を作っていくことができます。場合によると、市民の皆さんが憩い集う空間も設けることもできます。それらも含めて、今後策定していくまちづくりガイドラインの中で、南口全体の土地利用をどういう形に持っていくのかというところをお示ししていくわけですけど、その結果として、16号をまたいだ先の道路の線形が、多くの皆さんがお住まいの所にぶつかってしまうということです。既存の道路の活用というのは、28年8月の広域交流拠点整備計画の中では、一旦は俎上には上っていましたが、その線形で行ったとしても、例えば鉄塔の移動が出てくるとか、多くの課題があったわけです。そういうことからすると、南口全体の土地利用と言いますか、そこでどんなまちづくりが展開できるのかといことも含めて考えた中での、今の線形になっています。そういう中で、100人を超える地権者の皆さんの反対については、言い方にちょっと誤解があるかもしれないのですが、温度差が若干あるんですね。なぜかと言うと、具体的にご自身のお住まいの敷地がどの程度、道路用地で使われることになるのかというところが、正直今の段階ではまだ鮮明ではないんです。それはこれからどういう形になっていくかというと、先ほど都市建設局長からもお話があったとおり、丈量測量をかける中で、どのくらいの土地をご提供いただくことになるのかというのが見えてくる。その時に、私どもとしては具体的な代替えの紹介ができないとしても、より地権者の皆さんに寄り添った対応がどのようにできるのか、そこのところはしっかりと考えていきたいと思っています。多くの地権者の皆さんの人生を左右する事業になるという認識は事業担当部局でも強く持っていまして、だからこそ、これからより一層丁寧な説明に力を尽くしていきたい。その中で、一人でも多くの地権者の皆さんからご賛同いただけるように、少なくとも事業に対してのご理解まではいただけるような形に持っていけるよう力を尽くしていきたいと考えています。
(朝日新聞記者)
確認ですけど、ちょっと僕が理解してないかもしれないのですが、駅南口周辺のリニアの駅から道路を引っ張ってく上で、その線形でって言ったんですけど、それが16号の西側も含めて、駅南口を整備する上で引っ張っていったら、リニアの上を通ることになっているということでしょうか。
(森副市長)
リニアが通る敷地の上に道路をのせていくと、南口の土地全体の活用の範囲が広がります。道路の部分についても、車道で49メートルの幅員全部を使うわけじゃないので、そういう意味では、緑も含めて、まちづくり全体の価値が高められることも考えられます。そのことによって結局、リニアが通っていく敷地分を16号を横断した形でいくと、多くの皆さんが困惑している場所にあたってしまうという形になります。
市立中学校教諭のわいせつ事件について
(神奈川新聞記者)
相模原市議会の一般質問で取り上げられました市立中学校の教諭の強制わいせつ事件についてお伺いします。まず加害教諭の処分についてですけど、市の教職員懲戒処分の指針に照らし合わせると、加害行為は、免職または停職に該当すると思います。相模原市教育委員会として懲戒処分を行わなかった理由について教えてください。
(教育長)
教育委員会といたしましては、事実の正確な認定に努めてまいりましたが、事情聴取を行って、それだけでは十分な事実確認に至ることができなかったので、その判断材料が整わなかったことから、警察の捜査、動向を注視し、それから司法の判断を待つことにしまして、結果、失職するまで処分を行うことに至りませんでした。
(神奈川新聞記者)
この加害教諭に関しては、起訴休職処分という形で発表し、その後裁判になり、加害教諭は刑事裁判の初公判の時に、起訴事実を認めていますけど、国家公務員の人事院規則だと、刑事裁判所に継続する間の照会手続きとして、裁判で本人が起訴事実を認めた場合は懲戒処分の手続きができるとしています。東京都や他の自治体も、例えば条例でそういう手続きを定め、運用しているところがたくさんありますけど、こういった規則や条例があることはご存知だったでしょうか。
(教育長)
承知した上で、本市において今回の件については、教育委員会としての事情聴取、処分に向けての検討を行ってきた結果、事実認定に至る十分な材料が整わないという判断をして、今回のような対応になりました。
(神奈川新聞記者)
裁判所の公判廷で加害教諭自身が、起訴事実、公訴事実を認めているわけですよね。それに対して相模原市の人事・給与課にも確認しましたけど、国家公務員の人事院規則どおり、懲戒手続きに入ることは、相模原市としても可能だとおっしゃっていましたけど、あえて加害教諭が公訴事実を認めたにも関わらず、市教育委員会として懲戒処分の手続きに入らなかったのはどうしてなんですか。
(教育長)
そこにつきましては、控訴する可能性があると判断しまして、実際にその動向を注視する必要があったと、そのように認識いたしました。
(神奈川新聞記者)
議会でも控訴する可能性があったから処分をしなかったことはおっしゃっていましたけど、これまで市教育委員会、市も含めて、例えば逮捕を受けて懲戒処分をしているケースっていうのはいくらでもあります。例えば逮捕をして、逮捕された容疑者が無罪になる可能性があるにも関わらず、これまでは逮捕を受けて懲戒処分をしてきたわけですよね。そういうことを考えると、控訴をする可能性があったからっていうことと、今まで行ってきた懲戒処分の理由との整合性がつかないと思うんですけど、なぜ起訴もされて、公訴事実も認めて、有罪判決も出たにも関わらず、処分を行わなかったんでしょうか。
(教育長)
今回のケースについて、控訴する可能性があるということで、確定がしていない状況で懲戒処分を行うということは控えたということです。
(神奈川新聞記者)
控訴する可能性があることによって、処分をしないっていうのはどういう理由なんですか。控訴するとどうなるわけですか。
(教育長)
市では、本人からの事情聴取、もちろん被害者からも事情聴取はしましたが、そういったことから、処分に向けて検討はしてきましたけど、それだけから判断するには十分な材料が整っていなかったので、そこについては、控訴する可能性がある以上は、処分を決定する判断にまでは至らなかったということです。
(神奈川新聞記者)
裁判のやり取りは教育委員会も確認してると思うんですけど、昨年の1月に初公判が行われて、そこで起訴事実を認めているわけですよね。その後に、教育委員会として加害教諭に対して聞き取り調査を行っていますけど、そこではどういうやり取りがあったんですか。公判廷で起訴事実を認めて、教育委員会の聞き取り調査に対しては否認されたということですか。
(教育長)
そこの詳細については、この場でのお答えは差し控えさせていただきます。
(神奈川新聞記者)
あと、そもそも、司法の判断と懲戒権を持つ市の教育委員会とは、必ずしも同様の判断を示す必要性はないわけですけど、一連の経緯を見ると、教育委員会として主体的な判断をしていないんですけど、これはどういう理由なんでしょうか。
(教育長)
そちらにつきましても、教育委員会として聴取した材料から、十分な判断をするには不足しているというふうに捉えていたからです。
(神奈川新聞記者)
繰り返しになりますけど、刑事裁判の公判廷で起訴事実を認めて、つまりやったという罪を認めているわけですよね。それ以上の事実確認って何か必要だったんですか。
(教育長)
教育委員会としては、十分でないというふうにその時点で捉えていたということで、それ以上の詳細については、お答えをいたしかねます。
(神奈川新聞記者)
どこが十分じゃなかったというふうに判断されたんですか。
(教育長)
実際のやり取りですとか、裁判の状況とか、そういったことにも関わるような内容になりますので、そこについては差し控えさせていただきます。
(神奈川新聞記者)
相模原市では、以前もA&Aの時に非違行為を行った職員が懲戒処分されずにそのまま退職ということで、その後議会でも問題になりましたけど、今回も犯罪行為を犯して、司法の場でも有罪が言い渡された教員に対して、教育委員会として何も判断、処分を出していないんですけど、これは問題だというふうにお感じになっていらっしゃらないんですか。
(教育長)
処分としては行っておりませんけど、失職した後に、退職金を支給しないということ、それから、教員免許については返納させております。
(神奈川新聞記者)
教員免許の失効っていうのは、有罪確定しているので、自動的に免許を失うものですよね。教育委員会としての処分ではないと思いますけど。
(教育長)
返納についてしっかりさせたということです。
(神奈川新聞記者)
市長に対してもお伺いしたいんですけど、A&Aの件とも重なりますけど、非違行為、違法行為をした教職員が何も処分されずに、そのまま組織として判断をしないっていうのは、あるべき姿なんでしょうか。
(市長)
性犯罪に関しては、被害者の尊厳を傷つける決して許されない行為だと思っております。また、犯罪被害者等支援条例を4月から施行していくのですが、二次被害とか再被害の防止への取組が重要だと考えております。その中で、学校に限らず、ご指摘いただいたA&A、市政運営におきましても、市民に対して、適切な情報公開と、それからご理解いただけるようなことを重ねていかなきゃならないと思っております。今回、私どもも例えばA&Aでいうと、元所長と訴訟を行っているところでして、訴訟の中での細かいことはちょっとお話できませんが、5月16日に横浜地方裁判所相模原支部から横浜裁判所へ回付されたと思っていますが、事案の公表につきましては、社会的な影響の大きさとか、公表すべき公益上の必要性なども総合的に判断して、事案ごとに適切に判断しなきゃならないと思っています。この事案に限らず、議会や市民の皆様には、引き続き、できる限り丁寧な説明をしていかなきゃいけないと思います。
(神奈川新聞記者)
引き続き教育長にお伺いしますけど、市議会の一般質問の中で、これまで生徒や保護者に対しては説明をしていなくて、今の時点では相談とか問い合わせが寄せられていないので、現時点では説明することは考えていないということですけど、今後例えば相談や問い合わせが1件でもあった場合は、説明会を開くのでしょうか。
(教育長)
1件あったからすぐに説明会を開くとか、そのようには考えておりません。今回、個人情報の観点と、それから、公表指針にないというようなことを踏まえて、公表しないと判断をしましたので、その方向が大きく変わるような状況が発生しない限りは、この方針でいきたいと考えております。
(神奈川新聞記者)
弊社は昨年から、この件に関して個別に取材をしてきましたけど、被害に遭ったのも相模原市で働いている教員なわけで、そういう話をずっとしてきましたけど、それに関して、教育委員会として寄り添う姿勢が本当にあるのかどうか疑問に感じたんですけど、被害者に対して、どういった対応をされてきたんでしょうか。
(教育長)
恐れ入りますが、被害者に対しましては、こちらでこういった内容でお話するということも確認できておりませんので、この場でのお答えは差し控えさせていただきます。
(神奈川新聞記者)
あえてお伝えしますけど、報道した後に、被害に遭われた先生を恩師と慕う生徒さんから弊社に手紙が送られてきました。直接先生には渡せないので、新聞社を通じて、ぜひこの手紙を先生に渡して欲しいということで託されました。その手紙の中に生徒さんは、被害に遭われた先生との思い出は数え切れないほどあるっていうことと、事件後、やはり学校ではいろんな噂が飛び交ったそうです。弊社は3月8日の国際女性デーに、被害に遭った先生の思いを記した記事を掲載しましたけど、その記事と噂になったことは、全く内容が異なっていたということでした。つまり、きちんと学校なり教育委員会が事実を説明しなかったために、事実と異なる内容であったりとか憶測が飛び交って、それが結果的に生徒を傷つけていることに繋がっていると思うんですけど、その生徒さんは「先生の気持ちを知って、やはり許せない気持ちであったりとか、先生を助けたいっていう気持ちを持った。この気持ちを先生に伝えて欲しい」というふうに手紙をしたためてくれたわけですけど、学校とか教育委員会の対応によって、被害に遭われた方だけではなくて、結果的に生徒さん自身も傷ついていると思うんですけど、その点について学校や教育委員会はどういうふうにお考えなんでしょうか。
(教育長)
教育委員会側で、今、記者がお話してくださったところの事実の確認をしていない状況なんですけど、公表すると申しましても、私どもは処分をするか否かの検討に当たり聴取した内容から把握しているものになりますので、被害者と加害者双方の納得がいくような内容を公表できるかというところは難しいと考えております。そういったことも踏まえ、私どもの判断している中では、公務外で起きた事件であることや、個人情報の保護、それから公表指針にないようなことも踏まえて、総合的に判断して、公表しないと判断したところです。
(神奈川新聞記者)
被害者、加害者双方が納得いく説明ってどういう説明ですか。事実をそのままお伝えすれば良いんじゃないでしょうか。司法の判断が出されているわけですよね。
(教育長)
被害者に確認をしていないためにお伝えできないことや、公表するというところは、慎重に取り扱わなければいけない内容が含まれているものと捉えております。
(神奈川新聞記者)
被害者加害者双方に納得いく説明っていう言い方自体が、そもそも加害者を利するような、被害者をないがしろにしている表現だとは思われないんですか。
(教育長)
個人情報の保護というのは、双方に必要なものだと思っております。
(神奈川新聞記者)
答弁が全く噛み合わないので、あれですけど。最後に市長にお伺いしますけど、性暴力が起きた時に、組織の対応というのは近年非常に問われているように思います。例えば最近も、自衛隊内で複数の男性の隊員が女性の隊員にハラスメント行為を複数回行っていたということで、防衛省が被害者に謝罪して、処分するっていう一連の経緯がありましたけど、やはり性暴力が起きた時に、組織としてどう対応するかっていうところで、やはり速やかな調査、かつ、きめ細やかな調査をした上で、加害行為が認められた場合には、きちっと処分をして公表するっていうその3点が非常に重要だと思うんですけど、今回の一連の教育委員会の対応も含めて、性暴力が起きた場合に、組織として、あるべき対応の姿っていうのはどういう対応だと思われますか。
(市長)
先ほどもお話したように性犯罪に関して、被害を受けた方の尊厳を傷つけることは決して許されないと思っております。その中で、二次被害や再被害が起きないような防止策も取っていかなきゃならないし、今ご指摘いただいたように、やはり個人情報保護という点もありますけど、ただやはり被害に遭われた方に寄り添った対応をするべく、今回、犯罪被害者等支援条例を新規条例として3月定例会議に提案し、ご議決をいただき、4月以降の施行となりますが、被害を受けられた方に寄り添った対応というのを重視してまいりたいと思っておりますので、そのための、市としても特色ある条例にしていきたいと思っています。繰り返しになりますが、性被害を受けた方に対しましては、ご家族も含めたケアというのが必要だと思っております。そしてもちろん、ご指摘のとおり、スピード感あり、かつ、皆様にお伝えできる情報は、議会、市民の皆様には、できる範囲内でしっかり情報を開示していかなきゃいけないと思います。
※質疑応答中の重複した言葉づかいや明らかな言い直しなどは、整理した上で掲載しています。
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