令和5年度 2月定例記者会見
- 日時 令和6年2月6日(火曜日)午後2時~3時25分
- 場所 市役所第2別館3階第3委員会室
(市長)
【あいさつ】
皆さん、こんにちは。雪で足元の悪い中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
昨日からの大雪につきましては、市民に対し注意喚起を行うとともに、特殊災害情報連絡体制を配備し、道路の除雪や避難者への対応等に当たってきたところです。
それでは はじめに、小型月着陸実証機「SLIM」についてでございます。本市においてもパブリックビューイングを行うなど、市民の皆様とともに応援をしてまいりましたが、世界初となる月面へのピンポイント着陸の技術実証を達成されたという大変喜ばしい報告がありました。不測の事態にもあきらめず、太陽光発電も開始され、データの解析が進められていると伺っており、JAXA関係者の皆様のご尽力に敬意を表するとともに、更なる成果の獲得に向けて、市民の皆様とともに応援してまいりたいと思います。
さて、本日の案件は3件で、1つ目が「令和6年能登半島地震」について、2つ目が「市議会3月定例会議」について、3つ目が「中山間地域の持続可能な医療の在り方に係る基本方針の策定」についてとなります。
それでは1点目、「令和6年能登半島地震」についてですが、改めまして、犠牲になられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。1月1日の地震の発生から1カ月が経過し、復旧・復興に向けた支援活動が行われているところですが、引き続き、多くの方が厳しい避難生活を強いられている状況です。本市における被災地への人的支援の状況としましては、2月6日現在、32名を被災地に派遣しており、救助・救急活動等を支援する消防職員をはじめ、住家被害認定調査や罹災証明書関連業務等を支援する事務職員、下水道管路の被災調査を支援する土木職員など、延べ255名が現地の支援に当たってまいりました。また、厚生労働省からの派遣要請に基づき、避難所等における健康観察などの医療支援を行うため、2月5日から15日の期間に、保健師等12名を珠洲市に派遣する予定で、昨日、その内の4名が現地に入り、活動を開始したところです。避難者への支援としまして、1月10日に発表しました、被災者に対する市営住宅の一時提供につきましては、現在、1世帯2名の方がご利用しており、生活用品等につきましては、ブックオフコーポレーション様からの無償提供を受けて、生活を始められていらっしゃいます。また、市内に避難された方からの保育所の利用希望を受けまして、保育料を全額減免として公立保育所への入所を決定いたしました。1月5日から受付を開始した義援金につきましては、各窓口での受付や庁舎内に設置した募金箱、私も参加しました街頭募金活動、チャリティーグッズ販売からのご寄附などを合わせて、1月31日時点で、1,603万6,829円が寄せられています。皆様から寄せられた義援金につきましては、日本赤十字社を通して被災者にお届けしてまいります。なお、今後は被災地での支援活動の長期化や、広域避難者への対応業務の増加が見込まれることから、庁内横断的な体制として災害対策に係る支援チームの設置を検討するとともに、各区役所においては、本市に避難されてきた方々の相談を受けるなど、被災者の方々に寄り添った支援の実現に取り組んでまいります。また、首都直下型地震や南海トラフ地震は切迫性が高いと言われていますし、線状降水帯の発生に伴う災害などもいつ起こるか分からないところがありますので、そういった意味では、本市において他人事ではなく、先だって私から職員に対し、被災地支援について、引き続き主体的に取り組むことや、災害に強いまちづくりをしっかりと進めていくため、令和6年度当初予算編成における防災関連事業の予算措置の考え方について訓示を行いました。予算措置については、後ほど当初予算案のところで触れますが、引き続き、復旧・復興に向けた被災地への支援に取り組むとともに、本市の防災力の強化について、誰一人取り残さないという視点を持って、市民の皆様に寄り添い、行政としての責任をしっかりと果たせるよう、取り組んでまいります。
2点目は、「市議会3月定例会議」についてです。まず、3月定例会議に提案させていただく議案の中から、いくつかご紹介させていただきます。
1つ目は、新たな条例として提案する「相模原市人権尊重のまちづくり条例」についてです。本条例は、人権尊重のまちづくりについて基本理念を定め、市や市民等、事業者の責務を明らかにするとともに、人権尊重のまちづくりに関する施策や、不当な差別的言動の解消に向けた取組、声明に関する事項等を定め、総合的に取組を講じることにより、人権尊重の理念を社会に広く浸透させ、一人ひとりがかけがえのない個人として尊重され、互いの人権を認め合う共生社会の実現を目的として制定するものです。
2つ目は、「相模原市重度障害者等福祉手当条例を廃止する条例」及び「相模原市 医療費助成条例の一部を改正する条例」についてでございます。こちらは、行財政構造改革プランにおける社会保障施策等の見直しの一つとしても取り組んでいるもので、少子高齢化の進行や人口減少を迎える中、共生社会の実現に向けた取組を後退させることがないよう、個別給付から福祉の基盤整備へと施策の転換を図るため、従来の個別給付である重度障害者等福祉手当を廃止し、また、重度障害者の医療費助成における対象者の年齢制限及び所得制限を設けるものです。福祉の基盤整備としては、相談支援や就労支援の拡充によって、将来に向け、障害のある方やそのご家族の方の生活が充実するよう、取り組んでまいります。
3つ目は、相模原市立博物館のプラネタリウム更新業務委託における工事請負契約の締結についてです。市立博物館のプラネタリウムにつきましては、平成7年の設置以来、多くの皆様に親しまれてきましたが、更なる魅力向上を目的としたリニューアルを進めてまいりたいと考えています。リニューアルの内容としては、公募型プロポーザルにより、新たなプラネタリウムでは、美しい10億個の星々と高精細な8K映像を同時に体験できるハイブリッドシステムを世界で初めて導入するほか、小さなお子様が楽しめる多目的スペースの設置や、JAXA宇宙科学研究所との連携を一層強化する事業の企画やコンテンツの提供などを予定しています。なお、リニューアルオープンは市立博物館の開館30周年に当たる令和7年7月を目指しています。
4つ目は、令和5年度相模原市一般会計補正予算及び令和6年度当初予算についてです。補正予算については、今年度予算の執行残額の整理に合わせ、将来的な行政課題に対応するため、脱炭素社会推進加速化事業の推進に要する経費の財源として、地球温暖化対策推進基金へ3億円、学校施設の空調設備の設置事業等に要する経費の財源として、学校施設整備基金へ21億円など、特定目的基金への積立を行います。
次に、令和6年度の当初予算についてですが、一般会計の予算規模は、扶助費等の社会保障関連経費が引き続き増加していることや、小中学校の校舎等に係る長寿命化経費が増加したことなどにより、前年度の3,286億円から129億円、率で言うと3.9パーセント増額の3,415億円となり、過去最大の予算規模となっています。令和6年度の予算編成に当たりましては、物価上昇による影響を踏まえた上で、市民生活に直接関わる喫緊の課題に対応するために必要となる経費や、本市の将来像の実現に向けて、分野横断的に取り組む重点テーマである「少子化対策」、「雇用促進対策」、「中山間地域対策」及び本市の個性を生かす分野として位置付ける「子育て」、「教育」、「まちづくり」を中心とした取組などに係る経費を計上いたしました。
少子化対策では、子どもたちの笑顔や夢を育み、子育てしやすい環境づくりを推進するため、小児医療費助成制度の対象者を高校生世代まで拡大するとともに、中学生までの所得制限を撤廃します。また、淵野辺公園などの公園の改修・更新を実施することにより、子育て世帯に対する公園の魅力向上を図ります。
雇用促進対策では、若者の市内定着を促進するため、学生の市内企業でのインターンシップの推進や市内企業の採用活動を支援するほか、多様な人材の交流を促進するため、企業間のオープンイノベーションの促進、ベンチャー・スタートアップ企業の進出支援などを実施してまいります。
中山間地域対策では、更なる魅力発信拠点として、「道の駅」の設置の可能性について調査研究を行ってまいります。また、高齢者や障害者の移動手段の確保や充実を図るため、津久井地域での福祉有償運送の運営支援などを行ってまいります。
子育て分野では、産後間もない母子とその家族が安心して子育てをするため、産後ケア事業を実施するとともに、0歳6カ月から満3歳未満で保育所等に通っていない子どもを対象に、「(仮称)こども誰でも通園制度」の創設を見据えた試行的事業を実施します。
教育分野では、一人ひとりの学習状況に応じた指導・支援を行うなど、児童生徒の確かな学力の育成を図るとともに、青少年教育カウンセラーやスクールソーシャルワーカー等による教育相談機能の充実を図り、誰一人取り残さない教育を推進します。
まちづくり分野では、広域交流拠点にふさわしい魅力あるまちづくりを進めるため、橋本・相模原両駅周辺地区における都市基盤整備、土地利用の検討を行います。また、新たな拠点の形成を目指し、麻溝台・新磯野地区の土地区画整理事業による市街地整備を推進します。
こうした重点テーマに関する取組のほか、令和6年度は特に、能登半島地震の被災状況を踏まえ、緊急的な事業の実施や事業の拡充を行うとともに、首都圏南西部、神奈川県県央地域のリーダーとして、近隣都市をけん引し、主体的な取組を進めるため、被災地支援の体制等の検討に取り組んでまいります。また、市民の安全・安心の確保のため、道路や公園等の市民の皆様に身近な施設の維持管理や補修に要する経費を増額した上で、着実に取り組んでまいります。今後も、医療や介護などの社会保障に係る経費の増大や公共施設の老朽化への対応などの経費の増加が見込まれますが、行財政構造改革プランを着実に推進し、全ての市民が安全で安心して暮らせる「幸せ色あふれるまち」の実現に向けて全力で挑戦してまいります。
3点目は、「中山間地域の持続可能な医療の在り方に係る基本方針の策定」についてでございます。津久井地区、相模湖地区、藤野地区におきましては、合併に伴い、3つの町立国保診療所が市に移管され、また、政令指定都市への移行に伴い、3つの県立診療所が市に移管され、現在、市所管の6つの診療所と民間の医療機関により医療が提供されています。こうした中、中山間地域では、今後、高齢化の更なる進行等により通院が困難になる人の増加や在宅医療の需要の増加が見込まれること、医師・看護師等、医療従事者の安定的な確保が難しいこと、また、市所管の診療所の老朽化 などの状況や課題があります。この先も、子どもから高齢者まで、誰もが住み慣れた地域で安心して医療サービスを受けられるようにするため、中山間地域の特性を踏まえた持続可能な医療提供体制の確保に向けた、「中山間地域の持続可能な医療の在り方に係る基本方針」をここで策定いたしました。この基本方針に基づき、限りある医療資源や財源の効率的な活用、車両を用いた訪問型オンライン診療など、ICT(情報通信技術)を活用して出向く医療の充実を図るなど、地域の特性を踏まえた持続可能な医療提供体制を構築してまいります。
最後に、前回の記者会見で発表しました、携帯キャリア4社と連携して取り組むスマートフォン普及促進事業の実証実験として、津久井、相模湖、藤野地区にお住まいの65歳以上の方を対象としたスマートフォン教室の申し込み受付が2月8日から市コールセンターにおいて始まります。教室自体は、2月21日の相模湖総合事務所でのNTTドコモの開催を皮切りに、対象地区内の各総合事務所を会場にして順次開催されます。詳細は広報さがみはら2月1日号をご覧ください。
また、令和5年の住民基本台帳人口移動報告の結果が、先日、総務省から公表され、本市の転入超過数は2,321人で、全国の1,719市町村中(東京都特別区部は1市として扱う)、第11位となり、昨年の第12位からワンランク上昇しました。年齢別では生産年齢人口で全国第16位、高齢者人口で第7位となっており、引き続き、子育て施策やシビックプライドの向上につながる各施策に取り組み、特に年少人口や子育て世代を含め、多くの方から選ばれる都市を目指してまいります。
私からは以上です。
質疑応答
令和6年度当初予算案について
(東京新聞記者)
予算を見ると、3年連続で規模は過去最大です。ただ一方で、義務的経費が6割を超えています。投資的経費も伸びているけれども、内容を見るとかなりの部分が長寿命化です。この予算編成で本村市長が二期目でやりたいことはできていますか。
(市長)
行財政構造改革をそもそも行った理由からお話しますと、私が市長になった時に、様々な大型関連事業をやっている感は出ているけれども、予算の裏付けがなかったり、中長期的な試算がない中で、実際に進んでいる事業は非常に少なかった現実がありました。例えば市立高校を作って市内初めての宇宙飛行士を育てたいとか、敬老パスを導入したいなど1期目の施策で挙げて当選したわけでありますが、敬老パスも年間で試算すると12億円ぐらいかかるという話の中で、やりたい施策を見渡した時に、なかなか財源が厳しいということから、今できる改革をしっかり先送りしないで行い、予算の組み換えなどを行うことによって、その時代に合った私たちがやりたい施策に予算を使えるようにする必要がありました。行財政構造改革プランはまだ第1期が終わったところで、令和6年度から第2期が始まってまいりますから、そうした中ではまだまだ十分な投資的経費なども掴めていない部分もあります。しかし今回、財政局とも色々と検討する中で、相模原市も市制施行70周年を迎え、様々なライフラインとか公共建築物等が更新の時期を迎えているということで、これから先、令和9年以降は、おそらく年間200億円ぐらいかかってきて、長寿命化の予算はますます膨らんでくると思われます。そういった中においても、私たちがやりたいことの実現や、例えばこれまでもコロナ禍があったり、台風被害があったり、また大きな災害に備えて対応していくなど、やらなければならないこともあります。振り返るとなかなか先行きが見えない5年間でありましたけれども、今回の予算編成では限られた財源の中で、選択と集中で予算配分ができたというふうに思っております。今後も義務的経費や扶助費の増加はなかなか抑えられない部分でありますが、ここをしっかり踏まえた中で、これから橋本駅のまちづくりとか、相模総合補給廠一部返還地のまちづくり、麻溝台・新磯野地区整備推進事業など、様々な事業がまだまだたくさんありますから、そういった意味ではしっかり投資的経費を蓄えてまいります。今回の予算では、地元の建設関連事業者からも、例えば、令和5年度の予算は、建設事業費は少し膨らんだのですが、地元の事業者が行える事業が少なかったというご指摘もいただいていますから、令和6年度はなるべく地元の皆さんにお願いできるような道路とか公園の維持とか、そういった生活に密接したような施策を出すような形にしているのが特徴だというふうに思っています。
(東京新聞記者)
1期目は、実質的にコロナウイルス感染症対策だったと思うのですが、2期目になって、この予算編成で本村色というのはどこに出ているのですか。
(市長)
先ほどのあいさつでもお伝えしましたが、例えば休日に未就学児のお子さんをどんな理由でもお預かりする休日一時保育事業は、全国でも先駆けた事業でありまして、4月から橋本で、10月から相模大野での事業開始を予定しています。そして8月からは小児医療費助成制度の拡充を予定しておりまして、これは地域を歩いていく中で、子育て世代の皆様から実施を求める非常に多くの声をいただきました。ここは加山前市長の時代にも中学生まで先進的に実施していただいておりましたが、時間が経つにつれて周辺自治体においても取り組まれるようになりました。また毎回お伝えしていますが、隣接する八王子市や町田市といった東京都をにらみながら、子育て施策を打たなければいけないという中で、例えば小池都知事が年末に発表された高校授業料の無償化は、市内のシニア世代の皆さんから、孫が高校生に上がるから相模原市もやって欲しいと実際に言われていますから、とてもインパクトが大きな施策だと思っています。その他、第2子保育料の無償化とか、18歳まで所得制限なしの毎月5千円給付といった施策を隣で打たれている中で、なるべく本市も尖った施策を打たなければいけないと思っていまして、先ほどお伝えしたように、0歳6カ月から3歳未満のお子さんが誰でも通園できる制度を試行的に始めて、これも形にしていきたいと思っています。子育てするなら相模原という中で、昨年の10月には公園の原則禁煙化、それから公共施設15施設の無料化に続いて、こういった分かりやすい子どもの施策を展開してまいります。産後ケア事業の拡充、それから公約で掲げていた道の駅に関しましても、これまで庁内でも議論してまいりましたが、今回、専門的な知見から見ていただいて、どういった場所がふさわしいのかを調査する予算を付けました。こういったところが当初予算案の特徴であると思っています。
(テレビ神奈川記者)
当初予算案の編成に当たって、キャッチフレーズのようなものは何かありますでしょうか。また、そのキャッチフレーズの理由についても教えてください。
(市長)
相模原市市制施行70年、そういった中で「つなぐ70年の想い みんなの安心向上予算」というキャッチフレーズを付けました。今年市制施行70年を迎えて、4月の市民桜まつりから様々な冠事業が始まってまいりますから、そういった中で70年の歴史を振り返りながら、先人の皆様に感謝を申し上げ、そしてこれから市制80年、90年、100年と続く相模原市の希望の襷をつないでいくための予算としていきたいと思い、そうした名前を付けさせていただきました。
(神奈川新聞記者)
全体的に見ると新規事業は一部に限られ、どちらかというとこれまで行ってきたまちづくりであったりとか、今後全員喫食を目指す中学校給食の推進など、これまで続けられてきた事業を継続するための予算が配分されたのかなというふうに正直思うのですけれども、その辺り継続性であったりとか事業を確実に進める着実性とか、その辺りを意識されたのでしょうか。
(市長)
行財政構造改革プランの第1期がここで終わって、第2期に入ってまいります。令和9年度まで、行財政構造改革が続いていって、まだ出口が見えていませんので、私としては積極的な予算配分をしたいところでありますが、市の財政状況を踏まえて、やはり令和3年4月に作りました行財政構造改革プラン、これに従って未来像を作っておりますので、どうしても継続的な事業、特に大型の事業が多くありますから、そういった中では事業継承という形に見えてくるのかなと思います。ただ先ほど、子育て施策の小児医療費助成制度なども、首都圏の指定都市として初めて高校生まで広げていくということもあり、現行の中学生までで年間22億円かかっていたのですが、高校生まで広げ、中学生まで所得制限なしとすることで、プラス4億円を一般財源で捻出しなければいけないという課題もありました。そういった中で、小児医療費助成なども一つの拡充として行ってまいりましたので、どうしても継続事業に見えてしまうかもしれませんが、新たなことにもチャレンジしていると思っています。
(神奈川新聞記者)
今、市長がおっしゃった行財政構造改革プランですけれども、2期目に向けては、市として障害者や高齢者などの福祉施策に関する民生費については、20億円くらいが歳出超過になっているということで、今後削減されることを視野に入れていらっしゃると思います。今回の市議会3月定例会議に対しては、障害者の個別給付を廃止または縮小していくという議案も出されているということですけれども、子育てや少子化対策については予算を十分に確保しているというふうにおっしゃられていますが、
一方で誰もが安心して暮らせるまちという市長のキャッチフレーズから考えると、いわゆる障害者とか高齢者に対する予算配分が減っていくのではないか、弱者切り捨てではないかという声や指摘も挙がっておりますが、それについては市長今後どのように説明責任を果たしていくおつもりでしょうか。
(市長)
私たちもこの行財政構造改革プランの第1期で、例えば100歳の方に1人当たり5万円を給付していた敬老祝い金を廃止しました。はり・きゅう・マッサージの施術料助成として1枚2千円のチケットを年度内最大2万4千円分交付していましたが、これは半額の1枚1千円、年度内最大1万2千円分にしたということもあったり、それに続く形で、今回扶助費の見直しを行っていくわけでありますが、やはり行財政構造改革で予算の組み換えをしていかなければならない。相模原市の扶助費がどうしても膨れ上がっていく中で、これまでの市長をはじめ、手をつけてこなかった部分があります。その中で、今回、重度障害者等福祉手当1人月額5千円もしくは3千円、年間12億円強かかっていると思うのですが、ここを2年半かけてゼロにしていくということで、この手当の話も、実際は平成20年台からどこの自治体も見直しをして、ゼロにしたり、半分にしたりしているわけでありますが、相模原市では一般財源を使ってこれまで続けてきました。これが続けられる行政の体力があれば良いのですが、新たなものをやっていきたいという時に、やはりこうした扶助費を初めとする見直しというのは、進めていかなければなりません。給付を受けている皆さんにとっては辛いお話だと思いますが、しかしその分、福祉の基盤をしっかり整備していくというのが、今回の私たちの大きな主眼でありますので、そういった中では、一般財源14億円の扶助費を見直して、そして新たに基盤整備で14億円使ってプラマイゼロではないかという話もあるかもしれませんが、この中の8億円は国のお金を利用させていただきますので、8億円を新たに他のところに使えるという一般財源の捻出にもなってまいります。これも障害者の皆様とお話をする中で、相模原市としては寄り添った対応をしていかなければならないと思いますし、これからも障害のある方々の意見をもちろん聞いていくつもりでありますが、時代とともに見直しをしていかなければいけない部分はございます。私も皆さんの審判を受けて、選挙で市長に選ばれていますので、それを考えると市民の皆様にマイナス的な改革をせずに、ずっと同じ体制でいれば良いのかもしれませんが、それは次の市長や次の世代の相模原市を背負っていく人たちに、大きな負債を抱えさせてしまうことになりかねませんので、やはり見直せる部分は見直していく、ここは逃げてはいけないと思ってやります。確かに障害のある方々からは町中を歩いていて、市長さん5千円切らないでとか、私たちはあれで生活しているんだよという話もいただいて、非常に心が痛いです。しかし、私は首長として決断しなければいけない時が来たと思ったので、今回、提案させていただきました。これは市議会のご同意をいただけるか分かりませんが、前例踏襲型ではない、チャレンジする相模原市に変えていくには、私自身が先頭に立っていかなければいけませんから、これからも障害のある皆さんを始め、市民の皆さんと対話をし、顔の見える市長として様々な場所に出ていきたいと思っています。また障害のある方々だけではなく、いろんな方々にこれから様々な事業や施策を行う中で、ご負担やご迷惑をおかけしたりしてしまうこともあるかもしれません。例えば今、最終処分場の第3期の選定を行っているところでありますが、こうしたところも、津久井の根小屋そして南区の麻溝台という地域に入っていって、しっかりと寄り添ってお話を聞いていかなければいけないと思っています。最後は私の責任で、最終処分場の場所も決めさせていただきますということをお話していますが、こうした先頭に立ってやらなければいけないという覚悟の中で、今回提案させていただいております。
中山間地域の持続可能な医療の在り方に係る基本方針の策定について
(毎日新聞記者)
以前にもお伺いしましたけれども、反対の署名が約3,200筆寄せられており、ここで基本方針案から基本方針になったわけですが、診療所の統合が1年延びる、2年延びるという結論だと、反対の署名をされた方々は納得いかないのではないかなというふうに私は考えております。方針と同時に、例えば交通手段をどうするかというようなことを提示するというのであればまた違うのでしょうけれども、1年先延ばしとか2年先延ばしというと、やはり日連や千木良の診療所を使われている方々は、なかなか納得できないのではないかと思います。市長にこんなことを言うのはなんですけれども、相模原市と合併して良いことないよという言葉をちょっと耳にしたのです。たらればの話ですけれども、相模湖町、藤野町だったら、こんなことにはならなかったみたいな気持ちがある方もいらっしゃるので、その辺を今後どうやってご理解いただくのか。診療所を存続させるということも一つの選択肢だと思いますがいかがでしょうか。
(市長)
昨年10月、12月に約3,200筆の署名をいただいておりまして、これは記者にも昨年お話しましたが、非常に重く受け止めております。私も地域を歩いていて、旧市の皆さん、それから合併をした旧津久井郡4町の人たちから未だに合併しない方が良かったのではないかという声を聞くことがあります。これは元に戻れないわけでありますので、指定都市になって、そして私たちが首都圏南西部や県央地域のリーダーとして、さらに圏域の皆さんと協力しながら、様々な市民サービスを向上させなければいけない中で、私にとっては本当に辛い言葉であります。ただ合併当時、対立を生んで住民投票があったりとか、いろんな事案があったことも承知をしています。そして合併後の市長選挙は激しい選挙だったということも覚えています。けれども、私たちは未来に向かってこれからも進んでいかなければいけない中で、私はよく72万市民はファミリーという言い方をしていますが、家族、誰1人取り残さないという視点で取組を進めていきたいと思っていますので、これからも寄り添った対応を行っていきたいと思います。なお6つの診療所が、いわゆる3.5になってしまうという中で、あるものがなくなるということはやはり心配だと思います。私が市長になってから南市民ホールとかアイススケート場とか、市体育館とか、廃止に関するお話がございまして、厳しいご意見もいただいておりますが、そこも真摯に受け止めています。この中山間地域医療は、先ほどお伝えしたようにICTを活用した訪問型オンライン診療などを皆さんのお宅に行きますという形で、まずは令和6年度に試行的に実施させていただきますので、ぜひ体験いただいて、ご理解いただけたらと思っています。こうしたことを踏まえ、キャリア4社と取り組むスマートフォン教室なども率先して、藤野、相模湖、津久井地区で行うところです。この地域の移動手段の大きな課題や、4年前の令和元年東日本台風でプッシュ型の情報発信ができていなかったという反省なども踏まえて、やはり1人1台スマートフォンを持っていただいてプッシュ型で情報発信していくとか、あとはシニア世代の皆さんが情報を取りに行けるとか、そういう形で寄り添った対応をしていきたいと思います。いずれにしても、今、記者から言われたようなシニア世代、障害のある方々含めた中山間地域における移動手段の課題については、昨年、けんこう号とか福祉有償運送なども運行して使われておりますけれども、もっと寄り添った対応により、移動ができるような形を考えていきたいと思うし、移動しなくてもドクターもしくは看護師さんがご自宅まで伺う訪問診療やオンライン診療なども、まず知っていただきたいというふうに思います。もちろん不安や、そして、お叱りの声というのは真摯に受け止めてまいりますが、まずは新しいことにもチャレンジさせていただきたいという中で、私たちも寄り添って、新たな取組をご覧いただき体験していただきたいと思っています。令和6年度は、車両を用いた訪問型オンライン診療の実証事業を2カ月間行いますので、なるべく多くの方に現地に行き、見ていただいたり経験していただきたいと思っています。その中で、令和9年度、10年度を目指してこの診療所の再編をしていきたいと思っています。
能登半島地震及び防災対策について
(共同通信記者)
冒頭お話のあった能登半島地震ですが、相模原市からも対口支援先の津幡町をはじめ、現地にこれまで延べ255人を派遣されているということで、直接・間接を問わず、支援に当たっている方たちの労をねぎらいたいと思います。それから被災地は、1カ月以上経過した今でもまだ過酷な状況が続いています。現地の支援に入られている方には安全や健康に留意して、活動に当たっていただきたいということを願っています。その地震の関係で2つほどお伺いしたいのですが、先ほどお話があった支援チームの設置を検討、指示をしたということですが、これはどんなことをやろうと想定されているのか、あるいはその規模感とか期間的なこととか、何か思い描いていることがあれば、教えていただけますか。
(危機管理局長)
こちらの支援チームの体制ですが、庁内横断的な組織の中で実施をさせていただきたいと考えております。能登半島地震の対応に関しましても、日々支援のニーズが変わってきておりますので、当面はそういったニーズにきめ細やかに全庁的に対応するために、各関係機関が同じテーブルで協議をする場が必要であろうということで、プラットフォーム的なものをまず作らせていただきたいと考えております。また、支援をしながら様々な課題が浮き彫りになってきているというところがございますので、本市としては受援計画という支援を受ける際の計画はあるのですが、支援をする側としての計画をこれまで定めておりませんので、そうしたものにも今回の取組が結びついていけばと考えています。
(共同通信社記者)
能登半島地震の影響で、1月に予定されていた九都県市合同防災訓練の図上訓練を相模原市は中止にしました。図上訓練は1年おきに隔年で行われているのですが、過去2回、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、縮小した形での実施を余儀なくされています。今回は久々にフルスペックで開催される予定であったというふうに聞いております。先ほどお話があった受援の関係を、今回は訓練で行う予定だったということですけれども、やむを得ない事情とはいえ、こういった十分な訓練ができない状況が長く続くということについて、何か懸念はないのでしょうか。それからそれを埋めるための取組というのを何か考えていらっしゃいますでしょうか。
(市長)
今ご指摘いただいた防災訓練ですが、相模原市では総合防災訓練を9月にいつも大規模で実施していて、あと各区でも行っていますが、私としてはもっと細かく防災訓練をやるべきだなと常々思っています。今回の被災地を見ていると、孤立対策が非常に大事だということを感じていますし、珠洲市に派遣して昨日から活動してもらっている保健師の皆さんは、珠洲市内のホテルにいるのですが、電気は復旧しているけれども水が出てこない、水を流せないしシャワーも浴びられないという話を聞いています。私も実際にそういった経験がありませんので、本当にそういった状況になった時に自分がどうなってしまうか、また情報はどうやって取りにいったら良いのかということで、例えば今回、避難所105カ所とか帰宅困難者の一時滞在施設17カ所に、ラジオが1個だったのを2つ追加して3つにしたりとか、現地に行った皆さんからいろんなお声を聞く中で、足りていないところを今、補うよう取り組んでいますけれども、これからのことも考えると、今回、訓練を実施できなかったということは、一つ反省しなければいけないところだというふうに思っています。相模原市は首都直下地震とか南海トラフ地震といった切迫性の高い地域でもありまして、また線状降水帯の発生に伴う大きな災害があるかもしれないし、昨日の雪も各区で降り方が随分違いますが、例えば私は南区の小田急線・横浜線沿いに住んでいるのですが、あの雪でも、生活が非常に不便になってしまって、立ち行かなくなってしまうという現状があります。ですから本当にこれからどんなことが起こり得るか分からない中で、常に備えとともに訓練が大切で、図上訓練だけではなく、さっき言ったように細かい、できれば自治会単位、もっと細かい班単位とかグループで小さく行っていただきたいと思っています。実際に災害が起きた時にはお隣にいる方が一番頼りになると思うので、日頃からそういった住民自治、コミュニケーションを充実させていただくような、やはり顔の見える関係というものを構築する必要があると思います。特に相模原市内の約半分が集合住宅ですから、そういった意味ではどうしても自治会とかに加入しないと、3階の方はどんな人が住んでいるのだろうとか5階はおじいちゃんいたかなとか、関係が希薄になってしまう部分がありますから、普段からやはり地域の訓練とか、催し事やお祭りでも結構です。顔の見える関係を築いていただき、そして今回、九都県市の図上訓練はできませんでしたが、これから令和6年度にいきなりたくさんの個別訓練を実施できるかと言ったら難しいかもしれませんが、少し計画を練って対応していきたいと思います。昨年は関東大震災から100年の節目の九都県市合同防災訓練を大きく実施しましたが、あのような訓練も大事ですが、本当に私は、細かいところが大切だと思っていて、普段の公務においてもやはり寄り添った対話というのは、少し限られた人数でないとできませんから、私は日ごろからそう心がけていて、これからも続けていくつもりです。防災に関しては本当に、能登半島地震を教訓にして私たちも気持ちを引き締めて取り組まなければいけないと思いますので、しっかりとご忠告いただいたことを踏まえて、取り組んでいきたいと思います。
(NHK記者)
今回の予算の中にも、防災資機材の整備の予算付けをされているというところもありますけれども、この能登半島地震を受けて、例えば避難所の備蓄であるとか、市が今保有している備蓄といったもので、今回の地震を受けて何か足りないものを補っていくとかということは、具体的に何かこれを追加しなければいけないとか、現時点で考えていらっしゃることがあれば、お聞かせいただければと思います。
(市長)
例えばホワイトボードです。タブレットなどの電子化がどんどん進んだとしても、現地では付箋とかを貼って取り組んでいます。あれが一番良いというような話を、現地の報道を通して聞いていますから、そういった対応もしなければいけないと思っています。そのほか、コミュニケーション支援ボードとか手話通訳、要約筆記用のビブス、それから災害時用の杖なんかも避難所に備えておこうとか、あと先ほどお伝えした手回しや太陽光で充電でき電池でも使えるラジオ、あとは災害用トイレです。トイレに関しては本市では比較的充実している方かと思いますが、トイレの問題はよく聞いていますので携帯用トイレなど、さらに充実させるよう少し見直していきたいと思っています。
(NHK記者)
孤立対策について先ほどおっしゃられていましたけれども、相模原市緑区の中山間地域とか、そういったところは急な地震が起きたときに、道路が寸断されたり、土砂崩れが起きたりということで、救助隊や消防隊などが、なかなか現地までたどり着けないというような事態に、おそらくなるのではないかと予想されるのですけれども、かつ昨日の大雪でも、国道20号が渋滞してしまったりとか、保土ヶ谷バイパスが使えなくて渋滞するとか、そういったことが大いに考えられる中で、高速道路も使えなくなる可能性が高いですから、そういった時に下の道でどうやって現地に行くのか、かつ、孤立しているところにどうやってアクセスするのかというところは、今後検討しなければいけない課題として何か考えてらっしゃいますか。
(市長)
実は昨日夜、妻の車がスタッドレスのタイヤだったので、どんな状況か少し走ってみました。そうしたら、やはり坂のところで皆スリップしてしまっていて、それでものすごい渋滞になっていて、上下線とも渋滞になっているとか、保土ヶ谷バイパスも東名高速道路も渋滞で全く動かない状況でした。家から普段10分ぐらいで行ける距離に1時間以上かかったし、帰ってくるのにも1時間弱かかりました。日頃からどういった経路を通ったら良いのかということも含めて、昨日は雪でしたけど、例えば地震があった時は、家屋の倒壊などにより通れない道も出てくるので、シミュレーションしておくことが本当に大事だと思いました。対応については引き続き検討させていただきたいと思います。
人権尊重のまちづくり条例案について
(東京新聞記者)
人権の条例なのですけれども、去年の11月に概要を公表されてから、人権に関連する団体、外国人を支援する団体など、皆さん答申どおりにしてくれと要望や抗議をされていましたけれども、今回の条例を見ると、要望や抗議があった部分がなかなか反映されていない。この理由についてご説明いただければと思います。
(市長)
昨年条例案骨子を公表させていただいて、多くの市民の皆様からパブリックコメントや市民意識調査、それから団体等からご要望もいただきました。今日私がチューブファイルに挟んでここに持ってきたのは、パブリックコメントでいただいた約3,000件のご意見です。読ませていただきましたが、意見としてもちろん私たちは踏まえていかなければいけないと思うし、また、人権施策審議会からいただいた答申、ここを尊重していかなければいけないという視点の中で、今回の条例は、本市にふさわしい、立法事実がある事柄を、72万市民の皆さんのために、誰1人取り残さない安全安心なまちを作っていきたいという中で、一人ひとりがかけがえのない個人として尊重されて、互いの人権を認め合う共生社会を作っていきたいという、人権尊重の理念を広めていくという条例にしていきたいと思っています。いただいたご意見がなぜ反映されないのかというのは、これは本市における立法事実がないご意見もあったりしましたので、そういった中で参考にはさせていただきたいと思いますが、私たちはまず、72万市民の皆さんの今の生活の中で安全安心な共生社会を作っていきたいという中で、特に津久井やまゆり園事件という本当に忘れられない、二度とあってはならない事件があり、この事件がこの条例を作る一つの大きな契機となったのは事実でありますので、こういったものを踏まえました。今回様々なご意見をいただく中で、私たちとしてまずは立法事実に基づいた形での条例案にしたいと思い、提案をさせていただきますが、今後も様々な皆さんと立法事実を確認したり様々なご意見を伺う中で、その時代に合った本市に合った条例に変えていかなければいけないと思っています。
(読売新聞記者)
人権条例の前文なのですけれども、津久井やまゆり園事件についての記述が、骨子の時と条例案で変わりました。その背景や理由について、改めてご説明お願いします。
(市長)
津久井やまゆり園事件につきましては、条例案骨子に関しましても前文に私たち市の想いや認識を記載させていただきました。しかしながら、その後の市議会全員協議会とか、それからマスコミの皆様からの取材とか、それから先ほど言った市民意識調査やパブリックコメント、様々な団体からのご要請、ご要望、こういったものを踏まえた中で、私たちはもちろん、これは先ほど言ったようにあってはならないし、二度と起こしてはならない事件だと思っていますが、この風化させてはならない事件に対して、様々なご意見を非常に多くの方からいただきました。私たちとしては、この津久井やまゆり園事件があった自治体として、起こった事件をしっかり、強く踏み込んでお伝えしないといけないという気持ちの中で、今回、記述を強くして書かせていただいたものです。
(読売新聞記者)
それから差別的言動の禁止対象は本邦外出身者に限られているわけなのですけれども、その他のこれまで立法事実がないということで、禁止対象になっていない属性というのがありますけれども、もし今後3年も経たずに、そういったことが起きたような場合、どのような対応を考えていらっしゃいますか。
(市長)
これも、条例案骨子を説明した時から考えは同じでありまして、例えば条例施行後3年経たなくても、そういった事案が起こり得た場合には、やはり条例改正に踏み切らなければいけないと思います。ただし件数とか度合いとか、何件になったら改正するのですかという質問に対しては、この場ではなかなかお答えしづらいですけれども、やはりそういった環境が変わったということを私たちが感じ取った時に、市議会の皆様に対して条例改正の提案をさせていただきたいと思っております。
(朝日新聞記者)
今の記者の質問にもあったのですが、今回、禁止や拡散防止の対象になってない様々な差別について、例えば、非常に柔軟に市長さん自身が声明を発することもできるという規定があります。ケースバイケースでこういう規定を積極的にお使いになろうという考えはございますか。
(市長)
まだ事案が起こってないので、積極的にということはちょっと捉え方が難しい部分もありますが、ただやはり条例を作るからには、今、記者から言われたように、声明というものがありますので、不当な差別的取扱いや言動に関して、いわゆる一般禁止から拡散防止、禁止措置の中で、そういったものが起こり得た時には、やはりこれは使うために入れている声明でありますから、その際には使うというふうに思います。
(神奈川新聞記者)
条例についてもう少し具体的にお伺いしたいのですけれども、禁止措置の点についてまずお伺いします。昨年の11月に条例案骨子を発表した後に、専門家の集まりである審議会から、やはり禁止措置の対象は狭め過ぎであると。特に今回罰則を付けないのであれば、さらにもっと対象を広げるのではないかというふうな意見が出ました。これについて、市の方でどのように検討して、今回条例案骨子と変わらない訳ですけれども、なぜこのような結論に至ったのかについて改めて教えていただけますでしょうか。
(市長)
まず、市の附属機関である様々な審議会がございます。その中で、審議会に諮問をさせていただき、答申をお受けします。これは人権施策審議会に限らず、あらゆる審議会に言えると思うのですが、例えば、審議会から来た答申をすべて市が受けて形にするかと言ったらそうではなくて、ここも何度もお話していますが、立法事実というものを確認した中で、やはり人種・民族・国籍の禁止事項に関しては、条例案骨子のとおり立法事実としてあるものを挙げさせていただいています。審議会からの答申を100パーセント受けるという時ももちろんあるかもしれませんが、私たちは審議会にまずは参考のお考えをいただいて。
(神奈川新聞記者)
市長、質問の趣旨としては、11月の条例案骨子公表後に、審議会から対象を広げるべきだという意見が出されました。それに対して、市としてどのような検討をなされたのですかというご質問です。(市長)
これもずっと同じことをお話ししていますが、そもそも立法事実に無いものを私たちは属性の中に入れる訳にはいかないと思っていますから、その中で条例案骨子のとおり、立法事実に沿った形のものを挙げています。審議会からの意見は意見として、しっかりと受け止めなければいけない部分もあるのでしょうけれども、ただ私たちは先ほどお話したように、72万市民の皆さんの共生社会の実現のために、人権尊重のまちづくり条例を作っていこうということが今回の大きな柱でありますから、そういった意味では、72万市民の皆さんの今の生活の実態に合った、安全・安心のまちづくりを進めるための条例案にしたというふうに思っています。
(神奈川新聞記者)
市長がおっしゃった立法事実というのは、おそらく市が昨年5月に行った、各団体への調査の結果を踏まえての立法事実というふうにおっしゃっていると思うのですけれども、そもそも前提として、立法事実の捉え方は大きく分けて2通りあると認識しています。1つは、今すでに起きている差別的言動があるということに対して、それを立法事実というふうな捉え方をするもの。もう1つは、たとえ市が調査した範囲では見当たらなかったとしても、他市の状況であったりとか、社会情勢を踏まえて、今後、相模原市で起きる可能性も含めて、積極的に捉えて、予防措置も含めて立法事実という、大きく分けて消極的か積極的な捉え方があると思うのですけれども、それについて、おそらく市は前者の消極的な捉え方をしていると思うのですけれども、広い意味で言うと、後者の捉え方として、今後起きる可能性も含めて立法事実として捉えて、禁止措置に加えるという選択肢も出来たと思うのですけれども、それをあえて選ばなかった理由というのは何なのでしょうか。
(市長)
消極的か積極的かというのは記者の見解でありますから、それは受け止めておきます。私たちはあくまでも今起こっている事実、事案、これを立法事実としている訳であって、もちろん予測をして行うというお話も中にはあるのかもしれませんが、私たちが今回条例を作ろうと思っているのは、今起こっている立法事実に沿ったものであり、何度も言いますが、基本的人権の「表現の自由」、ここを侵害しないようにしなければならない部分もありますので、そうした考えの中で作らせていただいています。
(神奈川新聞記者)
市長そういうふうにおっしゃいますけれども、市はこれまでずっとこの条例案にある、今回で言うと第21条のところで、それを不当な差別的言動だというふうに捉えて、津久井やまゆり園事件はここに当たらないから立法事実として捉えてないという説明をされていますけれども、津久井やまゆり園事件は、ここに当たるような事実が無かった中で、あのように障害者であるという理由だけで殺された訳です。今回の条例案で、市も不当な差別的思考に基づく犯罪ということは書かれている訳です。つまりそういった事実が無かったとしても、今後そういった事件がもう一度起こり得る可能性がある訳です。そういったことを考えると、やはり事件が起きた自治体として、禁止措置の対象に加えるべきではなかったのでしょうか。そのようにはお考えにはならなかったのでしょうか。
(市長)
津久井やまゆり園事件は立法事実ではないというお話を繰り返しさせていただいております。津久井やまゆり園事件は二度と起こしてはいけないし、また風化をさせてはいけない。それから、この条例を作る大きな契機となったもの、これは事実です。しかしながら、私たちが今回作る条例というのは、例えば公共の場と言われている広場とか道路とか、そういったところで拡声器などを使って不当な差別的言動をすることを、してはいけないということを言っている訳でありまして、そこには津久井やまゆり園事件が当たらないということで、立法事実ではないという話をさせていただいています。
(神奈川新聞記者)
今回、案の段階で、先ほど説明にあったように、前文を書き換えていらっしゃいます。そこでは、津久井やまゆり園事件を差別に基づく犯罪であるということと、風化させないということだけではなくて、二度と繰り返さないというふうなことが書かれています。そうすると、二度と繰り返さないためには、どのような施策にどう取り組んでいくべきなのか、というふうなことが問われている訳です。差別に基づく犯罪ですから、ヘイトクライムを、差別に基づく犯罪を二度と繰り返さないためには、差別を広め拡散させるヘイトスピーチこそ規制をしていかなければいけないというふうなことになります。しかしながら、出した結論というのは、禁止の対象にもしていない。氏名公表にもしていない。もちろん罰則にもならないとしている。言っていることの辻褄がますます合わなくなってしまっている。繰り返しお尋ねしますが、津久井やまゆり園事件が立法事実に当たらないというふうに考えているのはなぜですか。それは、多くの憲法学者や行政学者、あるいは県弁護士会の弁護士も含めて、この答申のとおりに条例を作るべきだと。それは可能なのだと。憲法にも違反しない。地方自治法にも違反しない。そういうふうに述べている訳です。それをあえてしない理由は何ですか。
(市長)
これも何度もお話していますけれども、記者と私の考えの違いだというふうに思っていますが。
(神奈川新聞記者)
今言っているのは私の考えではなくて、専門家が言っています。
(市長)
記者はそう思っていないのですか。
(神奈川新聞記者)
もちろん私はそう思っています。
(市長)
思っていますよね、だからそうではないですか。記者とかそういった専門家のお話はお話で受け止めております。でも私たちは先ほどから言うとおり、今回の条例というのは、津久井やまゆり園事件がもちろん契機となったのは事実なのです。私たちもそれは二度と起こしてはいけないし、風化させてはいけないという想いでいますし、本当に重大な事案だというふうに思っています。しかし、今回私たちが作る条例というのは、先ほど申し上げたとおり、例えば道路とか広場とか公園等で、拡声器を使って公共の場で、いわゆる不当な差別的言動を行うことを止めさせようという話でありますから、津久井やまゆり園事件とは、少しこの条例の中身において、ちょっと違うのではないかというふうに思っています。
(神奈川新聞記者)
津久井やまゆり園事件の捉え方もおかしいと思っていますし、なおかつ、市役所の前で行われていたヘイトスピーチの街宣を、これについては、市長も被害を受けている当事者から面と向かって被害を訴えられています。このヘイトスピーチを受けたことによって、平穏な暮らしが破壊されている、ちょっとした人影にも怯えるようになっている、というふうな被害を訴えられています。そのことを直接市長は聞いています。それなのに、なお立法事実が無い、差別による被害が無い、ヘイトスピーチの被害が無いというふうにとぼけていらっしゃるのはなぜですか。
(市長)
とぼけている訳ではなくて、ヘイトスピーチの認定はそもそもここでずっと議論してまいりましたが、私たち行政が、ではこの発言がヘイトスピーチですねと決定することはできないので、人権委員会という附属機関を作って、そこに諮問していくということで。
(神奈川新聞記者)
これもこの間言いましたけれども、そうであるにも関わらず、ヘイトスピーチは無かったというふうに判断をしている訳です。市長が本当に言うように、自分たちで判断できないというのであるならば、きちんとアンケートなどに寄せられた事案を精査する際に、何のトレーニングも研修も受けてない市職員の人たちがやるのではなく、ヘイトスピーチの専門家に、これは果たしてヘイトスピーチに当たるのだろうか、立法事実になるのだろうか、というふうな意見を聞くべきだと思いますがいかがでしょうか。
(市長)
人権委員会の人選に関して、最後まで悩んだのが、議会案件の。
(神奈川新聞記者)
人権委員会の人選のことを言っているのではないです。案を作る今の過程のことを言っているのです。
(市長)
ちょっと聞いてもらって良いですか。人権委員会のメンバーに私たちはヘイトスピーチかどうかということを諮問するわけですから、そういった時にメンバーをどういうふうに決めていくか。
(神奈川新聞記者)
そのことは聞いていません。
(市長)
ちょっと聞いてください。人権委員会のメンバーをどうするかということは、最後まで悩みました。議会案件にするのかどうか。ただ、法的に関連するものは、附属機関でも議会案件にしているのですが、今回そういった意味では違ったので、私たちはこれから人選に入っていきます。委員は7人以内ですが、その人選の時に、やはりふさわしい方を選んでいかなければいけないと思っていますので、記者から言われたような、例えば憲法学者さんとか、行政に強い様々な研究者の皆さん、そういった方々をバランス良く入れていかなければいけないと思っていますので、この条例が通れば、メンバー決めを非常に慎重に行っていきたいと思います。やっぱりバランスが非常に大事だと思っていますので、その時また記者にもご相談差し上げるかもしれませんので、アドバイスいただければと思います。
(神奈川新聞記者)
あと立法事実のことでまた言いますけれども、立法事実は無いというふうにおっしゃっていますけれども、まさにこの市民の意識調査の中で、8パーセントの人が実際に街中でヘイトスピーチを見聞きしたというふうに回答されていると思いますけど、そこのただし書きについては、9割の人が見たことが無いというふうな説明になっていますけれど、むしろ逆で、私の感覚からすると、1割もの人があの酷いヘイトスピーチに触れているんだなというふうな実感です。県内33市町村を見渡しても、実際に街中でヘイトスピーチの街宣が行われている自治体というのは、川崎市や相模原市、あと平塚市や横須賀市などで数回あったことがありますけれども、あと横浜市でもありましたけれども、本当に限られていて、そういう意味では1割もの人が、実際にヘイトスピーチを見聞きしたというふうなことは、大変大きな立法事実だというふうに考えられます。しかも、実際この市民アンケートを裏付けるように、パブリックコメントの中でも、実際に相模大野の駅前で酷いヘイトスピーチを見ましたと。あんなものが放置されていれば、平穏に生活ができませんというふうな声も寄せられています。どうしてこれを立法事実と捉えずに、先ほど意見は意見として受け止めておくというふうに片付けられるのでしょうか。先ほどおっしゃった、72万市民にふさわしい誰一人取り残さないと言うのであれば、まさにこの市民意識調査とパブリックコメントに寄せられた声を立法事実として、ヘイトスピーチを禁止する罰則を設けて、規制をして、二度と繰り返さないような仕組みを市として作っていくんだというふうなところに、なぜ踏み出せないのか。それこそが、市長がおっしゃっていた、チャレンジする相模原市になるのではないでしょうか。これは実際に、2月2日に戦略会議があったと思いますが、どの職員の皆さんもこのままの条例で良いとされ、どなたからもこのままの条例では駄目だと、きちんと差別と向き合う条例にしていこうというふうな声は上がらなかったのですか。
(市長)
今回、諮問期間が3年半ありまして、去年の4月に答申をお預かりして、この間、庁内の会議でも大分議論してまいりました。今回、市民意識調査とかパブリックコメントとかを見ていく中で、私も拝見しましたが、本当にこの人権尊重のまちづくり条例に関して、皆様が様々な考えを持ち、多様性を持って、いろんな角度からご意見をいただいているなというふうに思っています。さらに言うと、いろんなご意見がある中で、なかなかこう真ん中というご意見が無くて、どちらかというと左右に分かれるようなご意見になっているのかなという感じがしています。
(神奈川新聞記者)
どのあたりがですか。
(市長)
具体的には良いですけど。
(神奈川新聞記者)
具体的に答えていただけますか。私が見た限りでは、答申どおりの条例にしてくださいという声が圧倒的に思えます。
(市長)
それは記者の感覚だというふうに思っていまして、私たちも、例えばこの約3,000件のパブリックコメントの意見が来ているとか、それから市民意識調査は3,000通のうちの21パーセント、600通ぐらいのご回答があり、ご意見聞く中で、図に落として対照にしたのですが、やはり考え方が真ん中というのは少なくて、結構両端に分かれている感じがしました。これは、ご覧いただければ。
(神奈川新聞記者)
市長がおっしゃっていることも分かります。条例に対する反対側の意見というふうにおっしゃっていると思いますけれども、そこには、外国人が治安を乱す、あるいはトランスジェンダーが女性の安全を脅かすといった、それこそまさにヘイトスピーチであり、まさに立法事実とするべき意見がパブリックコメントの中に寄せられていると思います。それは決して意見として扱ってはいけないヘイトスピーチだと思います。
(市長)
ヘイトスピーチかどうかというのは、先ほど言ったように、私たちが決められない訳です。記者はヘイトスピーチかどうかというのを判断できるのかもしれませんが、私にはそれはできません。だから今回条例を作って、人権委員会に諮問して、お伺いを立てるというところであります。専門的な見地の人たちにお願いしていく中で、まだ委員は未定ですが、例えば記者がご推薦される方々を含め、いろんな方々をバランス良くメンバーに入れていくというのは大事だと思っています。
(神奈川新聞記者)
前回の会見で憲法学者の方に意見を聞くべきだというふうに言いましたが、聞いていただいていないようですけど、どうして聞かなかったのですか。
(市長)
それは私たちの考え方でありますから。
(神奈川新聞記者)
本当に答申どおりの条例を実現したいのであれば、この条例が出来るというふうに言っている学者や専門家の意見を聞くべきだと思いますが、どうして聞かなかったのですか。
(市長)
考え方は色々とあります。記者は記者の考え方で、一定の支持層や支持者がいらっしゃると思うのですが、逆に言うと、記者と違う考え方の方々もいらっしゃる。こっちの意見が正しいとかこっちの意見が駄目だという話ではなくて、いろんな意見が。
(神奈川新聞記者)
人権は意見ではないのですよ。人権を守るのは市長の責任なのです。
(市長)
もちろん責任を持ってやります。でもいろんな意見があるのです。
※質疑応答中の重複した言葉づかいや明らかな言い直しなどは、整理した上で掲載しています。
このページについて、ご意見をお聞かせください
このページに関するお問い合わせ
広聴広報課
住所:〒252-5277 中央区中央2-11-15 市役所本館3階
電話:042-769-8200 ファクス:042-753-7831
広聴広報課へのメールでのお問い合わせ専用フォーム