令和5年度 1月定例記者会見
- 日時 令和6年1月9日(火曜日)午後2時~3時30分
- 場所 市役所第2別館3階第3委員会室
(市長)
【あいさつ】
皆さん、こんにちは。記者の皆様には、新年早々にお集まりいただき、お礼申し上げます。本年もよろしくお願いいたします。
冒頭ではございますが、1月1日に発生した令和6年能登半島地震で亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様ならびにそのご家族の皆様に心からお見舞いを申し上げます。被災した各地では、停電や断水が続いており、住民だけでなく、帰省されていた方など、多くの方が厳しい避難生活を強いられている状況です。本市におきましては、地震発生後、直ちに危機管理局職員が登庁し、情報収集を開始しました。本市の被災地への人的支援といたしましては、まず、緊急消防援助隊の神奈川県大隊の一員として、輪島市への7隊21人の派遣が決定し、本日朝、相模原消防署において、私も参加し発隊式を行いました。隊員は既に現地に向け出発しております。また、厚生労働省から保健師の派遣要請に基づき、2月5日から2月16日までの間、保健師2名及び業務調整員2名で構成するチームを石川県の珠洲市に派遣いたします。避難所等における健康観察などの医療支援に従事します。 このほか、指定都市市長会の行動計画に基づくものとして、本市が支援する被災自治体が石川県河北郡津幡町になることが1月4日に決定いたしました。当初1月5日から派遣する予定でしたが、先方との調整の中で、明日、1月10日に先遣隊として4名、1月12日に本隊として9名の職員を派遣する予定で、支援内容については、現在調整を続けております。その他の応援職員の派遣では、国土交通省を通じた要請に基づき、応急危険度判定のための建築職の派遣準備を行っています。また、石川県からの要請に基づき、下水道管路被災調査等の土木職の派遣準備も行っています。具体的な派遣先等の連絡があり次第、いつでも派遣できる体制を整えています。また、正式な協力要請はありませんが、災害ゴミの収集運搬、本市に避難する被災者に対する市営住宅への入居などの住宅支援や学校の受け入れなどについても、具体的な要請があった場合に備えて準備をしています。被災地への義援金につきましては、1月5日から、各区役所やまちづくりセンター等の17カ所で受付を開始しました。5日に開催した市賀詞交換会の会場内にも義援金箱を設置するなど、市民の皆様のご協力をお願いしています。引き続き、市ホームページや広報等で周知に努めてまいります。また、義援物資につきましては、石川県に対して申し出を既に行っており、被災地のニーズを踏まえて提供してまいります。また、発表資料のとおり、明日1月10日からさがみはらSDGsパートナーと連携し、売上を全額寄付するチャリティー販売を市役所ロビー等で行います。当該販売者「青い鳥」を通した、まちのコイン「すもー」による寄附も受け付けておりますので、ぜひご協力をお願いいたします。いまだ被害の全容が明らかになっておらず、被災地に必要となる支援の情報が不足していますので、引き続き情報収集を行うとともに、適切なタイミングで必要な支援が届くよう、関係機関の皆様にもご協力いただき、準備してまいります。
さて、年明け1月2日、3日に、東京・箱根間を大学生がタスキを繋いで走る、「第100回箱根駅伝」が開催されました。今年も本市にゆかりのある大学として、本市のスポーツ宣伝大臣を務めていただいている原晋監督が率いる青山学院大学陸上競技部の選手の皆さんが出場され、攻めて勝つという気持ちを表した「負けてたまるか大作戦」に乗せて、日々積み重ねてこられたご努力の成果を遺憾なく発揮され、2年ぶり7度目の総合優勝を果たされました。誠におめでとうございます。72万市民の一人として大変嬉しく思っております。また、青山学院大学を含めまして、本市では14校の大学と包括連携協定を結んでおりますが、その中では、國學院大學、東海大学、法政大学が本選に出場され、選手の皆さんの想いの詰まったタスキリレーを、手に汗握り精一杯応援させていただきました。今後も各大学の皆様が切磋琢磨し、更なる飛躍を遂げられるよう引き続き応援してまいります。
スポーツに関しまして、本日、大谷翔平選手から寄贈される野球グローブが本市に到着しました。グローブは明日以降、各校へ順次配布いたしますが、大谷選手の「子どもたちに野球を楽しんでほしい」という思いを汲み、本市では、キャッチボール専用のボール2つと、大谷選手に関する本1冊を併せて配布いたします。子どもたちにグローブやボールを使って野球に親しんでもらうだけでなく、大谷選手の生き方から様々なことを感じ取り、夢や希望を育てるきっかけとなれば幸いです。
さて、本日の案件は3件で、1つ目が「令和6年の取組」について、2つ目が「市施行70周年記念事業」について、3つ目が「スマートフォン普及促進事業」についてとなります。
それでは1点目、「本年の取組」についてです。まずはじめに、本年の抱負を漢字で表してみたいと思います。モニターをご覧ください。このように「挑」という漢字で表してみました。これは、急速に変化する社会情勢と市民ニーズを的確に捉えるとともに、行政サービスの向上と魅力あるまちづくりに向け、前例踏襲型に陥ることなく積極果敢にチャレンジすることで、市民の皆様の生活をより良くする改革を進めるということや、市内企業や本市にゆかりのあるスポーツ選手をはじめ、挑戦を続ける市民の皆様を全力で支援・応援していくという私の想いとなります。
本年は、昨年から引き続いて「子育て」、「教育」、「まちづくり」に重点を置き、小児医療費助成制度の対象年齢を高校生世代まで拡充するほか、駅周辺において休日に理由を問わず未就学児を預けることができる休日一時保育事業の開始に向けた取組や、中学校給食の全員喫食に向けた取組など、「子育てするなら相模原」、「教育を受けるなら相模原」と言っていただける施策を進めてまいります。また、市民が誇りを持ち、誰もが暮らしやすいまちとなるよう、リニア中央新幹線駅が設置される橋本駅周辺をはじめとして、相模原駅周辺、麻溝台・新磯野地区等のまちづくりを着実に進めてまいります。この他、第二期を迎える行財政構造改革プランを着実に実行し、持続可能な行財政基盤を構築することで、相模原の次代を担う子どもや若者たちに希望のタスキをしっかりと繋げるよう取り組んでまいります。
2点目は、「市制施行70周年記念事業」についてです。本市は令和6年11月20日に市制施行70周年を迎えます。この記念すべき年を迎えられたことを大変嬉しく思うとともに、先人のたゆみない努力のおかげで今の相模原市があることに心から感謝いたします。この節目の年に、本市の歴史や経験を継承すべく、市民、地域、団体、学校、企業など、皆様と共に70周年を祝い、シビックプライドの醸成を図るとともに、本市の魅力を市内外に効果的に発信し、認知度の向上や関係・交流人口の増加、さらには転入促進に寄与する機会としたいと考えております。 具体には、皆様と共に祝う記念式典の実施をはじめ、ふるさと納税申し込みサイト内や宝くじの図柄を70周年記念のものとするなど、市内外の方が本市に触れる機会を増やしてまいります。また、原動機付自転車への本市独自デザインのご当地ナンバープレートの導入につきましても、70周年記念事業の一つとして、来年度中の交付に向け検討を進めております。このほか、市のイベントにおきましては、「相模原市市制施行70周年記念」の冠をつけるとともに、市関連団体等のイベントにおいても協力をお願いしてまいります。12月9日に市からも発表させていただきましたが、相模原市とゆかりの深いバンド[Alexandros]が、本年10月26日、27日に相模原ギオンフィールドを会場として、市内初の大型野外フェス「THIS FES’24inSagamihara」を開催すると表明してくれています。今年は様々な機会を捉え、皆様と共に祝う機運を醸成し、市制施行70周年を大きく発信してまいりたいと考えております。
3点目は、「スマートフォン普及促進事業」についてです。今般の地震災害において、情報の重要性が浮き彫りになり、そうした情報弱者となり得る高齢者等へのスマートフォンなどの普及が喫緊の課題であることを改めて認識しました。こうした状況も踏まえ、本市では、市内の中山間地域である津久井、相模湖、藤野地区にお住いの65歳以上の方を対象に、ソフトバンク、ドコモ、KDDI、楽天の携帯キャリア4社の協力により、令和6年2月下旬から5月下旬にかけて、地域に密着した集合型のスマートフォン教室と、100台限定となりますが、スマートフォンをお持ちでない方へ機器の一定期間の無料貸与を行います。この事業は実証実験として実施するものであり、対象者や対象地域は限られていますが、この取組を通じて得られた検証結果は、今後のスマートフォン普及促進に向けた検討に役立ててまいります。なお、事業の実施に先立ちまして、本日、この会見後に市役所の第一特別会議室におきまして、 携帯キャリア4社と相模原市で協定の締結式を行います。ぜひ、記者の皆様におかれましては、締結式の取材もよろしくお願いいたします。
最後に、2月2日、3日の2日間に渡り、SDGsの達成に向けた機運を醸成し、企業や団体、市民の皆様一人ひとりの行動を促すことを目的に、杜のホールはしもとで、相模原SDGsエキスポを開催いたします。2月2日は「循環」をテーマとしたシンポジウム、3日は吉本興行所属の芸人等を招いてのステージイベント、JAXAによる特別講演や各種ワークショップ、また、両日に渡り50を超えるSDGsパートナーがブース出展を行いますので、皆様のお越しをお待ちしております。詳細は参考資料をご参照ください。
記者の皆様には、本年も引き続き、様々な面でご取材等いただきますよう、よろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
質疑応答
能登半島地震を受けた本市の防災体制について
(毎日新聞記者)
能登半島地震ですけれども、ご承知のとおり、山間部で孤立集落が発生しました。それから輪島朝市のところで密集地域での火災がありました。火災については北九州市でも同じように大きな火災がありました。孤立集落の発生に関しては、相模原市では緑区が山間部でありまして、そういう意味でも他人事ではないと思いますし、中央区・南区でも急斜面といえるようなところがいくつかあると思います。市の防災体制について、今回の能登半島地震を受けて、市長の受け止めを伺いたいと思います。
(市長)
まず、元日に発生しました能登半島地震におきましては、お亡くなりになられた皆様、そして被災された皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。その中で、私たちも4年前に令和元年東日本台風を経験いたしました。その際も、やはり今ご指摘いただいたような孤立地区というのが、藤野地区や相模湖地区でもございましたし、今回も日に日に安否不明者が増えているという状況、事実が明らかになってきているわけでありますが、やはり孤立地域への対応というのは非常に大切だということを感じています。それから火災におきましても、特に私どもは旧市において住宅密集地がたくさんありますので、輪島市の市場の火災を見ても、他市で発生した災害としてではなく、非常に私たちも考えさせられました。相模原市では、例えば中山間地域を中心として、55の孤立対策の推進地区を定めておりまして、私も昨年は藤野の名倉地区に、この孤立対策の訓練に伺いました。日頃からこうした訓練を繰り返し行っていかなければいけないというふうに思っているのと、ちょうど藤野の自治会連合会長と1月5日にお話した時に、藤野地区自治会連合会の皆さんも、ヘリサインとしてSOSを見せる時に、石灰で書いたSOSとか、様々な色を付けたSOSとか、見え方の違いを研究していることを伺いました。今回の震災では、孤立地区で例えば海藻の昆布を使ってSOSという文字を作って助けを求めている地区があったり、様々な工夫があると思いました。本市でも令和元年東日本台風では底沢や赤馬など、いくつか孤立をさせてしまったところがあります。そういった反省を踏まえて、今後孤立対策の推進をしっかり行っていかなければいけないと思っているのと、やはり今回、横浜市と川崎市が給水車をいち早く現地に出されました。相模原市の大半の区域は神奈川県水を使っていますが、今後やはり給水車の保持というものも検討していかなければいけないかと思っています。市内には22地区の飲料水兼用貯水槽等があるのですが、そうは言っても、やはり令和元年東日本台風の時も、私が青根や青野原地域に行った際に、県内の給水車に大分助けてもらったという思いがありますので、こういった本市が持っていないものについては、用意できるよう検討していかなければならないと思っています。それから、これはまだ内部で話をしているのですが、例えば消防防災ヘリに関しても、私たちは中山間地域を抱えて、かつ、湖や川を持っている中で、本市にはヘリがありませんので、第一順位は川崎市、第二順位は横浜市のヘリが支援いただけることになっております。しかしながら、例えば首都直下型地震や南海トラフ地震など、神奈川県全域で災害が起こった際には、この優先順位もなかなか難しいかと思っていますので、今後の防災強化の面では、給水車・消防防災ヘリなどの検討は進めていく必要があるというふうに思っています。特に給水車に関しては、なるべく早い段階で購入して維持していきたいと思っていますし、消防防災ヘリに関しては、操縦士の育成から、24時間体制で管理するとなるとなかなか大変な部分もあるし、また、ヘリポートをどこに設置するかということもあります。これも例えば、横浜市は横浜市金沢区にあり、川崎市は東京都江東区にあると思います。そういった意味ではヘリポートを維持することも課題になると危機管理局や消防局とも話しました。実現には相当な予算がかかりますから、今ここで「持ちます」とは言えませんが、今後の一つの形としては、そうしたものを検討していく必要があるのではないかと思っています。防災に関しては今回改めて、誰一人取り残さないという視点で、やはり市民の皆様に寄り添った対応を行っていくためには、行政として果たせる責任をしっかり、更に追求していく必要があると思っていますので、今日から緊急消防援助隊が7隊21名、輪島市に出発し、そして明日から、津幡町に職員が先発で4名、12日から9名向かいますが、現地の声なども聞きながら、どうしたら寄り添った対応ができていくかということを今回の経験から学び、そしてそれをしっかり形にしてまいりたいというふうに思っております。
(毎日新聞記者)
ちょうど100年前に地震峠もありましたし、相模原市というと平地の住宅地のイメージがありますけれども、旧津久井郡の山間部は本当に危険なところがあると思うので、その辺の防災対策をお願いしたいなと。今ちょっとお話がありましたけれども、給水車というのは、近い将来購入するということでよろしいのでしょうか。
(市長)
財政的な面でまだ相談できていませんが、私の所感としては、給水車をまず本市として持つべきではないかということは担当者に話をさせてもらいました。持つ方向で検討を進めていきたいと考えております。そういったものがちょっと見えてきますと、来年度の予算も既に固まりつつありますが、やはり防災の面はもう少しプラスアルファしていく必要があるかと思っています。首都直下型地震や南海トラフ地震はもう切迫性が高いと言われていますし、線状降水帯の発生に伴う災害などもいつ起こるか分からないところがありますので、災害に強いまちづくりをしっかりと進めていくために、また議論を進めてまいりたいと思います。
スマートフォン普及促進事業について
(毎日新聞記者)
スマートフォン普及促進事業について、細かいことは協定締結式の場で伺いますが、取材に行けない社もあると思いますので、代表的に1つ伺います。この普及促進事業は、全国や神奈川県内で見てどのぐらいの珍しさなのでしょうか。
(市長)
たしか兵庫県、県単位で携帯キャリア4社との協定を結んだ形はあったようですが、基礎自治体として携帯キャリア4社が揃って協定を結ぶということは、非常に画期的な形ではないかと思っています。私も市長になって一番感じているのは、市民の皆様の移動手段に関して多くのご意見をいただくということ、2点目としてよく職員に話しているのは、プッシュ型での情報発信をどうやったらできるのだろうかということで、就任1年目から、例えば広報さがみはらを全戸配布できないかとか、様々な検討もしてまいりました。情報を取りに来られる方は良いのですが、取りに来られない方にプッシュ型でどうしたら情報をお伝えできるかということが非常に課題だと思っています。そういった中で、DXを推進していく相模原市といたしましては、やはり誰一人取り残さない、先ほどお話しした中山間地域の令和元年東日本台風で、防災行政用同報無線が聞こえなかったというようなお声もいただいていますから、そういった意味では今後、中山間地域の移動手段であったり、防災であったり、様々な情報をスマートフォンを使うことによって、情報を取りに来られる、また、プッシュ型で受け取れるといった環境を整備していきたいと思っていまして、本日の協定締結まで進められたことは非常に嬉しいことであります。スマートフォンは記者もお持ちだと思いますが、皆さんアプリがたくさん入っていると思いますが、どれを押したら大丈夫なのかと不安になりませんか。私もスマートフォンを利用していて、アプリもたくさん入っていますが、正直言って使っているアプリは本当にいくつもありません。これ押しても大丈夫かなとちょっと心配しながら使っています。今、80歳以上のスマートフォンをお持ちの方が27%ぐらいと伺っておりまして、比較的、高齢になるにつれてスマートフォンを持たないとか、触ってみたいけれどもどうしても苦手だと感じている方も多いと思いますので、今回、携帯キャリア4社の皆さんと連携して、皆様に寄り添ったスマートフォン教室ができればと思っています。この取組によって、逆にシニア世代の皆さんから、こんなに簡単にスマートフォン使えるんだねとか、こんなに便利だったんだねと言う声が伺えるように努めてまいりたいと思っています。
特別自治市について
(朝日新聞記者)
市制施行70周年の関連で伺いたいと思います。周知のとおり、相模原市はすでに政令指定都市になっております。その中で、神奈川県内に3つの政令指定都市があって、それぞれが昨今、特別自治市への昇格を目指して様々な動きを見せているのですが、その中には相模原市も名前を連ねていたと記憶しております。おそらく相模原市は、横浜市や川崎市とは違った様々な地域課題・都市課題を抱えている中で、それを利活用されようとしているのだと思うのですけれども、具体的に相模原市は特別市になることで何をしたいのか、お考えを教えていただければと思います。
(市長)
特別市に関しましては、これまで、県内3指定都市の市長と連携して取り組んでまいりましたし、また指定都市市長会を通じて、各市とも連携してまいりました。さらに昨年度、黒岩神奈川県知事と県内3指定都市の市長の4者による首長懇談会を行い、意見を交わしたところです。道府県と市町村の二層制の構図が130年以上変わっておらず、指定都市という体制も65年以上状況が変わっていないということもありまして、今の少子高齢化、人口減少の中で、これから各基礎自治体の独自性とか色を出し、選ばれるまちになっていかなければいけない。そういった中で、私どもは人口72万人の都市でありますが、例えば横浜市の人口は377万人ぐらい、川崎市も155万人ぐらいだと思いますが、明らかに横浜市や川崎市よりも小さな道府県が存在しており、制度が変わらない中、かなり地方自治体の構図も変わってまいりました。また、都市部に人が集中してきており、私たちは指定都市として、圏域を引っ張っていくという責任もあり、また、国際競争力に打ち勝っていく必要もあります。そういった中で、相模原市が指定都市のままで良いとか、いや特別市になりたいとか、選択肢はあって良いと思っています。相模原市が特別市になろうということはまだ決まっていません。指定都市市長会や県内3つの政令市が協力して、特に昨年は3政令市の市議会議長・副議長の皆さんとも意見交換をさせていただきましたが、あくまで私たちが言っているのは、特別市について国による法制度化をまずは目指していこうということであり、今後、選択肢の一つとして、この特別市の法制度化を進めていくことによって、選択できる環境を作っていきたいというのが本市の立ち位置です。
(朝日新聞記者)
そうすると、今は相模原市が政令指定都市であって、まだ特別市ではないことによって特別不自由しているとか、何か行政の妨げになっているとか、そういったことは特にはないのですか。
(市長)
例えば、二層制の課題というものがあります。住宅に関しては県営住宅があって市営住宅もありますし、また県立図書館があって市立図書館があったりとか、同じ圏域の中に様々、神奈川県と類似するものがあります。これは市民の皆さんにとって分かりづらい話だと思うのです。そういったものを分かりやすくしていくためにも、一層制にしていった方が良いと思っています。特に相模原市は、まだ指定都市になって若い、19番目になった自治体でありますから、横浜市や川崎市の議論と比べると少し後を追いかけている部分があります。今後、まずは法制度化を国に求めていって、その中で、最終的に法制度化された場合に、相模原市がどちらを選ぶかというのは、また議会や市民の皆様にご相談した上で決めていきたいというふうに思っています。
大谷選手からのグローブの寄贈について
(神奈川新聞記者)
大谷選手からのグローブの寄贈についてお伺いしたいのですけれども、こちらは各校がそれぞれ使い道を考えるということでよろしいでしょうか。
(教育長)
グローブは、教育委員会から明日以降、各学校に配布をするものなのですが、各学校が大谷選手の「野球を楽しんで欲しい」という思いを汲んで、どのように管理し、どのように使っていくかということを考えて、実際に使ってもらえれば良いと思っています。もちろん相談等には教育委員会も応じますけれども、各学校で考えて、有効に活用してもらいたいと思っています。
(神奈川新聞記者)
たしか12月の議会で、道徳の授業とかでの活用も考えているというような答弁があったと思うのですが、72校の中で、すごく斬新な使い道や、独自の取組などがもしあれば教えていただけますでしょうか。
(教育長)
そういった情報についても、得られた時点でご紹介することはあるかと思いますが、まだ子どもたちも3学期が今日から始まったところですので、これからの話だと思っています。
(市長)
先ほどあいさつで申しましたように、本市はグローブの他にボールと大谷選手の著書も送りますので、それを受けて子どもたちの中でも取組を決めるのではないかと思いますから、良い事例があったらまた皆さんにお伝えさせていただきます。ぜひ取材をよろしくお願いします。
人権尊重のまちづくり条例について
(毎日新聞記者)
各社も、本日期限の人権条例案骨子のパブリックコメントや条例案骨子についての質問が出ると思うのですが、幹事からは2つほど。1つは、現時点ではっきりしているパブリックコメントの件数と、これが市内市外で分けられるのであればその数を。それから、骨子に関して、賛成の意見と反対の意見を分けていらっしゃったらその数も教えていただきたいです。
(市長)
パブリックコメントの意見として要件を満たしているものとして、1月5日現在の件数ですが384人、うち市内が87人、意見数が1,041件であります。記者からもお話いただいたように、本日が締切ですので、これからまだもう少し届くのではないかと思いますが、また確認後、お話させていただきます。
(人権・女性活躍担当部長)
意見の内訳につきましてはまだ整理中ですので、賛成反対という内訳については今の時点ではお答えできません。市長から件数として1,041件という数を申し上げましたが、ここも市内と市外につきましては、まだ仕分けをしておりませんので、現時点の答えは申し上げたとおりです。
(毎日新聞記者)
もう1点は、この件数を踏まえて、3月議会での提案を、翌年度に時期を遅らせるというお考えはございますか。
(市長)
予定どおり3月定例会議に出そうと思っています。先ほどパブリックコメントについてお話しましたが、市民意識調査に関しましても3,000人に無作為抽出で郵送をいたしましたが、1月5日に締め切りまして、557人の方からお返事が返ってきております。回答率は18%くらいだと思いますが、そういったものを参考にしながら、骨子から条例案に変えていきたいと思っております。
(毎日新聞記者)
この内容であれば、むしろ条例はないほうが良いというような厳しいご指摘もあると聞いています。そういったことを踏まえて、条例策定に向けた時間をもう少し取る可能性があるのかなと思って伺ったのですが。
(市長)
これまで、諮問から答申まで3年半ほどかけて、審議会の皆さんに慎重なご審議をいただきまして、そして私たちも、当初の予定から時期がズレこんできていますから、やはり3月の定例会議で提案していきたいと思っています。もちろん時間を延ばせば延ばすだけより多くの情報が取れますから、それは大事だということは十分承知はしているのですが、しかしどこかで歯止めをかけていかなければならないし、条例案骨子の中にも、3年の中で、例えば今は罰則なしの案になっていますが、立法事実があればそこをまた条例改正していくということも謳っています。今お示ししているものは条例案骨子であり、どういう条例にするかはまだ決まっていませんが、出した条例案に対して、議会の皆様や市民の皆様、また記者の皆様からご意見、ご指導賜りながら、相模原市に一番ふさわしい人権尊重のまちづくり条例にしていきたいと思っています。
いじめ重大事態について
(朝日新聞記者)
これは教育長へのご質問になると思いますが、一昨年6月頃に発生したいじめ重大事態の案件があったかと思いますけれども、これについての第三者委員会の進捗状況やスケジュールは今の時点ではどのような感じなのでしょうか。
(教育長)
いじめ重大事態に認定した案件につきましては、12月に初回の調査委員会を開催いたしました。そこで、今後の調査の内容や予定、期間等について決定し、計画的に実施していくということになっておりますが、詳細につきましては、非公開の会議とさせていただいていることから、しばらくは調査委員会を開催して、調査を進めて行くというところです。
(朝日新聞記者)
当事者に寄り添っていくという姿勢の中で、どういう形で当事者の保護者などにフィードバックをされているのかということを教えていただけますか。それとなかなか難しいと思いますが、どのぐらいの期間をかけるご予定なのかということを可能であれば教えてください。
(教育長)
保護者の方等を尊重して対応してまいりたいと考えておりまして、状況等をご説明させていただきたいと思っておりますが、保護者の方の方針等もございまして、なかなか教育委員会と保護者の方とのやりとりが難しい状況になっていることは、一つ課題としてございます。調査委員会の期間は、まだ具体的に、何ヶ月、何回かかるというところまでは、調査委員会の方でも出しておりません。また今月以降に第2回の調査委員会が行われる予定ですので、その中で方針が決まってくるかと思っております。
(神奈川新聞記者)
内容等は非公表ということですけれども、開催日等を公表しない何か理由はあるのでしょうか。
(教育長)
非公表とするというよりも、そこについて公表するかも含めて、調査委員会の方に委ねているところで、ただ、そこについて確認をしておりませんので、この場でのお伝えは控えさせていただきます。
(神奈川新聞記者)
既に第1回が開催されているということですけれども、開催日等についてできれば教えて欲しいということで事前にお伝えしたのですが、それについても非公表という回答が返ってきたのですけれども、第1回の期日から公表いただけないのは何か理由があるのでしょうか。
(教育長)
そこは申し訳ございませんでした。12月中に開催しましたが、会議そのものが非公表の中で、各委員がそれぞれの立場、見解をしっかり発言して、調査していただくことができる環境を整えたいという思いで、非公表とさせていただいているところです。
(神奈川新聞記者)
そうすると教育委員会の方で、開催日については公表しないというふうに判断をされたということでしょうか。
(教育長)
そこも含めまして、今後については調査委員会の方で確認をしてまいりたいと思っています。
(神奈川新聞記者)
先ほど保護者への報告の話がありましたけれども、調査委員会の開催が決まるに当たって、教育委員会でも委員の方から、きちんと保護者に、もしくは当事者の方に寄り添ってという意見が出されておりましたが、例えば第1回を終えられた後に、こういう内容だったとか、今後こういうスケジュールでこういうことを調査していくとか、何かきちんと報告というのはされているのでしょうか。
(教育長)
教育委員会から文書を発送させていただいたところです。概要について、概ねこういうスケジュールでこういうやり方をしていきますということは、発送しております。
人権尊重のまちづくり条例について
(神奈川新聞記者)
市長も報告を受けていると思うのですけれども、日本で最大の障害者団体が市に昨年申し入れをして、部長、局長と面談をしたと伺っています。その団体DPIのホームページでは、面談はしたのだけれども障害者に対するヘイトスピーチの実態からもかけ離れた認識で、差別をなくしていこうとする積極的な姿勢が市側の説明からは見えず、さらにこのままこの骨子が条例化されてしまうことは悪しき前例を作ってしまうことになりかねず、これなら条例を作らない方が良いのではないかと感じざるを得なかったということを公表しています。改めて津久井やまゆり園事件が起きた自治体として、あの事件が大きな契機になっているという認識を市長はおっしゃいましたけれども、障害当事者の方から今の条例案骨子どおりの条例であるならば、作らないほうが良いというように声が挙がっていることに関しては、市長としてどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか。
(市長)
DPIを始め、様々な障害者団体の皆様からご意見をいただいておりまして、ご意見はしっかり重く受け止めていかないといけないと思っております。ただ、私たちは相模原市の72万市民の皆さんにとって、一番望ましい、ふさわしい条例を作っていきたいと思っています。まずご指摘いただいたように、津久井やまゆり園事件というのは、本市で起こった事件でありますので、その事件が起きた自治体として、やはり津久井やまゆり園事件というのは、この条例を作るに当たってとても大きな契機となっています。私たちはこれからも、障害のある方々のご意見やお話をもちろん聞いてまいりますが、お気持ちはそれぞれだと思うのです。DPIの方のご意見も一つのご意見でしょうし、障害のある方々で、例えば私たちの条例案に対してご賛同いただいている方もいるのかもしれません。そういった中で、様々なご意見が世の中にありますから、私はそういった中で、やはりこれからも多様性を大事にしていく相模原市でありたいと思っていますから、そうした様々なご意見をしっかりと受け止めていきたいと思っています。私たちは少なくとも、拡散防止措置の中に、立法事実がありました、人種、民族、国籍、障害ということを入れて、以前に大阪府でも障害が入っていますという話をいただいたりしましたけれども、大阪府はSNSの中での話でしたが、私たちは例えばデモなどSNS以外の手法での差別も含めて、広い範囲の中で障害のある方々に対することを含んだ拡散防止措置となっています。そういった意味では、作らない方が良いと言われるのは残念だというふうに思いますが、そこは私たちもご意見として受け止めていきたいと思います。
(神奈川新聞記者)
市長は常々72万の市民にとってというふうにおっしゃるのですけれども、要は差別を受ける側は、やはりこの社会の中でマイノリティとされる人々なので、ある意味、マジョリティ側からの視点だけの条例になってしまうと非常に危険だと思うのです。先日、無作為抽出のアンケートを行っていますが、ここでも少々気になったので何点かお伺いします。不当な差別的言動の実態について、市内で行われたことを見たことはありますかというふうに質問されているのですが、これは、アンケートを答える側が無作為抽出なので、被害当事者である可能性もあります。そうすると、不当な差別的言動を受けたことがありますかという質問もあって然るべきだと思うのですけれども、なぜ被害当事者本人の回答を聞く質問がないのでしょうか。これは何か理由があるのでしょうか。
(市長)
理由は特にないと思いますが、そういった当事者の目線が欠けていたと言われれば、そういったことを反省しなければいけないのかもしれません。
(神奈川新聞記者)
そうすると市としては、被害当事者が答えることも想定して作られているということですか。
(市長)
人を選んで発送したわけではなく、あくまでも3,000人の無作為抽出で18歳以上の市内在住の方にお送りしていますので、そういった意味では、被害当事者の方に当たる可能性もあったかもしれません。
(神奈川新聞記者)
そういうことも一応想定はされて作っているということでしょうか。
(市長)
はい、それは想定しています。
(神奈川新聞記者)
あとこのアンケートの中で、規制についても聞いていますけれども、規制についてどう思うかということを尋ねた上で、規制についての不安な部分やマイナス面を聞いている質問はありますが、例えば規制をすることによってどういう効果があると思いますかというようなプラス面の質問がないのですが、これは何か理由があるのでしょうか。
(人権・女性活躍担当部長)
まずマイナス面についてとおっしゃられましたが、不当な差別的言動の罰則規定を定めた時にどんな恐れがあるかを確認したものなのですけれども、私どもの方で実際運用するに当たりまして、規制措置に対して、一般市民の方々が不安に思われる恐れがあった場合、それを払拭していく必要がありますので、そういった説明ですとか、運用にあたって注意すべき点はどこかということを確認したものです。プラス面につきましては、やはりその罰則の規制の程度、強度につきまして必要性があるのかを含めて確認させていただいたものです。
(神奈川新聞記者)
おっしゃるとおり強度については質問していますけれども、効果というそのプラス面についての質問はないのですけれども、それは何か理由があるのでしょうか。通常、プラス面とマイナス面の両方を聞くと思うのですけれども、マイナス面のみの質問になっているのは、正直意図的なのかなという印象を受けたのですけれども。
(人権・女性活躍担当部長)
効果という点での質問はしていないのですが、今回、私どもは条例案の内容を示しながら、禁止措置等についてはどんなことを行うのか、禁止措置等の狙いにつきましてご説明をする中で、まずはその必要性について確認するとともに、またその強度について確認したということです。
(神奈川新聞記者)
そうすると、プラス面について質問しなかった理由は特にはないということでよろしかったでしょうか。質問に答えていただいていないと思うので、プラスとマイナス両方聞く必要があると思うのですけれども、プラスについて聞かなかったことについて教えてください。
(人権・女性活躍担当部長)
プラスの部分というふうに今、記者がおっしゃられた部分については、質問としては設けておりませんでしたが、私どもとしては、規制の中身につきましてご説明をするとともに、その必要性や強さについて市民の方がどう考えておられるのかを確認する必要性があると考え、今回の設問を設けたものです。
(神奈川新聞記者)
理由の回答になってないと思いますので、後程、個別に伺わせていただきます。
(神奈川新聞記者)
規制に対する市民の受け止めや不安などを聞いていますけれども、そもそも市内でどのようなヘイトスピーチがあったかということをまず示さなければ、市民も規制が妥当なのかについて、正しく意見が表明できないと思うのですが、この前提となる市内でどういうヘイトスピーチがあったのかを示していないのは、何か理由があるのでしょうか。
(人権・女性活躍担当部長)
今、記者がおっしゃられた具体的な事例については挙げていないのですが、説明の中には、不当な差別的言動の事例としまして、どういったものが言動として当たるのか、そういったものを示しながら、その事例についてあったのかどうか、見たことがあるのかということの実態把握をしたものです。
(神奈川新聞記者)
それが単なる事例ではなくて、市内で具体的にいついつ何回に渡って、そういう事例があったということを示していない理由を聞いているのですが。
(人権・女性活躍担当部長)
お答えも同じになりますけれども、今回の設問の中では具体的な事例を示さずに、不当な差別的言動ということで、様々な捉えがあるかと思いますけれども。
(神奈川新聞記者)
そうすると正確な市民の認識と意識が、このアンケートでは把握はできないと思いますがいかがでしょうか。
(人権・女性活躍担当部長)
私どもとしては、条例の定義で記載しております不当な差別的言動の定義を明確に、この設問の中に設けまして、その例として、侮辱、排除、犯罪扇動、これらについては具体的な事例を示しながら、こういったものが不当な差別的言動に当たるということを市民の方にお示しをして、設問の事例の有無について調査をしたものです。
(神奈川新聞記者)
もう1点、不安について聞いている設問もありますけれども、そもそも市が考えた案がございますが、その中では、表現の自由を侵害しないように、3段階に分けて規制的措置を取るというふうな仕組みも設けておりますけれども、そういうことにも触れていないまま、市民の受け止めというのは、これもやはり市民の認識や意識を正確に把握することは難しいのではないかと思いますがいかがでしょうか。
(人権・女性活躍担当部長)
今回の調査に当たりましては、この調査票で解説をしながら、具体的な人権尊重のまちづくり条例案骨子につきましても同封させていただいて、ご確認いただくような形で、アンケートを取っています。
(神奈川新聞記者)
そのことを具体的にその設問の中で、案内をしていないのはなぜでしょうか。いきなり条例案骨子を解説もなく市民の方が見せられても、仕組みについてよく分からないと思うのですが。
(人権・女性活躍担当部長)
そういうご指摘はあるかもしれませんが、こちらの調査に当たりましては、不明な点につきましてはコールセンターでご質問を受け付けるというふうにご案内させていただいたところです。
(神奈川新聞記者)
この設問の前提で表現の自由についての記載がありますけれども、この中で、表現の自由についてのことを書いていることは分かりますけれども、例えば、憲法第13条、あるいは憲法第14条についての言及がないのはなぜでしょうか。
(人権・女性活躍担当部長)
記者がおっしゃられた表現の自由につきましては、不当な差別的言動の規制により表現の自由に一定の規制をかけることになりますので、非常に重要な権利ということで、皆様にお知らせしたものです。今ご指摘のある憲法第13条、14条については、記載をしておりませんでした。
(神奈川新聞記者)
理由を聞いています。この条例は表現の自由を守る条例ですか。
(人権・女性活躍担当部長)
この条例は、表現の自由を守るということではなくて、一人ひとりの人権を守ることが目的です。
(神奈川新聞記者)
ならば、なぜ憲法第13条と14条のことを言及してないのですか。
(人権・女性活躍担当部長)
この条例案骨子についてご意見を伺いますという質問につきましては、特に不当な差別的言動の部分につきまして、様々なご意見がある中で、市民の方々がどのように感じられているのか、そういったものを主に知りたく、今回調査を行ったというのが趣旨です。
(神奈川新聞記者)
その表現の自由ということに言及している中で、この表現の自由は保障されているが、しかし、何を言っても良いということではない、あるいは名誉毀損や侮辱罪、脅迫罪という形で、言動を規制する刑事罰が既に存在している、というふうなことにも言及していないのはなぜですか。
(人権・女性活躍担当部長)
私どもとしては今現在考えております、人権尊重のまちづくり条例案の骨子を示しながら、この内容につきまして、特に不当な差別的言動の部分につきまして、市民の皆さんがどのように感じられるのかを、主眼とした調査ということで、こういった調査票にしたものです。
(神奈川新聞記者)
そういう意味でも表現の自由を強調するあまり、その不安がいたずらに強調されるような聞き方があったというふうに受け止めます。そこで、市長にお伺いしたいのですけれども、当初、昨年7月の段階では、罰則つきで50万円の刑事罰を盛り込んだ案を市は作っておりました。そこから行政法学者や顧問弁護士にヒアリングをしているわけですけれども、この50万円の罰則付きの案を実現するために、どのような努力をされたのでしょうか。
(市長)
私たちは3年半かけた人権施策審議会からの答申を受けまして、できる限り答申を最大限尊重していきたいという考えの中で、最初の条例案骨子に関しましては、罰則ありの形で作成いたしました。その上で、今、記者から言われたように、大学の行政学の先生方や、本市の顧問弁護士はじめとする方々にお話を聞いたり、それから、市民に直接、オープンハウス的なアンケートを若葉まつりやホームタウンチームの試合で行ったり、それから立法事実が、例えば市内の公の施設でもあるのかどうかということを、職員の中でも調べてまいりました。その中で、先ほどから言われている表現の自由は最大限尊重しなければいけない部分でもありますので、そうしたことを踏まえ、立法事実がない中で行政罰を付けていくということは、非常に厳しいというふうに思いました。例えば川崎市とか大阪府のように集住地区があるとか、また、現在もそういったヘイト的な活動が行われている実態があれば別ですが、相模原市にはないわけでありますから、そういった中で、皆さんのご意見を聞いて、担当課からは今、私たちが実態としてできることは、拡散防止措置までですという説明を受けました。ですが、私はやはり答申を最大限尊重していきたいし、禁止措置を入れたら命令の行政処分や氏名公表も入ってきますので、少し実態と離れてリスクがあるのではないかという話もあったのですが、ここは、私の市長としての政治的な判断で、禁止措置まで入れることを決めました。ただ、記者から言われた罰則行為に関してはなしという形でありますが、今、相模原市で起きている現実、現状をしっかり踏まえた中で、72万市民にふさわしい条例案にしようということで、今回の骨子をお示しさせていただいております。
(神奈川新聞記者)
市長が今おっしゃったように、その政治的判断で、決断ができるわけです。その事務方が示してきた案を、実際そうしているわけです。それは答申を最大限尊重したというふうにおっしゃっているわけですけども、本当に答申を最大限尊重するのであれば、やはり当初の50万円の罰則の案を何とか実現するために、努力をする必要があるはずですけど、しかしそういうふうになってないのですね。
(市長)
相模原市という緑区から南区まである72万市民の3区の実情、実態を捉えた中で、私たちは条例を検討してまいりましたので、そういった意味で記者とちょっと考え方が違うのかもしれませんが、私たちは答申を最大限尊重して、今回、条例案骨子を出させていただいたというのが、私たちの考え方です。
(神奈川新聞記者)
これまで何度も指摘をしてきましたけれども、そもそも2019年の統一地方選挙で市長がヘイトスピーチを見て、これはいけないというふうに思われたのですよね。そのあとに、そういった事象がないというふうにおっしゃっていることは、まず、一度起こったヘイトスピーチの被害が、時間が経てば消えてなくなるということは間違いだということが一つあります。それともう一つ、川崎市と比べて、その被害の実態がないというふうにおっしゃいますけれども、相模原市では、市長が当時おっしゃったように、何より公正公平であるべき選挙の場でヘイトスピーチが行われました。これは川崎市でもなかったことであり、川崎市よりひどい事態です。それと、この差別に基づいて、ヘイトスピーチどころか、障害者が19人も虐殺されるという事件、ヘイトクライムが起きているのです。これも川崎市ではなかったことです。あともう一つは、市役所の前に来て、条例を作る審議に携わっている外国籍の委員の方を不当に貶めて排斥をする、存在を否定して地域社会から排除する、社会参加の権利を奪おうとする、これこそまさに、ヘイトスピーチの典型が毎週のように繰り返されていまして、しかも不特定多数へのものではなく、より悪質な名指しでのヘイトスピーチが20回以上繰り返されております。こんなことが起きている自治体、他にはありません。これを称して、ヘイトスピーチに最も精通した師岡弁護士は、日本一のヘイトシティというふうに言っていて、これが立法事実でないということはありえないということをおっしゃっています。そのことについていかがでしょうか。
(市長)
何度もここでお話させてもらっていますが、そもそもヘイトスピーチの認定自体が、私たち行政サイドでできないということがまずあります。
(神奈川新聞記者)
それも何度も繰り返されているのですが、そうでありながら、立法事実がないというようなことをおっしゃっているということがまず矛盾しているということと、そうであるならば、きちんと差別やヘイトスピーチの専門家にヒアリングをするべきですが、それをしていません。市が行っているのは、ヘイトスピーチや差別などに別に詳しくない行政法学者と顧問弁護士に話を聞き、それを持って立法事実が弱いとか、川崎市に比べて少ないというふうな判断をしてしまっているというのは間違っています。答申を本当に尊重して実現したいというのであるならば、やはり差別やヘイトスピーチに詳しい専門家にヒアリングをするということが必要です。実際、川崎市はそのようにしています。顧問弁護士や行政法学者から難しいのではないかというふうに難色を示されていますけれども、市長のリーダーシップによって何とか実現しようと、法的にどこをクリアすれば良いのかということを検討するために、差別に詳しい専門家からヒアリングをしています。相模原市がそれを行っていないということは、不十分だというふうに言わざるを得ません。市長は前回の全員協議会の後に、囲みの記者の質問の中で、自分は不勉強だ、というふうなことをおっしゃっていましたけれども、その後に神奈川新聞もいろいろ取材して記事を書いてきましたけれども、その中のヘイトスピーチに一番詳しい憲法学者の奈須祐治教授が、川崎型、つまり答申のような形でいろんな仕組みを設けるのであれば、これは憲法違反に当たらないとの見解を示されていました。しかもその対象とするヘイトスピーチを厳格に定める手続きを踏んでいる規定としておけば、別にさしたる立法事実は必要なく、それは川崎市と比べる必要もないし、しかも、津久井やまゆり園事件を二度と繰り返さないというふうな市の理念のもとに、それを立法事実にして、障害者に対するヘイトスピーチに罰則を設けることは憲法違反にならないというふうなことを、はっきり言っています。この意見を市長は学ぶつもりはありますか。
(市長)
私は常に、役所内でも言っているのは、私は政策マンでなく、政策が非常に弱いところを認めています。その中で常に勉強不足という言葉を使っていて、そこを捉えた話だと思いますが、ただ私自身は、自分なりに一生懸命勉強していますし、またいろんな現地・現場に行って見聞きして、学んで、教えていただいています。私も忘年会、新年会、賀詞交換会など様々な場面でいつも挨拶していることは、地域のことを皆さん教えてくださいねと、私たちは学んでそれを形にしていきたいのですということです。それは20年前の県議会議員だった頃から変わっておりません。さっき記者が言われたヘイトスピーチに詳しい奈須教授の考え方も一つあるでしょうし、それは記者が一番ヘイトスピーチに詳しいと言われているかもしれませんが、もしかしたら奈須さん以外にも詳しい方がいらっしゃるかもしれませんよね。
(神奈川新聞記者)
いません。
(市長)
そうですか。それは私も、無知で知らないから申し訳ないのですけれども、いずれにしても、学ぶ姿勢を常に私は持っています。ただ、記者から言われたように、どこまでいってもこの方に聞いてない、足りないのではないかというお話をいただいていますが。
(神奈川新聞記者)
いや、それは市長が、答申を最も尊重していると言っているわけです。それで言っていることとやっていることが違っているので、おかしいのではないかと言っていて、そうであるならば、ぜひ奈須教授にヒアリングをすべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
(市長)
それは記者のご意見として検討させていただきます。私たちは、これまでもいろんな審議会から答申を受けていますが、その答申というのは、様々なお考えの方々にご審議いただきまとめていただいておりますので、最大限尊重しなければいけないということは、常に思っています。ただ、答申そのものが条例案になるかというと、それは本市にふさわしい形で、最終的には私の判断・決断で、条例案を作成して、議会に提案していきたいと思っています。私たちが今置かれている現状で、答申を最大限尊重して作った条例案骨子ということと、それからヘイトクライムという言葉を私たちは使わないということ、あと津久井やまゆり園事件は、本当に重く受け止めており、こういったことが二度と起きてはいけないし、風化させてはならないと思っています。ただ私はあの事件を立法事実とは捉えていませんので、そういった意味では、条例案骨子の前文の中で、津久井やまゆり園事件の記述がありますが、ここは議会からも、記者の皆さんからもご指摘をいただき、まだ最終的な条例案を作っていませんけれども、私自身は皆様の言葉を重く受け止めて、私たちが作ってきた津久井やまゆり園事件の記載の仕方に関しては、もう少し踏み込んで記載をしなければならないのではないかという個人的な思いを強くしているところであります。今後そこを、パブリックコメントや市民意識調査での意見を含めて、最終的な案として取りまとめていきたいと思いますが、これは多分どこまでいっても、おそらく罰則付きの条例案にしない限り、意見が合わないところなのかなと思いますけれども、記者としてのご意見、お立場の考えとして、そこはしっかり受け止めていきたいと思います。ただ、私たちには私たちの考え方があるので、私たちの考え方で、市議会3月定例会議に条例提案をしていきたいと思っています。
(神奈川新聞記者)
市長が私たちの考えでと言っているのですが、それがどうも思い違いや勘違いがある中で話を進めていっているので、それは間違った結果にしかならないのではないかと思います。まず答申についても、まるで相模原市の実態に沿ってないかのような物言いをずっとされてきているのですが、市長はどのぐらい、どういう方向でどう把握しているのか知りませんけれども、私はこの審議会をずっと取材してきました。まさに市内の実態を踏まえて作られた答申で、そういう議論がなされたのです。それをさも現実離れしたものであるかのような物言いをするのは大変失礼だと思うし、それと法的なことも含めて、憲法学者もそうですが、行政法の専門家も審議会委員として入っているのです。それを専門的な見地、知見がされていないかのような扱いをしているというのは、大変失礼かなと思いますがいかがでしょうか。
(市長)
ご意見としてよく承りたいと思います。ただ先ほど言ったように答申を最大限尊重していきたいという気持ちと、それからさっき言われた奈須教授をはじめ、様々な学者さんがいらっしゃると思うのです。いろんな考えの方が世の中にいらっしゃいますから、なるべく多様性のある相模原を作っていくために、私自身、これからもいろんな人の意見を聞いていきたいと思っていますので、先ほど奈須教授というお話もいただきましたので、そういったご意見もあることはしっかり受け止めていかなければというふうに思います。私はオープン型で、まちかど市長室とか、まちづくり懇談会とか含めて、いろんなところに出ていって市民と話をしています。もちろんそういった先生方とお会いすることも、私自身は勉強になりますし、いろんな知識や経験を教えていただくことも非常に大事だと思っていますから、これからも、奈須教授にかかわらずいろんな方とお会いして、いろんなことを吸収して、いろんな形で72万市民が幸せになる差別のない市にしていきたいと思っていますので、そのための人権尊重のまちづくり条例案を提案していきたいと思っています。
(神奈川新聞記者)
この条例で一番必要なのは、差別をなくすことなのです。差別をなくすためにどうするかということなのです。それがいろんな考え方とかということですと、差別をし続けたい人の意見にまで耳を貸す過ちを犯すことになってしまいます。ですので、差別をなくすために何をするべきかということを一番大切にすることが必要だというふうに思います。それが、72万市民のうち、今、差別にあって苦しい、この条例で助けて欲しいと思っているマイノリティの人たちなのです。私たちマジョリティは差別を受けません。ですので、マジョリティではなくて、マイノリティの差別の被害者の思いをもう一度きちんと見つめて、条例案を作っていく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
(市長)
ご意見として承りたいと思いますが、先ほど記者が言われた中で、差別をしている人の意見も聞くのですかという話がありましたけれども、私としては、やはり行政の長として、片方の意見だけではなくて、あらゆる人の意見を聞いて、その中で最終的に判断をしていくというのが、長の責任だと思っています。もちろん、マイノリティの方のご意見も聞かせていただきますし、そうでない方のご意見も含めて、やはり私も県会議員、国会議員を経験してきましたけれども、政治家と市長と大きく違うのは、常に判断を求められて決断をしなければいけないという立場なのです。そして誰1人取り残さないという視点の中で、これからも、あらゆる人のご意見は聞いていかなければいけないというふうに思っています。例えば犯罪被害者等支援条例を昨年4月に施行いたしましたけれども、更生している方々のご意見なども聞いていきたいと思っていますし、今回も、あらゆる人のお立場やお気持ちを聞いて、市長として最終的に自分が責任を持って条例提案していかなければいけないと思っています。今後も、例えば、記者からご意見を聞き、また学ぶこともあるだろうし、市民の皆さんから聞くこともあると思うし、私は面会に関しては、比較的前向きに出て行くようにしています。例えば、先週、障害のある方々がいらっしゃいましたけれども、突然来られたのでお会いすることはできませんでしたが、そこも面会しますというお返事をさせていただきました。橋本の大西大通り線とか、それから中山間地域の医療の話とか、南市民ホールとか、行財政構造改革プランとか小田急多摩線の延伸とか、いろんな市民対話にも出て行って、罵声を浴びさせられたり、怒られたりもしていますけれども、それも勉強・学びだと思っています。ですから今後も、あらゆる場に市長として出ていって、あらゆることを学んであらゆることを吸収して、最終的に自分の意見、判断で、決定させていただきたいと思っております。それが行政の長としての責任かと思っていますので、今後も、あらゆる人のご意見を聞く耳を持って、そして最後は自分でしっかり決断をしていく。皆さんと相談して、責任は自分が取って決断していくという市長でありたいというふうに思っています。
(神奈川新聞記者)
マイノリティの人たちを人と認めず、地域から排除するヘイトスピーチは意見だというふうに市長は受け止めてらっしゃるということなのですか。
(市長)
そういった考え方の方もいらっしゃいます。今回、もし罰則つきの条例案にした時に、賛同してくださる方もいらっしゃるし、賛同してくれない方もいらっしゃる。また罰則なしにした時にやっぱり賛同してくれる人、してくださらない方といろんな方が世の中にいらっしゃるので、72万市民誰1人取り残さないというふうに私も常々言っていますから、あらゆる方の意見を聞くという姿勢を持っていなければいけないと思っています。市の意思決定は戦略会議等庁議で決めていきますが、ただ、最後の決断は、これからも私自身がしっかりと政治的判断を行ってまいりたいと思います。
(神奈川新聞記者)
市長として一番必要なのは、差別について、ヘイトスピーチに対して、これは許さないと非難することだと思いますがいかがでしょうか。
(市長)
ヘイトスピーチはあってはならないと思っています。それはこれからも変わりませんので、しっかり取り組んでいきたいと思います。
※質疑応答中の重複した言葉づかいや明らかな言い直しなどは、整理した上で掲載しています。
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