第4回 ~心ひかれる雲のはなし~
朝起きると、誰でもその日のお天気は気になるものです。カーテンを開けたとき目に入ってくる空の色や雲の色で、みなさんはその日のお天気を予想したりしていませんか。また、ふと見上げた空に珍しい形の雲がたまたま目に入った時などは小さな感動を覚えたことはないでしょうか。
今回はそんな雲の話をいくつかお話します。
雄大な積乱雲が空を覆った暑い夏が終わって、秋から冬に近づくと空には違った雲が現れてきます。太平洋高気圧の勢力が弱まって、日本には大陸からの高気圧と低気圧が次々とやってきて、いろいろな性質を持った空気が上空に入り込んでくるので、夏とは違った空の表情が見えるのです。
「天高く馬肥ゆる秋」ということわざにもあるように、秋の空は空気が透明で青く澄み渡っています。その秋冬のゆるやかな上昇気流が生む代表的な雲には「うろこ雲」や「ひつじ雲」そして「すじ雲」などがあります。
ゆっくりと空を流れる「うろこ雲」は高い空に並ぶ魚の白いうろこのようで、横からの陽射しを受ける朝夕が特に美しく、太陽の近くでは黄金色に輝いて見えます。「ひつじ雲」はその名前のとおり、空に群れする何百頭もの真っ白な羊のよう。その羊の隙間からはきれいな青空も見えます。「すじ雲」は上空の高いところにできる秋の特徴的な雲で、強い偏西風が吹く方向に沿って青空を刷毛で描いたようなすじ状の雲です。こんな秋から冬にかけての雲が私はとても好きです。
では、雲はどうやってできるのでしょう?水分を含んだ空気が何らかの原因で上昇し、その周囲の気圧が下がると同時に膨らんで温度が下がります。空気は温度が下がると中の水分を多く含むことができなくなり、その水分が凝結して雲ができるのです。空気が上昇する理由には、山などにぶつかる、地表が暖められる、暖気と寒気がぶつかるなどがあります。雲は綿菓子のようなフワフワとしたイメージがありますが、このように小さな水滴や氷の結晶の集まりですから、綿雲の総重量は数十トンにもなることがあります。その数十トンの雲が上昇気流に乗って形を変えながらフワリフワリと浮かんで見えるのです。
雲の種類ですが、世界基準で「10種雲形」と言われていて、巻雲、巻積雲、巻層雲、高積雲、高層雲、乱層雲、層雲、層積雲、積雲、積乱雲に大きく分類されます。名前のつけ方にはルールがあり、「巻」は上層(上空5~13キロメートル)の雲の名前に、「高」は中層(上空2~7キロメートル)の雲の名前に、「積」は雲がかたまりのような形のときに、「層」は雲が水平に大きく広がったときに、「乱」は雨を伴う厚い雲の名前につきます。
これらの漢字を組み合わせた名前で雲の高さと形状がわかります。ですが空には様々な雲が出現し、その輪郭もすぐに変化してしまうので、いったいどの種類に当てはまるのかは明確には言いにくいかも知れません。
雲には二度と同じ形に出会うことができないその多様さと美しさがあります。次々変化していく雲を見ながら「何と言う名前の雲なんだろう」、「どうしてできたのだろう」、「そこで何が起こっているのだろう」と想像力や好奇心をかき立てられるごく身近で不思議な自然現象です。だからこそ見ていて飽きないし、人によっては時を忘れるほど心を奪われてしまうのではないでしょうか。
毎日見る空と雲ですが、こうして少し見方を変えてみると、その日の新しい出会いと発見があるかもしれませんね。
ミニコラム
飛行機雲は人工雲。「10種雲形」には含まれない11番目の雲です。人類が飛行機を発明してから生まれた、歴史の浅い新しい雲の仲間です。上空1万メートル付近で飛行機の排気ガスに含まれる水蒸気や微粒子によって発生したり、飛行機が通過するときの大気の熱膨張によっても発生します。大気の状態によっては、すぐに消えてしまいますが、逆にみるみる発達して巻層雲や巻積雲と変化していくことも多くあります。そんな変化の過程を観察するのも楽しいですよ。
※写真はいずれも筆者が相模原市内で撮影
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