伊藤気象予報士のお天気コラム
第13回 ~観天望気(かんてんぼうき)~
「夕焼けの翌日は晴れ」、「ツバメが低く飛ぶと雨」、「ネコが顔を洗うと雨」など、これらのことわざは、皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。こうした雲や風などの自然現象などから天気を予測すること、広い意味では動植物の様子で天気を占うことを「観天望気」と言います。
今日ではパソコンやスマートフォンを使って、誰でも簡単に最新の気象情報が検索でき、精度の高い天気予報を知ることができます。ですが、昔の人、特に漁師や農家の人などは天気予報を見ることなく、その経験や言い伝えなどで直近の天気を予測して自分たちの生活や仕事に役立てていました。その言い伝えの中には迷信のようなものもあるようですが、しっかりと科学的、気象学的な裏付けができるものもけっこう多いようです。
そこで今回は、私たちが普段の生活の中で、見かける可能性が高い観天望気をいくつか紹介しましょう。
飛行機雲がしばらく残っている時は雨が近い
飛行機雲は上空に湿った冷たい空気があり、気流が安定していないときに現れます。上空を飛ぶ飛行機から白い筋が長く伸びて、しばらく空に残っている時は、雨が近いかもしれません。逆に上空の飛行機雲がすぐに消えてしまう時は安定した良い天気ということになります。
朝遠くの山がはっきり見えればその日は晴れ
空気中の水蒸気量が少ないと遠くの山がはっきりと見えます。移動性の低気圧が近づいて南から湿った空気が入り込み、水蒸気の量が多くなれば、光が散乱しやすく、山はぼんやりと見えます。
月や太陽にカサがかかると雨
前線の先端にできる巻層雲と呼ばれる薄雲が出ると起こる現象で、低気圧や前線が近づいていて、次第に雲が低く厚くなる前兆と考えられます。
朝霧は晴れ
早朝に田畑に朝霧(朝もや)が発生していることがあります。放射冷却によって地面が冷やされ霧が出て、それが朝もやとなって立ち込めます。陽が昇り太陽の光が差し込むと、すぐに気温が上がり霧(もや)は次第に消え、晴れの天気になります。
夕焼けの翌日は晴れ
日本では天気が西から変化していくので、西の空に太陽の光を遮る厚い雲がなく、日光が赤やオレンジ色にきれいに散乱されていれば、翌日は晴れると考えられます。
ツバメが低く飛ぶと雨
気圧が低く湿度が高いと、エサとなる虫が低く飛ぶためと言われています。
ネコが顔を洗うと雨
湿度が高い時、髭が湿って張りがなくなる。(髭のセンサー機能低下?)その湿気を嫌がって猫が顔を洗うと言われています。
鐘の音が遠くまで響けば雨
前線などの影響で上空に暖かい空気が入ると、音の伝播方向に影響を与えることからだと考えられます。
また、少し変わったところでは・・・
リウマチが痛むと雨
茶碗のご飯粒がきれいに取れると雨
などもあります。
この他にも、その地域や季節によって特徴のある観天望気がたくさんあります。辞書には「雲や風や空の色などを目で観察して、経験的に天気を予想すること。天文から天気を予測するのが観天、雲模様や色合いから天気を知るのが望気」とあります。基本的には、空気の温度と湿度の変化、また下層と上層の風の向きや強さによって起こる自然現象、そしてそれらに反応する動植物の様子として語られているようです。
お天気は、私たちの毎日の生活にとても重要に係っています。このお天気を自分自身で、雲を観て、風を感じて、自分の感性でつかむことができれば、お天気を知ることのまた違った楽しみを発見できるかもしれません。みなさんも身近な自然や動植物を友達にできる「観天望気」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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