第6回 ~青い空と白い雲そして赤い夕焼け~
新年あけましておめでとうございます。今年も「伊藤気象予報士のお天気コラム」をご覧いただきありがとうございます。昨年に引き続き多くの皆さんに「いいね!」をいただけますよう、楽しくて興味深いお天気の話を書かせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
さて今回は、誰もが一度は疑問に思う空の色について少しお話しましょう。
空はなぜ青い
はじめに空の色はなぜ青いのか?ということですが、それは太陽の光が空気の分子によって散乱されることによるものです。光が小さな粒子にぶつかって、いろいろな方向にはね返ることを散乱といい、空気の分子のようなごく小さい粒子による散乱をレイリー散乱といいます。このレイリー散乱では、太陽光線の中でも紫や青のような波長の短い光ほど、より散乱強度が強く、いろいろな方向に光が飛び散っていきます。このため、空のあらゆる方向から青い光がやってきて目に見えるので、空気の澄んだ昼間の空は青いということになります。
ちなみに海の色が青いのは、空の青色が映っているわけではありませんよ。海の水が赤やオレンジなどの波長の長い光を吸収してしまい、波長の短い青系の色だけが残って海中を進むので青っぽく見えるのです。
雲はなぜ白い
次に雲がなぜ白く見えるのか?についてですが、そもそもあの大きな雲を作るひとつひとつの水滴は、それぞれが太陽の光の波長に比べて同程度かそれより大きい粒子になっています。このような水滴に光が当たると、ミー散乱というまた違った散乱が起こります。このミー散乱では、雲からの散乱光は、波長の長短に関係なくすべての波長の光が等しく散乱されます。よって雲は白く見えるということになります。ちなみに乱層雲などの雨雲が灰色に見えるのは、自分から見て太陽が雲の裏側にあるためです。
夕焼けはなぜ赤い
最後に赤い夕焼け(朝焼け)ついてですが、これもまた空の青と同様にレイリー散乱によるものです。このレイリー散乱では赤やオレンジの波長の長い光は散乱強度が弱く、散乱されずに大気中をまっすぐ進みます。朝夕は太陽光の入射角度が浅く光が通過する空気の層が厚くなります。つまり空気の層の長い距離を光が通過してくるということです。このため散乱強度が強い青い光はほとんど散乱されて失われ、残った赤がまっすぐ私たちの目に到達するので夕焼け(朝焼け)が赤く見えるということになります。
このように空や雲はその色でも私たちを楽しませてくれます。青、白、赤だけでなく大気の状態によっては緑や紫などの色も観察できるかもしれません。特に朝夕の空の表情はとても多彩であり神秘的でもあります。
ミニコラム
《星のまたたき》
「星がまたたくと風が強くなる」ということわざがあります。はるか上空で強い風が吹くと、空気の密度の濃いところと薄いところが次々と変化しながら運ばれてきます。その空気が私たちと星の間を横切ると、その星の光の強さや色を変えて星がまたたくように見えます。冬は特に上空の風が強く、晴れて空気が澄んでいるので星がキラキラと輝いて見えます。
翌日、日差しが強くなると空気の上下の対流が活発になり、上空の強風が地上まで降りてくるので地上付近の風が強くなります。
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