第10回 ~夏の海・夏の山~
関東甲信地方は平年よりやや遅く7月28日頃の梅雨明けとなりました。日本の季節の暦である「二十四節季」による一年で一番暑いとされる「大暑」(7月22日)も今年は梅雨明けが延びた影響で比較的過しやすい一日となりました。
さて梅雨が明けて8月、これからがいよいよ夏本番です。そこで今回は夏の海と夏の山のお天気などについて少しお話したいと思います。
海の天気予報では、海上の気圧や風、波の状態を広い範囲で把握して海上作業の安全を確保し、水温や流れの分布を把握して効率の良い漁業操業の支援などをしています。また、海水浴やサーフィン、釣りなどをされる人には海上予報は重要な情報として重宝されています。
釣りで最も注意する必要があるのが波と風です。高波はV字型やU字型の海岸や岸から突き出た岩場などでは予想外の高さとなり非常に危険です。統計的には波の100波に1波は1.5倍の高さに、1000波に1波は2倍近い高波となり押し寄せます。
この夏、海でのレジャーを計画されている人はこれらの波にも十分注意が必要です。
今年は台風の少ない年ですが、いざ発生した場合はこれからの夏の海面水温の上昇にも影響されて、勢力を増しながら日本に接近・上陸することもあるでしょう。台風がまだ1000キロメートル以上離れていても海岸には大きなうねりが現れることもあります。これもまた十分注意が必要です。
山のお天気は非常に変わりやすく、時には予想外の複雑な気象状態になります。また、山によってもそれぞれ特徴があり予報にも難しさがあります。
山に登ると気温が下がります。その割合は高さ100メートルにつき-0.6℃(湿度により変化します)です。この時期、地上で気温が28℃あっても高さ3000mの山では10℃ほどまで下がります。さらに、風速が毎秒1メートル増えると体感温度も1℃下がり、風や雨に打たれるといっそう体温も奪われていきます。真夏の山でもお天気によっては冬の装備が必要となるでしょう。
一般に発表される天気予報は平地用のものですから、実際の山の天気とは時間的、強度的な差があると考えてよいでしょう。山の悪天は平地より早くやって来て、遅くまで残ります。また、夏山は雷の事故も多く発生しています。落雷は山では頭上からとは限りません。雷が左右から、また下から雷雲をめがけて駆け上がってくるケースも多く報告されています。雷注意報などが発表された場合は十分に注意が必要です。
最近では海や山の天気予報などの情報も発表されています。変わりやすい夏のお天気を味方にして、この暑い夏に熱いレジャーを楽しんでみてはいかがでしょうか。
ミニコラム《海面更生》
気圧は地表では1013ヘクトパスカル前後ですが、上空にいくほど低くなり、高さ3000メートルで700ヘクトパスカル、5500メートルで500ヘクトパスカル、9000メートルで300ヘクトパスカルまで下がります。天気図に高さの異なる地点で観測された気圧の値をそのまま表記しても、それは精度の悪い天気図になってしまいます。このため、たとえ高い山での観測値であっても、そこが高度0メートル(海面)だと仮定し、この推定気圧を用いて天気図が作成されています。実際に観測された気圧を現地気圧、高度0メートルの値として推定された気圧を海面更正気圧といい、このような操作を気圧の海面更正といいます。
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