第12回 ~冬の華~
11月24日、この時期には珍しく関東地方に真冬並みの強い寒気が流れ込み、相模原市内でも積雪を観測しました。降り始めは雨でしたが次第に雪に変わり、1962年以来、54年ぶりの早い雪の便りとなりました。今回はその雪のお話をさせてもらいましょう。
雪とは空から降ってくる氷の結晶のことで、その形は針状、角柱状、樹枝状などであり、多くは綺麗な六角形(水の分子構造によると言われています。)をしています。雪の結晶のもととなる氷晶は上空5000m以上の雲の中で誕生します。そして、落下して雲の中を通過するとき、その高度の気温や水蒸気量によって様々な形に変わっていき、まったく同じ形の結晶はありません。雪の落下速度は、風や気温などの気象条件にもよりますが、雪の結晶が雲の中で生まれ、地上に降りてくるまで30分~1時間もかかります。地上へは結晶のまま降ったり、多数がくっつき合って雪片となって降ったりもします。
私たちの住む相模原市は雪が降っても比較的気温が高いので、水分を多く含んだ湿った雪が降ることが多くあります。この雪は空から落ちてくる雪片が集まって牡丹の花のように大きなかけらの雪となって降る「牡丹雪」やフワリフワリと綿のように下りてくる「綿雪」などと言われています。ですが、それらはその素朴で可愛い名前とは裏腹に着雪の被害を起こしやすい困った雪でもあります。
電線が雪の重みで切れたり、鉄塔が倒れたりする現象を「電線着雪」と言います。湿った雪が電線上で溶けたり付着したりを繰り返し、電線の周りを回転して筒雪となり電線の重さを増します。1986年3月23日には、神奈川県地方に降った大雪により電線に厚さ50mm程度の湿った円筒状の雪が着き、その重みで高圧送電線の鉄塔が11基倒壊するなどの大きな被害がありました。
雪の重さは、その雪の密度にもよりますが、1立方メートルあたり100kg程度でしょう。もし広さ100平方メートル屋根の上に1mの雪が積もったとすれば、10tの重量がかかることになります。これは大人が屋根の上に150人以上も載っているのと同じです。相模原市内ではそれほどの積雪はないかもしれませんが、近年は異常気象と言われていますので、これからは雪下ろしや落雪事故など大雪への心構えと準備はしておいた方がいいでしょう。
おしまいに、雪に慣れていない私たちが雪道を歩くときの注意ポイントをいくつか紹介しましょう。
まず、道路で滑りやすいのは日陰や多くの人に踏み固められた場所です。道路脇の雪だまりやバス停などの固まって滑りやすくなった雪には注意が必要です。また、横断歩道の白線上も水が浸み込まないので凍っていることがあります。そして意外と多いのが、靴裏についた雪を落とさないまま駅や店舗に入り、タイル張りの床で滑って転倒してしまうということです。歩くときはポケットに手を入れないことはもちろんですが、万が一転んでしまったときは、思い切ってお尻から落ちた方が、頭などを打ちにくいと言われています。
今回は、雪の危険な部分の話をしましたが、雪は「冬の華」と言われるこの季節だけの楽しみであり、フワフワと柔らかく白く輝く雪は、見ているだけでも私達の心を躍らせてくれる冬の風物詩でもあります。雪を警戒することも非常に大切ですが、たまには見方を変えて、雪を大いに楽しみ心を和ませてみるのもいいかもしれません。
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