相消(そうしょう)レター(8)
相消(そうしょう)レター(8)「通信指令室の救急救命士」
第8回は通信指令室の指令員で救急救命士でもある齋藤指令員からのお便りです。
みなさんこんにちは、通信指令室の齋藤です。通信指令室には、私のように救急救命士の資格を持つ指令員も配置されています。私たちは、消防車や救急車に乗って災害現場へ出動することはありませんが、通信指令室の中で、119番通報を受けながら、救急車が到着するまで応急手当の方法などを通報者に教えることで、救命率の向上を目指しています。
ある冬の寒い日の通報です。
指令員 「はい、119番消防です。火事ですか救急車ですか。」
通報者 「救急車です!母が食べ物を喉に詰まらせてしまって意識がありません!」
このような事故は、緊急度が非常に高いため、救急車だけでなく消防車も同時に出場する「支援救急出場※」という指令を出します。
同時に、通報者やその周囲の方々に、応急手当の指導を行います。
指令員 「患者さんを前かがみの姿勢にして、背中の真ん中を手の平で強く叩いて下さい。トイレに向かって吐くような姿勢です。」
通報者 「はい。」
指令員 「出ましたか?」
通報者 「出ません。」
指令員 「それでは、お母さんの後ろに回り、腋の下から腕を前に通してください。その手を、肋骨の下の柔らかい部分で組んでください。その手を当てたまま、体ごと持ち上げる様に上へ引き上げてください。」
通報者 「わかりました。やってみます。」
指令員 「何度か行い、吐き出さないようでしたら、心肺蘇生法を行っていただきます。どうですか?」
通報者 「あ!咳をし始めました。意識も戻ったみたいです。」
指令員 「それでは、呼吸をしやすいような楽な姿勢にしてあげて、救急隊をお待ちください。」
この様に、電話で行う応急手当の指導を「口頭指導」と言います。この口頭(マウス)指導と、指令台の操作技術(パソコンのマウス)の二つの「マウス」が、私たち指令員の最大の武器(?)なのです。活動を終了した救急隊長から、「口頭指導と家族の応急手当が適切だったために、軽症で済んだよ!」と連絡を受けることが、私たちの一番の喜びです。
今回、指令員が指導したのは、気道内の異物の除去に効果的な「背部叩打法」と「ハイムリック法」です。この他にも、火傷や出血、指の切断、心肺蘇生法など、傷病者の状況に応じて口頭指導を行い、応急手当をお願いすることがあります。
応急手当の方法は救命講習会※で身につけることができます。いざというときのためにぜひ受講しておくことをお勧めします。
それでは、よいお年をお迎えください。
支援救急出場
救急車だけでなく、消防車も同時に出場するのでPA連携出場といいます(Pは消防隊(Pumper)・Aは救急隊(Ambulance)の頭文字です。)。
心肺停止などの重篤な傷病者のもとへ、救急隊のみでなく応急処置を行うことが出来る消防隊も同時に出動することにより、先行した部隊による迅速な救命処置及び連携した救出救護処置を行うことが出来るほか、国道上など、活動に危険の伴う場所での救急隊の支援や、救急隊のみでは搬出などの活動が困難な場合に消防隊も出動することにより、安全で迅速な救急活動を行うことが出来ます。
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