機器に頼るな!! ~山田隊員~ (4)
119番で救急要請があると、発生場所から一番近くにいる救急隊が選定され、現場へ向かいます。救急隊は、現場に到着後、けがや病気の傷病者を観察してから、応急処置をし、症状に適した最も近い医療機関へ搬送します。
今回は、救急活動中、傷病者を観察するときの技術や知識について、先輩から指導してもらったことをお伝えしたいと思います。
初めて救急隊へ配属になった1年目のある当直の日、傷病者を病院へ搬送し、帰署途上(自分の消防署へ帰る途中のことをいいます。)でのこと。
病院からの帰署途上は、救急隊が知識を共有する大切な時間です。自分の消防署へ帰るまでの救急車内で、今回の活動について良かった点、悪かった点などを話し合って隊としてのレベルアップを図ったり、時には世間話をしてコミュニケーションを図っています。もちろん、帰署途上であっても出場指令があれば、すぐに現場に向かいます。
そんな帰署途上、多くの経験を積んだ先輩からこんな話がありました。「山田さんは、医療機器の示す数値ばかりを見ているけど、ちゃんと傷病者を観てる?」。「えー、ちゃんと観ているのにな~。何がいけないんだろう?」。
救急車には、多くの医療機器が装備されています。それは持ち運べるタイプや車両に備え付けてあるタイプなど様々なものがあり、傷病者の症状などに合わせて使い分けています。それらの医療機器は、傷病者の状態を数値や波形などで表示してくれるので(例えば血圧や心電図など)、症状を把握するのに役立ちます。
しかし、先輩が言いたかったのは、「機器だけに頼らず、観察するときの補完として考える。高い数値だから平気とか、低い数値だから悪いとかではなく、傷病者の訴えなどと合わせて総合的に判断しなければいけない。」ということなのです。まだまだ未熟でした…
「私たち救急隊員が観ているのは機器でなく傷病者。身体の状態が悪くなる前には何らかの兆候があって、これから、どうなっていくか、どんな処置をしたら悪くならないかを観察し判断できるようになりなさい!!」先輩の指導に、目の覚めるような思いでした。
これから寒くなり、外気と室内の寒暖差が大きくなる季節です。脳卒中や心臓発作が多くなる時期でもあります。健康診断で異常を指摘された方、持病がある方、またそうでない方も、自分自身で健康管理(自分を観る)をすることで、普段とは違う何かの兆候に気付くはずです。自分を観る、家族を観る「健康の輪」が拡がっていけば良いですね。
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