転倒事故を防ごう ~大神田隊員~(9)
「ママー昨日は何件だったー?」
仕事から帰ると、6歳の娘は私に昨日出場した救急件数を聞いてきます。深い意味はないけれど、なぜだか救急件数が気になるらしい。私も気になって、相模原市の救急件数をしらべてみると、10年前の平成16年は年間約24,000件、昨年の平成26年は年間約34,000件を超えていた。なんと10年間で10,000件も増えていました。
皆さんはお気付きだと思いますが、救急件数増加は社会背景に、高齢化があります。高齢者は転んでケガをしたり、病気になったりすると、ひとりで病院へ行くことが難しくなります。たとえ家族がいたとしても、歩けない人を病院へ連れて行くのはひと苦労です。ひとり暮らしだとさらに大変で、助けを求めることさえできない時もあります。
高齢者の救急要請理由で、急病に次いで多いのは転倒事故です。
「自宅の居間でつまずいて、尻もちついちゃったよ。」、「家に帰ってきたら、おばあちゃんが玄関で動けなくなっていて。」、あるいは「夜トイレに行くために起き上がったら、ふらついて転んだよ。」など状況は様々ですが、どれも転倒事故による救急要請です。
この転倒事故で高齢者は簡単に骨折してしまいます。痛くて、全く動けません。搬送先の病院では、「頭部外傷」や「腰椎圧迫骨折」、「大腿骨頸部骨折」などと診断され、入院が必要になることもあります。
この転倒事故、救急活動で沢山のお宅にお邪魔する救急隊からすると、予防していれば救急車を呼ばずに済んだかもしれないと思うことが沢山あります。
予防のポイントを紹介しますね。予防の心掛けが身についていれば、ぐっと転倒機会は減ります。
ポイント1 住まいの環境を整えましょう。
じゅうたんやラグマット、玄関マットはすべらないですか。新聞紙や洗濯物、おもちゃなどがフローリングの床やたたみに置きっぱなしになっていませんか。杖をつく方は杖をつく場所も考えましょう。立ち上がる時、つかまる場所はしっかり固定されていますか。家の中をチェックしてみましょう。
ポイント2 高いところはご用心。
男性は「庭木の剪定中に、梯子から転落した。」、「台風に備えて、屋根を修繕中に転落した。」などの理由で、女性は「ベッドの上に立って、照明器具の拭き掃除をしていたら転落した。」、「脚立に乗って、窓の拭き掃除をしていたら転落した。」などの理由で救急要請されることがあります。
高齢になったら、バランス感覚が悪くなっていることを自覚することは重要です。高い所の仕事や掃除は若い人にまかせるなど、無理をしないで家族にひと声かけてから行いましょう。
ポイント3 筋力アップをしましょう。
歩いている人は筋力もつくし、骨の新陳代謝もいいです。天気のいい日は散歩や買物に出かけて、とにかく足が上がるよう筋力をつけましょう。
ポイント4 処方薬の副作用を知りましょう。
薬によっては、副作用で思った以上にふらつくことがあります。処方薬の副作用をきちんと理解して、特に寝床から立ち上がる際は注意しましょう。
ポイント5 血圧に気をつけよう。
冬場はとくに血圧の上昇が激しい季節です。起床時、夜間時トイレに立つ際は十分に注意しましょう。
転ばぬ先の杖。皆さんのご自宅、ご家族は大丈夫ですか。転ばないように、救急隊がお邪魔することがないようにお過ごしください。
このページについて、ご意見をお聞かせください
このページに関するお問い合わせ
消防総務課
住所:〒252-0239 中央区中央2-2-15 相模原市消防局3階
電話:042-751-9105 ファクス:042-786-2471
消防総務課へのメールでのお問い合わせ専用フォーム