第3回 ~台風のしくみ~
前回は「記録的な猛暑」について書いたのですが、今年の夏はあの8月上旬の猛暑のあと、お盆あたりからは暑さも落ち着いてしまい、季節はすっかり秋めいてしまいました。
日本付近では早くも秋雨前線が停滞して、今年は珍しく台風15・16号と台風17・18号のダブル台風も日本に接近。そして9月9日には台風18号の影響で市内の一部で避難勧告も発令されるなど、台風への関心も一層高まっていることと思います。
そこで今回はその台風の「基本的なしくみ」をいくつかお話ししたいと思います。
そもそも台風とは何でしょう?南の暖かい海で、強い太陽の日差しで温められた海水が蒸発・上昇してできた雲のかたまりが、渦を巻きながらどんどん成長したもので、熱帯低気圧の仲間(親分?)になります。熱帯低気圧が発達し中心付近の最大風速が17.2m/s以上のものを台風と言います。また、温暖前線や寒冷前線などを伴う温帯低気圧とはそもそも発生・発達のプロセスやメカニズムが違うのでまったく別の性質を持っています。
台風は地球が自転しているため空気が渦を巻きます。(これは「コリオリの力」によるものですが、ちょっと難解なのでまた機会がありましたら説明しますね)そして激しく渦を巻きながら成長するので台風が近づくと地上では暴風となり海では高波が起こります。また、台風が近づくと南の湿った暖かい空気を大量に運んできて大陸からの寒気や日本付近の前線も刺激するので、あの有名で危険なフレーズ「大気の状態が不安定!」となり、台風が日本からかなり離れていても大雨になることがあります。
では、その台風の強大なパワーの源って何なのでしょう?台風は暖かい海面から供給された水蒸気が凝結して雲粒になるときの放出される熱をエネルギーとして強い上昇気流を発生さながら発達します。ですからこの地球上に「熱い太陽の日差し」と「暖かい海水」がある限り、台風は毎年この時期に発生し、発達しながら日本に向かってくることになります。統計的に台風は海面水温が約27℃以上の海域で発生します。そしてこの温度より低い海域にあると発達はしませんし陸上でも発生しません。春先や晩秋の台風は通過する海域の水温が低いので日本に到達する前に多くは衰弱してします。ですがその影響や被害がまったくないわけではありませんから決して侮ってはいけません。
台風は海面や地上との摩擦により常にエネルギーを失っていて、上陸すれば水蒸気の補給も断たれるので急速に衰えていきます。仮にエネルギーの供給がなくなれば数日で消滅してしまいます。また、日本付近では上空に大陸からの寒気が流れ込むようになり、次第に台風本来の性質を失って「温帯低気圧」に変わるか、熱エネルギーの供給が少なくなり衰えて「熱帯低気圧」に変わることになります。
最後に、台風の「上陸」について補足しますと、台風の中心が北海道、本州、四国、九州の4つの島に達したとき「上陸」と言います。沖縄や伊豆大島などを通過した場合は「上陸」とは言いません。
最近はテレビやインターネットでたくさんのお天気情報を見ることもできますので、予想進路図や気象衛星ひまわりの画像を見ながら迫る台風への準備を進めてみてください。
今回、台風の話を少しだけしましたが、台風の強さや大きさ、台風の名前、台風のコース、台風の観測方法や台風の眼の話しなど・・・まだまだ書きたいこともたくさんあります。
また機会がありましたら「台風パート2」もお話しさせてください。
(イラストは気象庁提供)
ミニコラム
もし地球の直径が1メートルだとしたら、気象の変化はその表面のわずか1ミリの薄い膜のような層の中で起こっていることになります。低気圧や高気圧が移動したりケンカをしたり、台風が発生して大雨や暴風をもたらすのも1ミリの厚さ中でということになります。そう考えるとあらためて地球や宇宙の大きさを感じさせられます。
(地球の直径約1万2700km、対流圏界面10~15kmとして)
次回は…一日中見上げていても飽きない楽しい「~雲のはなし~」をお送りする予定です。
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