第5回 ~今年も冬がやってきました~
一年は本当に早いもので、もう「師走」ですね。すっかり冬です。
今年は暖冬だと言われており、今日までそれほど厳しい冷え込みはありませんでした。10月24日に東京地方で木枯らし1号が吹いたころから、街にクリスマス飾りが増え、だんだんと冬の様相になってきました。12月上旬には北海道地方にまとまった大雪が降りましたが、今はそれも落ち着いて、長期予報のとおり暖冬となっているようです。
本来なら今頃は「西高東低の冬型の気圧配置」となって大陸の高気圧から北西の季節風が吹き出し、はるか日本海を越えてきて日本海側の地方には雪をもたらす厳しい冬がやってくる頃なのですが、12月でも平年より気温が高く、また関東で夏日を記録するほどの暖かさのせいで、桜の花や菜の花が咲いたり、野菜も出来がよすぎて価格が下がっているというニュースも聞きます。
私は子供のころ、冬は嫌いでありませんでした。たまに雪が降ろうものなら「もっと降れ~!いっぱい積もれ~!」と、巨大な雪だるまの完成像をイメージしながら大雪を期待していたものです。
しかし、大人になりベテランの消防職員となった私は、多くの気象災害に遭遇してきましたし、また気象予報士になって気象を勉強していく中で、夏の「台風の恐さ」とはまた違った「冬の厳しさ」や「雪の恐さ」を思い知るようになりました。
雪害というと、まず車のスリップ事故や山間部の雪崩などを思い浮かべますが、雪による死亡事故で一番多いのは除雪作業中の事故なのです。屋根からの転落や落雪、用水路への転落など、特に高齢者一人での作業中の事故が断トツに多いようです。
相模原市でも2年前の冬に大雪に見舞われました。私たち相模原市民は北海道や東北地方の人たちとは雪に対する対応力が未熟なせいもあり、交通など市民生活に大きな影響がありました。
暖冬とは言え、周期的に寒波もやってきますし、大陸からの風向きや太平洋側を通る南岸低気圧の影響により、市内にまとまった雪が降ることもありますので注意が必要です。積雪後の除雪作業は一人で行わないようにするなど、安全管理をお願いします。
さて、このお天気コラムも年内はこれで最後です。来年も引き続きお天気にまつわる話を、私の言葉でお伝えできたらと思っています。暖冬でも冬は冬。空気が乾燥しておりますので、風邪など引かぬよう良いお年をお迎えください。
ミニコラム
「木枯らし1号」、「平年」、「暖冬」って何?
「木枯らし1号」とは、10月半ばから11月末までの間に気圧配置が西高東低の冬型となり、最大風速がおおむね8メートル以上の西北西~北の風が吹いたとき、東京地方と大阪地方のみ発表されます。ちなみに2号3号はありません。
「平年値」とは、気象観測統計指針により、西暦年の1位が1の年から数えて、連続する30年間について算出した累年平均値になります。
現在の平年値は、1981~2010 年の資料(統計)から算出された平年値でその時々の気象(気温、降水量、日照時間等)や天候(冷夏、暖冬、少雨、多雨等)を評価する基準として用いられています。
「暖冬」とは、この30年間の平均気温の観測値を小さい順に並べ「低い(33%)」「平年並(33%)」「高い(33%)」の3階級で示し、冬(12~2月)の平均気温が「高い」場合を指しています。使い慣れた言葉ですが、きちんと基準があるのですね。
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