生物多様性にせまる危機
第一の危機 開発や乱獲
土地の開発や整備は、人間が安全で快適な生活を営むために必要な一方、自然環境や生きものに大きな影響を与えてきました。
土地の開発のための森林の伐採や沿岸部の埋め立てによる砂浜や干潟の消失により、各地で多くの生きもののすみかが失われています。堤防のコンクリート化や堰の設置など災害防止などを目的として行われる整備の中にも生きものにマイナスの影響を与えるものがあります。
魚などの生きものはわたしたちの食生活に欠かせませんが、食用や観賞用など商業利用を目的とした乱獲は生きものの個体数減少の直接的な要因になっています。
こうした第一の危機に対しては、経済性や効率性を優先させるあまりほかの生きものに大きな負担を強いることのないよう、その影響を考慮し十分に検討した上で土地の開発や資源の利用をすることが必要です。
相模原市の例
田畑から住宅地への転用等による本市の緑被地の減少が確認されており、生物の生息・生育地の減少に繋がっている可能性があります。
第二の危機 人のはたらきかけの減少
里地里山は、人が自然に手を加え、田畑や雑木林、水路、ため池などをつくることによって形成され、様々な生きものに生息・生育場所を提供してきました。
しかし、くらしかたの変化や人口減少により里地里山が利用されなくなり、田んぼにいた水生生物や日当たりのよい雑木林を好む植物など里地里山特有の生きものが絶滅の危機にさらされています。
一方、里地里山に人の手が入らなくなったことに加え、狩猟を行う人の減少、温暖化など様々な要因が重なって、シカやイノシシの数が増え生息域が広がったことで、深刻な農林業被害や生態系への影響が発生しています。
こうした第二の危機に対しては、それぞれの地域に応じた効果的な保全・管理手法について検討するとともに、他の地域に住む人も含め様々な人が連携して保全に関わる仕組みづくりを進める必要があります。
相模原市の例
これまで手入れがなされてきた里地里山が、担い手の高齢化や後継者不足により手入れされなくなり、生物の生息・生育に影響を与えている可能性があります。
第三の危機 外来生物や化学物質の影響
もともと生息・生育していなかった地域に、人間の活動によって持ち込まれた生きもののことを「外来生物」といいます。ペットとして輸入された生きものが野生化したり、輸入品に付着して意図せず持ち込まれた生きものが繁殖したりすることで、地域固有の在来生物を食べてしまったり、生息域を奪ってしまったりする問題が起きています。
また、もともと自然界に存在しなかった農薬、塗料、薬品などの化学物質は生きものに対して毒性を持つものもあると考えられますが、その影響については明らかになっていません。
こうした第三の危機に対しては、外来生物の進入を予防し、現在定着している外来生物への対応を強化するとともに、化学物質による生態系への影響について適切なリスク評価を行い、リスク管理を行うことが必要です。
なお、外来生物の中でも特に影響が大きい生きものは「特定外来生物」に指定され、法律により輸入や飼育・栽培、生きた状態での移動などが原則として禁止されています。
相模原市の例
オオキンケイギクやアライグマ等の外来種が確認される等、昔は地域にいなかった生物や化学物質が外から持ち込まれることにより、生物の生息・生育に影響を与えている可能性があります。
第四の危機 地球温暖化など環境の変化
地球温暖化など地球規模での気候変動は生きものに大きな影響を及ぼしています。
気温や海水温の上昇によりサンゴが死滅したり、ホッキョクグマの生息域が狭まったりしていることがよく知られているように、地球温暖化が進むことで多くの生きものの絶滅のリスクが高まっています。さらに生きものの分布や植物の開花、昆虫の発生時期などが変化することで、食物連鎖などの生きもの同士のつながりが破たんするおそれがあります。
地球温暖化以外にも強い台風の発生頻度の増加、降水量の変化、海洋の酸性化など急激な環境の変化が世界各地で起きており、これらに適応できない生きものや生息・生育場所を容易に移動することができない植物などが、絶滅の危機にさらされています。
こうした第四の危機に対しては、地球温暖化など環境の変化による生物多様性への影響の把握に努め、対応策について検討していくことが必要です。
相模原市の例
ここ30年で平均1℃以上の気温の上昇が確認されており、こうした気温の変化が生物の生息・生育に影響を与えている可能性があります。
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