「相模原市交通バリアフリー基本構想」(平成14年3月策定)について
重点整備地区(相模大野駅及びその周辺)における移動円滑化基本構想
重点整備地区における移動円滑化に関する基本的な方針
重点整備地区である相模大野駅及びその周辺におけるバリアフリー化の基本的な方針は、交通バリアフリー法による国の基本方針に基づくとともに、本市の総合計画に示されている「バリアフリーによる福祉のまちづくり」、「人にやさしい交通環境の整備」、「人にやさしいみちづくり」という施策の方向を踏まえ、以下のように設定します。
整備方針
- 移動しやすい経路
駅と公共施設等を結ぶ重要な歩行者動線を中心に、歩道、交差点の改良などにより、安全で利便性の高い空間を整備します。 - わかりやすい案内
サイン、誘導施設は、わかりやすく、利用しやすいものとし、駅を中心に公共施設などが立地している範囲において、統一した整備に努めます。 - 使いやすい駅前広場・駅施設
駅前広場は、部分改良により不便さを解消します。また、駅施設は、利用者の安全性、快適性を向上させます。
(注7)年齢、障害の有無・障害の種類に関わらず、すべての人々が使いやすい製品や、利用しやすい空間をつくりだすこと。
重点整備地区の位置及び区域(相模大野駅及びその周辺)
位置
相模原市の南部に位置する相模大野駅は、小田急小田原線と江ノ島線の分岐となる駅であり、1日の乗降客数は10万人を越え、バスの運行回数は1日600回を数えます。その周辺は、駅を中心に、商業・業務・文化などの機能が集積する相模原市の中心市街地の1つであり、また、本市の総合計画において3拠点の1つに位置づけられており、さらに「福祉のまちづくりモデルゾーン」としても位置づけられています。
重点整備地区の区域
重点整備地区の区域は、次の図に示すとおりです。
なお、重点整備地区の区域面積は、約40ヘクタールです。
移動円滑化のために実施すべき事業等
移動円滑化を実施する経路
移動円滑化を実施する経路の設定方針
重点整備地区において、特定旅客施設と前項で示した主要施設を結び、徒歩による移動に利用される経路のうち、高齢者、身体障害者等の円滑な移動のために確保されるべき経路を設定します。
経路の設定にあたっては、最初に、交通バリアフリー法に基づく特定経路を設定し、次に特定経路を補完し、歩行空間ネットワークの形成を図る経路を市独自に準特定経路として設定しました。
特定経路の設定
特定経路とは、特定旅客施設から、官公庁施設、福祉施設、その他施設までの移動に利用する経路及び各施設間の移動に利用する経路で、交通バリアフリー法に基づき、「重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準」等に適合した整備を行う経路です。
相模大野駅及びその周辺における特定経路選定の考え方は、次のとおりです。
- 高齢者・身体障害者等が利用すると考えられる主要施設の分布状況を検討し、特定旅客施設から各主要施設への方向性を3方向に定めました。 1つ目の方向は、グリーンホール相模大野・相模大野図書館、相模大野中央公園、市営相模大野立体駐車場・バス乗り場、伊勢丹百貨店であり、2つ目の方向は、市南区合同庁舎、県高相合同庁舎、南区保健福祉センター、西側地区市街地再開発事業区域内公共公益施設・駐車場(建設予定)です。さらに、3つ目の方向は、南大野老人いこいの家です。
- 同じ方向の施設に対して利用できる経路の共有化による合理性及び目標年次までの実現可能性を考慮し、それぞれの方向ごとに、1つの経路としました。
- 経路の選定にあたっては、目的地までの距離、車道の横断、車両の出入り口、垂直移動の回数、たまり空間等を比較検討し、高齢者・身体障害者等の安全性の確保と利便性の向上が図られる経路を選定しました。
具体的には、下記に示す経路となります。
A. 北口駅前広場
B. 市道相模大野駅前通(コリドー街)
C. 伊勢丹及びグリーンホール内自由通路
D. 県道51号(町田厚木)
E. 市道相模大野駅前(西側地区市街地再開発事業区域内自由通路)
F. (都)相模大野西通り線
G. 市道谷口台東林間
H. 南口駅前広場
I. 市道相模大野
準特定経路の設定
準特定経路とは、歩道幅員等の制約により法による移動の円滑化基準に沿った整備は行わないが、歩行空間ネットワーク形成の観点から、特定経路の整備とあわせ、高齢者・身体障害者等の歩きやすさ、安全性、快適性に配慮した整備を推進する経路です。
相模大野駅及びその周辺における準特定経路選定の考え方は、次のとおりです。
- 歩道幅員(歩車分離・有効歩道幅員2m)等移動円滑化基準に沿った整備はできないものの、目的施設への経路を個別に検討した場合、特定旅客施設から各主要施設までの一般的な歩行による移動の経路と考えられ、かつ多くの利用が想定できる経路を選定しました。
- また、歩行空間ネットワーク形成の観点から、特定経路を補完する経路を選定しました。
具体的には、下記に示す経路となります。
a. 市道相模大野32号
b. 市道文京大野
c. 市道相模大野5号
d. 市道磯部大野
e. 市道相模大野駅前(銀座通り)
f. 市道相模大野26号
移動円滑化のために実施する事業
特定事業
特定事業とは、特定旅客施設及び特定経路における、駅などの施設、道路、信号機等に関するバリアフリー化のための事業です。
特定事業の内容は、高齢者、身体障害者、地域住民などが参加し実施したワークショップ(まちあるき点検など)での意見を踏まえ、各事業者と調整を図りながら、目標年次までの実現性を考慮しつつ、検討しました。
各事業者は、各特定事業計画を作成し、平成22年を目標に、移動円滑化の基準またはガイドラインに沿って整備を進めます。なお、各事業者は整備の実施にあたって、他の事業者と連絡・調整を行い、整備時期・内容等の整合性を図り、特に、誘導案内施設について、重点整備地区内は統一した整備に努めるものとします。
(移動円滑化の基準及びガイドライン)
- 「移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準」
- 「重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準」
- 「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に係る信号機等に関する基準を定める規則」
- 「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン」
- 「道路の移動円滑化整備ガイドライン」
公共交通特定事業
公共交通特定事業は、特定旅客施設及び車両等に関するバリアフリー化事業です。
以下に示す事業の内容は、各事業主体と協議・調整を行い、その結果に基づき、基本構想として示したものです。現在は、各事業主体が基本構想に沿って事業計画を作成し、事業を実施しております。
- 事業主体:小田急電鉄株式会社
事業の位置:相模大野駅および南北自由通路
事業の内容- 誘導案内設備の整備
- 車いす対応自動券売機の1以上の設置
- ホーム階段下の空間の改良
- 階段の踏面の改良
- 東口改札対応の改善の検討
- 事業主体:神奈川中央交通株式会社
事業の位置:南北自由通路および駅前広場
事業の内容- ノンステップバスの導入
- バス総合案内システム・案内板の改良
道路特定事業
道路特定事業は、特定経路を構成する道路等に関するバリアフリー化事業です。
以下に示す事業の内容は、事業主体である道路管理者と協議・調整を行い、その結果に基づき、基本構想として示したものです。現在は、道路管理者が基本構想に沿って事業計画を作成し、事業を実施しております。
- 事業主体:相模原市
事業の位置:県道51号(町田厚木)
事業の内容- 視覚障害者誘導用ブロックの整備
- 歩道の段差の解消
- 歩道の拡幅
- 事業主体:相模原市
事業の位置:北口駅前広場
事業の内容- 市道相模大野駅前通(コリドー街)方面へのエレベーターの設置
- 誘導案内施設の整備
- バス乗降場へのエレベーター設置の検討
- 事業主体:相模原市
事業の位置:市道相模大野駅前通(コリドー街)
事業の内容- エレベーターの設置の検討
- 誘導案内施設の整備
- 事業主体:相模原市
事業の位置:(都)相模大野西通り線
事業の内容- 歩道の整備
- 誘導案内施設の整備
- 事業主体:相模原市
事業の位置:市道谷口台東林間
事業の内容- 歩道の整備
- 視覚障害者誘導用ブロックの整備
- 事業主体:相模原市
事業の位置:南口駅前広場
事業の内容- 誘導案内施設の整備
- 事業主体:相模原市
事業の位置:市道相模大野
事業の内容- 誘導案内施設の整備
- 歩道の段差の解消
交通安全特定事業
交通安全特定事業は、信号機等のバリアフリー化、違法駐車の防止対策などの事業です。
以下に示す事業の内容は、神奈川県公安委員会と協議・調整を行い、その結果に基づき、基本構想として示したものです。現在は、神奈川県公安委員会が基本構想に沿って事業計画を作成し、事業を実施しております。
- 事業主体:神奈川県公安委員会
事業の内容- 音響式信号機等の設置
- 違法駐車の取締りの強化
- 違法駐車防止に対する広報・啓発活動の推進
- 標識・標示の視認性の確保
- 交通規制の実施
その他の事業
その他の事業は、一般交通の用に供する通路等、駐車場、公園などに関するバリアフリー化事業、放置自転車の防止対策などの事業のことで、各施設の管理者や関係者が基本構想に沿って事業を実施しております。
準特定経路において実施する事業
準特定経路においては、高齢者、身体障害者等の歩きやすさ、安全性、快適性に配慮した段差の解消、舗装面の補修などの整備を行うとともに、ソフト的な手法による交通対策の展開についても検討を行うものとします。
その他移動円滑化のために考慮すべき事項
市街地再開発事業との連携
相模大野駅西側地区市街地再開発事業(注8)区域内においては、事業の実施に併せ、周辺の歩行空間ネットワークの連続性に配慮した移動動線の確保を図るとともに、バリアフリーに留意した施設づくりを行い、移動円滑化を図ります。
関連計画との整合
相模大野駅周辺地区は、本市の総合計画において、「福祉のまちづくりモデルゾーン」に位置づけられています。また、中心市街地活性化基本計画(注9)が策定されており、これらの関連計画との整合を図りつつ、移動円滑化の整備を推進します。
建築物等のバリアフリー化の促進
重点整備地区内の高齢者、身体障害者等を含む不特定多数の人が利用する建築物については、「神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例(注10)」及び「相模原市福祉のまちづくり環境整備指針」に適合するよう建築物等のバリアフリー化の推進及び誘導に努めます。特に、移動円滑化を実施する経路の沿道においては、道路と敷地の段差の解消や歩道と一体的な空地の整備など、経路のバリアフリー化と合わせ、より快適な空間の形成に配慮した整備の推進及び誘導に努めるものとします。
新しい技術の導入の検討
歩行空間のバリアフリー化には、物理的なバリアの解消とともに、情報提供などの支援も求められています。現在、最先端の情報通信技術を活用した新しい歩行支援システム(歩行者ITS 注11)の研究が進められており、このような新しい技術の導入についても、今後の技術開発の進捗にあわせ、検討を進めます。
(注8) 相模大野駅北口駅前広場に隣接する約3.1haの区域において、建物の共同化により、商業施設等と道路等の都市基盤を一体的に整備し、街の回遊性や魅力の向上と防災性の向上をめざす事業。平成24年度竣工予定。
(注9) 「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律」に基づき、中心市街地の活性化を図るため、市街地の整備改善と商業等の活性化を柱とした総合的・一体的な対策を推進する計画。
(注10) 不特定多数の人が利用する公共的施設を対象に、障害者等に配慮した整備基準を定め、新築等の際に、整備基準を遵守しなければならないことが規定されている。
(注11) 歩行者ITSは、高齢者や障害者等が安全・安心・快適に移動できる歩行環境を提供するため、ITS(高度道路交通システム:最先端の情報通信技術の活用により、交通の円滑化、安全性の向上、環境負荷の軽減などを目指す、新しい世代の交通システムの総称)技術を活用し、情報提供により歩行を支援するシステムである。また、一般の健常な歩行者に対しても、さまざまなサービスの提供が期待される。
重点整備地区の移動円滑化基本構想の現在
これらの基本構想に沿って、公共交通事業者、道路管理者、公安委員会などがそれぞれ平成22年末を目標年次とする特定事業計画を作成し、駅や周辺の道路、駅前広場や信号機などのバリアフリー化を推進するとともに「連絡会議」を設置し、事業の進捗状況の把握に努めてまいりました。
このたび、目標年次を迎え、関係事業との調整が必要な事業など、一部未完了の事業があるものの、多くの事業が完了しました。このため、連絡会議は、バリアフリー化の推進に一定の役割を果たしたことから解散することとし、未完了の事業については、各事業者が関係事業などと調整を行いながら取組を完了させることとなります。
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