相模原市内にあった甲州街道沿いの宿場町
元年度市民カメラマン
榎本弘さん
甲州街道は、江戸時代に整備された五街道の一つで、江戸・日本橋(現在の東京都の日本橋)から甲斐国(山梨県甲府市など)を通り、さらに下諏訪宿(長野県下諏訪町)へと至る道です。江戸時代には、江戸と地方を結ぶ重要な道として多くの人に利用され、沿道には宿場が置かれていました。
甲州街道は相模原市緑区も経由しており、本市の街道沿いには、「小原宿」「与瀬宿」「吉野宿」「関野宿」の4つの宿場のなごりがあります。今回は、市内の宿場跡地を記録しました。
初めに訪れたのは「小原宿」です。7軒あったという旅籠には、一般の旅人のほかに、富士山や身延山にお詣りする講の人々も多く泊まったといいます。小原宿本陣は神奈川県内で唯一現存する本陣建物で、平成8年2月13日に神奈川県指定重要文化財に指定されました。カブト造りの入母屋風の屋根が特徴で、平成24年11月1日には相模原市景観重要建造物としても指定されています。本陣は江戸時代の参勤交代で江戸と領国を往復する際、大名が泊まる宿として使われていたといいます。
そのまま山梨方面に歩いていくと、「与瀬宿」跡地に着きました。本陣1軒、旅籠6軒の小さな宿場で、鮎が名物だったといいます。与瀬本陣跡の近くには、「明治天皇與瀬小休所阯碑」が建てられており、少し上には「旧本陣」と彫られた門柱がありました。
次に訪れたのは「吉野宿」跡地です。本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠3軒という、こちらも小さな宿場だったといいます。明治には木造建築としては珍しい5階建ての本陣が建てられましたが、明治29年の大火で消失してしまい、隣にあった土蔵だけが焼け残った状態で現存しています。本陣跡の向かいには、「吉野宿ふじや」という郷土資料館があり、旅籠の名残を留める建物の見物ができるほか、地域の歴史文化などを学ぶこともできます。
最後に訪れたのは、「関野宿」跡地です。本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠3軒の宿場でしたが、この宿場も明治21年の大火で本陣及び宿場の面影を残すほとんどの建物が焼失してしまいました。本陣跡には「関野本陣跡説明板」があり、その下には束石らしき石がありました。
甲州街道沿いには宿場のほかにも、様々な史跡や遺構が残っており、昔を偲ぶことができます。
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小原宿:本陣建物
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与瀬宿:明治天皇與瀬小休所阯碑
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吉野:宿焼け残った土蔵
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関野宿:関野本陣跡説明板
令和2年3月 元年度市民カメラマン 榎本弘さん
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